伊豆箱根鉄道  駿豆線1100系[2005F]
 
  伊豆箱根鉄道の駿豆線と言えば修善寺を筆頭に「温泉!」というイメージがとにかく先行しますが、観光とは全く切り離された、通勤電車も地域の足としてしっかり定着しています。その通勤電車の主力が1100系、今回はその中から車内が他の編成とちょっとだけ違う2005Fをピックアップしてご案内します。
元を辿れば、特徴的な前面からぴぴっと来た方もおられる通り西武鉄道701系になります。1989年に譲渡され、4両編成を3両編成にしたり塗装を塗り替えたりして駿豆線専属となり、まもなく20年が経過しようとしています。西武鉄道ではこのような前面を持つ車両は希有な存在になりつつあり、地元はもとより、関東の方でも「懐かしいなぁ」と思われる方が多いかもしれません。
(取材・撮影 伊豆箱根鉄道駿豆線・三島〜修善寺)

 

 

 


車内全景からです。オールロングシートの車内は凝った車内でお馴染みの自社発注車には見られないシンプルさがあります。ただ、3ドア車ということもあってあまり詰め込みに念頭を置いた車両にも見えないのは多分自分だけです(^^;。
他の車両よりも若干暗めの味付けで、ベージュを主体にした化粧板は夜間であれば対向列車からでも「あ、1100系だ!」と気づくほどの存在感があります。果たしてこの味付けまで伊豆箱根鉄道のオリジナルか、はたまた西武鉄道から引き継いだ物なのか、若干気になります。


車端部をご覧頂きます。基本的に各車両とも同じで、優先席はステッカーのみの表示、モケットでの区別はしていません。幅広の扉のない貫通路も全く同じで、車内も広々と見渡せます。このあたりの直線的かつ開放的なつくりはちょっと昔の通勤電車っぽい雰囲気を与えてくれます。
貫通路の上には号車表示を示したステッカーが貼られていますが、至る所に貼ってある「ドアにご注意」などの案内ステッカーはあまり古さを感じさせないデザインで、まめに、もしくは最近貼られた物かと思います。えぇ、このあたりからも会社の性格が見えてくるものです。


乗務員室との仕切りです。仕切りのすぐ後ろに線路と垂直方向の蛍光灯があるため意外に明るいこの空間、大きな改造ポイントとして片側の座席が撤去されています。これはATSなどの機械をこのスペースに置くために座席を撤去したためで、両先頭車とも同じ改造を受けています。今でこそ「車椅子スペース」として活躍していますが、撤去した当時はただの「立席スペース」だったようです。
この部分だけ吊革の形状が異なるのが気になります。


その車椅子スペースです。元々立席スペース、さらに前には座席が設けられていたこともあって、床は滑り止めが頑張っているものの、上を見上げると堂々と網棚を再活用した握り棒、そして吊革が・・・。
伊豆箱根鉄道は車椅子スペースを設けた編成が多く、手慣れた改造工事の一環として「なんとなく周りの雰囲気に合わせて」やっているものだと思ったのですが・・・ 前述の通り、思った以上に深い歴史があったようです。


天井です。冷房がしっかりと載っており、所々にファンデリアがあり、フラットな天井に仕上がっています。これは西武時代から変わらないアイテムで、伊豆箱根鉄道入線後は冷房化率上昇にも一役買っています。
吊革はちょっぴり珍しくなった広告枠つき一体型のものを用いています。


床は灰色一色。ここは西武時代と変わらず、いじりようも無いところでしょうか。


ドア周りです。無塗装のドアに黒い窓縁、細長い戸袋窓とともに西武時代の雰囲気をこちらも色濃く残しています。
握り棒が少ない分意外とあっさりしており、握り棒満載の最近の通勤電車とは趣が異なります。
ドアが開く時のガラガラ音がちょっと気になるところです。


座席周りです。1100系のこの編成のみの特徴として、背もたれと座面が離れた座席が用いられています。西武鉄道では3000系などですっかりお馴染みの座席ですが、伊豆箱根ではこの1編成のみとなります。うーん、1編成だけだとメンテナンスが大変なような気がしますが・・・座席そのものを見る限りでは難儀はしていないようです。
ドア〜ドア間は10人掛け。茶色よりも赤みがかった単色柄のモケットは西武鉄道にはなかった柄になります。

 
車端部は5人掛けになります。この編成の優先席は全て右画像のとおりステッカーによる対応のみになっています。透明のものでは無いので若干目立ちますが、このあたりは流行の先端を行っているようです。
袖仕切りは控えめすぎるパイプ形状で、端の処理も凝っておらず質素な雰囲気が漂っています。それだけにちょっとした「背もたれと座面の隙間」がついつい気になってしまいます(^^; 貫通扉が無い分端の席も意外と寒そうな気がしますが、終点や始発の車内移動は貫通扉が無い分簡単そうで、どちらが良いかはついつい決めかねてしまいます。


ちょっと変わった角度から。シルエットはJR東日本209系に似た感じでしょうか。いやはや、変わった座席だと捉えられる方もいらっしゃるかと思いますが、ずばっと腰に来るあたり、そして座面の奥行きが良い味出した座り心地で、勝手に知られざる逸品だと思っています。西武鉄道から各譲渡先の会社に渡ったこの座席、本家も含めて今しばらく楽しめそうです。


忘れていました、乗務員室直後の座席です。これを2人掛けと捉えるか、3人掛けと捉えるかは非常に難しい所だと思います。端の窮屈具合と利用状況から考えると2人掛けの座席と捉えるのが適切なのでしょうか。いずれにせよ自分のようなワイドサイズの人には嬉しい座席です(^^;;;
このあれこれ考えさせられる座席も編成中2箇所のみ。修善寺・三島両駅ともに改札に一番近い部分にある席になるため、争奪戦は黙っていても起こりそうです。
 
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