伊豆箱根鉄道  駿豆線1100系[2006F・2007F]
 
  伊豆箱根鉄道駿豆線では輸送力重視の車両として活躍している1100系。3編成が導入されましたが、西武鉄道時代の車内バリエーションを反映して大きく分けて2種類の車内が存在しました。このページではそのうち2006F、2007Fの車内をご紹介します。

この2編成の登場時期こそ違うものの、現在は後継の1300系が導入されたことによってワンマン化が施されることが無いまま、2009年にどちらも廃車となってしまっています。残り1編成いるからでしょうか、特にお別れ運転などはないままのお別れとなってしまいましたが、塗装こそ異なるもの1000系から始まった伊豆箱根鉄道と「この顔」との長いお付き合いももうすぐ過去の物になってしまいそうです…。
(取材・撮影 伊豆箱根鉄道駿豆線・三島〜修善寺)

 

 

 


車内全景からです。3ドアロングシート、ちょっと暗めの車内は1100系ならではの車内で、貫通扉が無く遠くまで見渡すことができる車内はきっと三島駅到着時における車内の行き来に大いに役立った事でしょう。
座席の座面と背もたれが分離していない車内は馴染みやすい部分ではありますが、西武鉄道に乗り慣れていた人から見るとちょっと物足りない感覚になってしまうかもしれません。そんなあなたには2005Fの車内をどうぞ。


乗務員室との仕切りです。仕切りそのものは西武時代から変わらないものの、運転機器の新設もあって仕切りの手前、片方には車椅子スペースが設けられています。これは修善寺方・三島方双方とも同じです。
これだけの開放感が得られた窓は「通勤電車かよ」とぼやくであろう観光客にも「目玉」として写っていたことでしょう。後継の1300系にもこの開放感を継いで欲しかったところですが…どちらも「種車といっしょ」だけに、今更仕切り窓を広げるようなことはしないと思われます。


その車椅子スペースです。網棚は撤去されているものの吊革は見事に残っており、握り棒と合わせて立客への配慮も怠っていません。車椅子のお客さんへの配慮は…ちょっと握り棒が一方向ばかり充実しているのが気になります(^^;;
方向といえば蛍光灯。線路と垂直方向に蛍光灯が設けられているのが画像右側で確認できます。


車端部です。後述する1両を除いてすべてこの色合い、この構成でした。優先席の区別もその1両以外はステッカーによるものでした。自社発注車にも優先席の区別が座席で行われている車両とそうでない車両に大別できた事から、伊豆箱根鉄道的に優先席表示はステッカーがあれば大丈夫!と判断していたのでしょう。
元々の構造をそのまま活かした幅広の貫通路をメインに、縦長の開閉窓を両側に備えています。各車両とも扉はなく、走り始めにはふわり風が吹き抜けていきます。


天井です。導入当初は冷房車というウリがあり、夏の旅行などでこの中央の吹き出し口に助かった人も多いのではないでしょうか。特に伊豆箱根鉄道に移籍するのにあたって改造などはしていないようですが、吊革は広告枠つきのものに変わっています。広告枠と一体の吊革も近年あまり見なくなりましたが、その広告は今なお枠として現役で使用されており、東急の譲渡車両にあるように譲渡前の広告が彫られていることもありません(^^;;


床は当然のように灰色一色。こちらも西武時代との変化はありません。


ドア周りです。無塗装のドアに戸袋窓がつきますが、袖仕切りと網棚が分離されているのでスッキリとした印象を受けます。また、冷房車にありがちな丸みを帯びた鴨居部ではなく広告枠も他と同じポジションにあることから、車内に入った時の印象として車内の高さをあまり低く感じさせません。天井もフラットに保っています。あくまでも個人的な感想ですが、早い時期に冷房化を施した車両で冷房とドアの関係がここまでスッキリしているのは関東私鉄では西武くらいではないでしょうか。


その隣の側窓です。4つの縦長の窓が展開しており、それぞれカーテンもついています。ただ、ここよりも自分が好みなのは乗務員室直後にあったここの窓よりももっと縦長だった開閉窓と戸袋窓の組み合わせでした。今の車両だったらただの壁にして済ませてしまいそうな部分にあたるだけに、見るや否や「ここまでこだわりますか!」と驚いた記憶があります(^^;; 勿論伊豆箱根時代もそのまま窓として全うしました。


ここからは座席です。まずはドア〜ドア間の10人掛けです。
至って普通のロングシートです。座面と背もたれの離れた座席もありますが、これはこれで座面の奥行きや十分すぎるくらいに跳ね返りする座面、丸みを帯びた袖仕切りなど西武時代を彷彿するには十分すぎるくらいの材料が整っていました。
また、三島からのJR東海道線が3ドアロングシートの車両が多いので、詰めれば座れるかな、どうかなといった判断が容易にできるなど駿豆線の利用者にも使いやすかったのではないかと思います。


個人的にオススメポジション、乗務員室との仕切り背後の座席です。背もたれの擦れ具合を見て判断できるように2人掛けとして利用される事が多かったようです。確かに窓も2つありますし…(^^;;;
モケットは画像で見る限りでは茶色そのものですが、今西武鉄道で用いている多摩川線101系の茶色ともちょっと違う、赤みがかった茶色という印象を抱きました。当時西武がそのモケットを使用していたのか、それとも伊豆箱根鉄道オリジナルのモケットなのか、西武時代を年齢的に見られなかったこともあり、自分の中では謎のままになってしまっています。

 
意味もなく2枚貼ってみました(^^;;;車端部の座席です。5人掛けで、場所によっては優先席にも指定されています。そのシール、側窓に貼る物については編成によって透明のものと透明でないものの2種類がありました。
端から端までビシッと座席が詰まっており、10人掛け同様あまり立席スペースなどに使えるスペースがドア脇などに設けられていません。ただ、5人座ると結構いっぱいいっぱいだった記憶が残っています。それだけ着席人数にこだわり、巧みに計算された車両だったのでしょう。


残念ながら2009年に現役を退いたわけで今はもう乗る事が出来ないのですが、その当時伊豆箱根鉄道のように西武から譲渡された車両は他の私鉄でも走っているはずです。伊豆箱根時代の思い出も重ねながら乗ってみるというのもまた楽しいひとときになりそうです。軽快な音と柔らかな座席につつまれながら…。







・・・と、ひととおり締めくくったところで反省会。
よい子は早く蜜柑の数を数えながら寝るように(^^;;
実はこの形式、1両だけモケットの違う優先席を設定していた車両がいました。

銀色のモケットです。側窓の優先席のステッカーも透明でないものが使用されています。
1013という車両で、三島方先頭車両でもありました。この1両のみ、両側合わせて10席のみの存在でした。

で、反省会でございます。
優先席モケットを用いた車端部、この時撮れなかったんです・・・。
この時はどうあがいても隣の車両でゲームに夢中になっていた人の足が入ってしまうのでした。
「また次来た時に撮ろう。次行こう、次〜」と東海道線に乗り換えたのが最後、気がつけば再訪する前に廃車との報・・・。

蜜柑のように甘くはなかったようです。嗚呼・・・。

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