横浜市交通局  3000A形
 
  斬新なデザインが近未来の乗り物のようにしか見えなかった横浜市営地下鉄に3000形が登場したのが平成4年のことでした。こちらも先代の1000形、2000形に倣ったかのような「く」の字形の前面形状にブラックフェイスの格好良さを足して、やはり近未来の車両っぽく映ったものです。
その後「はまりん」が登場したり、形式名もいつの間にか「A」がついたりと少しずつ変化があったところですが、今後数年に亘って車両の置き換えが進むとのプレスリリースには正直驚いたところです。
「え、これだけの車齢で?!」という驚きは自分の人生と照らし合わせてもあまりに短いものに感じてしまいます。豪快なインバーター音を響かせて鶴見川近辺のまったりした景色を堪能する日々とのお別れも…あと少しになりそうです。
(取材・撮影 横浜市営地下鉄ブルーライン・戸塚〜湘南台)

 

 

 


先頭車の車内全景です。3ドアロングシートが主体ですが、あれ、端には…?!
袖仕切りや蛍光灯のあたりに関西私鉄のような雰囲気を感じますが、初めて見た時にはむしろ1000形、2000形の雰囲気をうまく新型車両に採り入れたイメージを持ちました。横浜駅には京急や相鉄など車内に力を入れている私鉄が一堂に会しますが、この車両も十分張り合える立ち位置にいるのではないでしょうか。

 
車端部の様子です。優先席はあざみ野方先頭車のみ湘南台側車端部、他の車両はあざみ野側の車端部が指定されています。また、貫通扉は編成中2か所の設置です。
はじめてこの車両に出会った時、車端部の妻窓のデザインに驚愕したのは今でも時折思い出します。先代車両の特徴だったきのこのような形状の車端部をうまくアレンジしているではありませんか。しかも貫通扉までつけちゃって… きのこのような形状の車端部を持つ車両は全国津々浦々様々な車両がありますが、置き換えた車両がここまでリスペクトしているケース…他にはないですよ、きっと。
優先席は床のデザインと吊革の色で差をつけていますが、これは後年行われたものです。なお、床の劣化を隠すためではありません(^^;;


そして先頭車にはクロスシートが設置されています。このクロスシートに小躍りした方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。反対側が車椅子スペースで立席面積に余裕があったからこその設置だったと思うのですが、あまり普及しなかったのが少々残念ではあります。その煽りで(…と好意的に解釈しましょう、この際)仕切り窓が小さくなっているので、湘南台やセンター北あたりの地上が見え隠れするあたりの景色を座って堪能するのは少々厳しいものがあります。


車椅子スペースです。握り棒は乗務員室との仕切りにも1本あると便利だと思います。また、高い位置に非常通報機があるのも特徴で、車椅子以外の方が押すのを念頭にしているのかな?と思うような位置です。窓の右上、少し小さいですが…非常通報機や消火器の位置は車内ところどころに間取りとともにイラストで紹介されていて、中には乗務員室を精巧に描いたような図面もあります。確かに言葉で説明するよりもわかりやすく感じます。


天井です。トンネルの断面が低いのか、車端部はドア〜ドア間よりも少し低くセッティングされています。ラインデリアを中央に配して両側にはカバーつきの蛍光灯…もうこれだけでお腹いっぱいの構成です。吊革の配置、ドア周りは名古屋市交通局の車両のような感じがしますが、さすがにこのあたりは単なる偶然だと思います。


床です。ツートン部分はフットラインを意識した模様になっていますが、近年この部分の汚れが若干気になるところです。

 
ドアです。先頭車と中間車で2枚載せました。右の画像はドアの他にも天井が下がっている部分も合わせてご覧頂ければと思います。1500mmに拡幅されたドアは先頭車の画像のドアだけ心なしか幅が狭めに見えて仕方が無いのですが…気のせい、ですね(^^;;
化粧板も貼られて、窓も大きくワイドになった気持ちが良いドアで、ホームに2列で並ぶのが勿体ないくらいです。ただ、ドア幅に対してドア周りのスペースが少ないのも事実で、入ったらなるべく中へ、奥へが言いたそうな構成です。


LED表示器はすべてのドアについていますが、片側を次駅案内など列車の情報を、もう片側をニュースや広告などを流しています。次駅や列車の進行方向が一目でわかる電照式の表示器も備えており、なかなかの優れものです。これだけの情報を新型車両の液晶ディスプレイでどう表現するかが気になるところですが、この車両としては次駅案内の際に文字が小さくなるので、うまくスクロールを活用してもう少し大きい表示を期待したいところです。


側窓です。こちらもFRPで象られた窓枠が大きな特徴で、ロールカーテンを備えている点もポイント高いです。あと、窓に貼られた号車表示や弱冷房車などの案内ステッカーに加え、広告もベタベタと…地下鉄なので仕方が無い部分ですが、この窓に貼られた案内に英字表記が見当たらないのが気になります。

 
座席、ロングシートはこちらの2種類です。面白いことにどちらも6人掛けのロングシートで、ドア〜車端部間が長いことが伺えます。バケットシートに取り換えられることも、着席区分が取り入れられることもなく、ただただ役目を終える日を待っているかのような哀しささえ感じます。ただ、深く沈み込む座席はデータイムの各駅停車の戸塚〜湘南台の区間ではうってつけで、幅の融通さはクロスシートよりもゆっくりできるかもしれません。座席下ヒーターも嬉しい設備です。


この袖仕切りはひじ掛けから下を化粧板で覆い、やや高い位置に横棒を設けて立客との分離を図りたいデザインです。関東地区ではあまり見ませんが、この当時の車両デザインに独自性があり、羨ましささえ感じるところです。大型の袖仕切りよりも機能面では若干劣りますが、先述のとおり空いた車内での開放感や居住性にはプラスに作用する設備です。

 
4人掛けの固定クロスシートです。ドア前の仕切りよりも座席幅は若干狭く、足元も若干狭めになっています。見た目はしっかりした作りのように見えますが、実態はロングシートの向きを変えて、背もたれの上の部分を真っ平につけたしました…というものです。故に、背もたれから上をヘッドレストのように活用すると背中が反ってしまいます。この座席はあくまでも「混雑した車内で小じんまりとした空間で揺られたい」という願いを叶えるためにあるようなものなので、期待しすぎるとガッカリします。
欲を言えば通路側にある立派なひじ掛けを窓側にも欲しいところなのですが、幅が幅だけになかなか難しいところでしょう。
編成数が減るとなかなかキャッチし難いので、乗車体験はお早めに。
 
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