山万  1000形[こあら3号]
 
  1982年に千葉県佐倉市で産声を上げた山万ユーカリが丘線。車両は登場時から1000形が活躍しています。
ラッシュ時は2編成、データイムは1編成がラケット上の路線をぐるっと回っています。データイムに乗ったところ結構途中駅からの乗り降りも目立ち、特に大きな商業施設が集積する地区センターからユーカリが丘まで戻り、再び目的地へ向かう乗客は如何にも「乗り慣れているなぁ〜」という印象。こういう地域のお客様に支えられているのは関東有数の非冷房車であっても愛されている何よりの証拠です。
2020年9月、とあるtwitterユーザーが山万の始発から終着まで乗り続けた「山万20時間耐久」があり、山万の関係者やBayfmも応援の末、多くのtwitterユーザーの感動を誘う大イベントになりました。今回はその1か月前に「こあら3号」を取材した時の模様をお届けしますが、この「こあら3号」は始発から9時頃まで乗車されたようで…う、早くも涙が…。
(取材・撮影 山万ユーカリが丘線・ユーカリが丘)

 

 

 

 
車内全景です。右の画像は2005年の時の車内で、左の画像が2020年の車内です。座席モケットが赤系から緑系のものに変更になっていますが、編成ごとにモケットを分けたようで、こあら1号は青、こあら2号は赤のモケットです。このコアラ3号が一番ユーカリの葉っぽい色をしていますが、お腹は空きません(^^;;;
窓配置や吊革の支持方法、そして床が独特で、見た目同様個性的な車両だなぁという雰囲気が早くも漂ってきます。年が経つごとにこの個性的な雰囲気にレトロフューチャーな香りも漂ってくる、理想的な歳のとり方です。
1ドアで3両編成。全ての車両がロングシートです。


乗務員室との仕切りです。ワンマン運転なので小さな仕切り窓からは駅ごとに右に左に運転士さんが外に顔を出す姿が見えます。路線バスやJR西日本の車両でよく見かける運転士の名前プレートは乗務員室の中で掲げていますが、この仕切り窓から確認することができます。
これで前面展望が着席しながらできると景色が目まぐるしく変わる山万の愉しさが倍増しそうですが、外観のとおり窓は前面でも一部分だけ。座っていても目まぐるしく変わる景色が愉しめるのは環状っぽい路線で高架区間が多い山万ならではの特権です。
珍しいところでは蛍光灯の配置。仕切りのすぐ後ろに他の蛍光灯と垂直に交わる向きで設置されています。


中間車の車端部です。この中間車はなかなか興味深い構成で、どちらの向きも進行方向向かって前は右、後ろは左に出っ張りを設けています。この出っ張ったスペースは窓配置には影響が無いものの、座席はドア付近までズレた位置のまま設置しています。そのため、中間車のドア付近の立席スペースは左右それぞれで幅が異なります。また、吊革のズレは車内全体を通して左右で微妙にズレています。先頭車は左右どちらも出っ張りがあるので全くズレていません。多分こんなことを気にするのは車内を撮る私くらいなもので…(^^;;
中間車は夏のお楽しみでクーラーボックスが置いてあります。あれ、ユーカリが丘でコアラが魚でも釣るのかしら?!とお思いのあなた、このクーラーボックスの中身は後程。


天井です。先頭車の吊革の位置が整った天井をご覧いただきます。中央にはファンデリアを備えていますが、これは車内の空気をかき混ぜるだけで、冷気がでるわけではありません。9月の山万20時間耐久ではこの環境で挑戦したわけで、事前に相当暑さ慣れしていたのではないかと推測します。お元気でしょうか。
天井から直接ぶら下がった吊革は関東では他に都営大江戸線の12-000形ドア周りくらいしか思い浮かびません。名鉄ではかなり多いのですが…。


青とグレーが入り混じる柄の床です。集会所の廊下のような佇まいですが(^^;; 昔とそんなに変わらないですし、2005年12月3日の私も同じようなことをつぶやいています(^^;;;


先頭車のドア周りです。ドアステッカーが更新されていて、JR東日本の高崎支社などで見かけるタイプのものになりました。わかりやすくなったし、チラリと見える優先席のステッカーも懐かしく、まとめてJR東日本から譲ってもらったような雰囲気を感じます。
ドアステッカーは変わっても1枚のドアに見えるような窓の意匠やボディに合わせて上面がちょっと折れた独特の形状はそのままで、鴨居部分の広告枠が天井にへばりついているかのように見えます。
この窓のデザインはJR四国キハ185形やJR西日本207系先行車、北総鉄道9100形でも見かけますが、この形状が昭和50年代に流行ったかというと爆発的に流行ったわけでもなく、なぜか時々登場するものです(^^;;

中間車のドアです。画像向かって左側の車端部に出っ張りがあり、出っ張りが無いドア右側にだけ立席スペースがある様子がうかがえます。


側窓です。昔から変わらない独特な配置の窓ですが、このご時世側窓の上面が全て開閉可能というのが頼もしく感じます。
昔から横引カーテンが3分の2くらいを覆える格好で設けられています。確かにこの開閉窓でカーテンの設置は難しそうです。そして、結構蛍光灯が座席に寄っている様子もこの画像から伺えますが、こういうこともあって荷棚はありません。

 
座席です。乗務員室の背後は5人掛けで車椅子の電源OFF区画になっています。それ以外は7人掛けのロングシートです。
モケットは変われど構造は変わらず、座面の手前と奥にしっかりした支えを設けて間を空洞に近い格好にするブリッジ型の座面を採用しています。普通の座席より沈み込みはしますが反発力が無いので、長時間座り続けるとちょっと疲れるのでは…と思います。そのような環境での20時間耐久…頭が下がります。
あと、座席の横幅が今のバケットシートと比べるとタイトです。


優先席です。かつては茶色のモケットでしたが、現在はグレーのモケットに改まっています。それでも着席区分の縫い付けはそのままですし、背もたれのがまっ平なまま斜めに走っている構図もそのままです。座るとちょっと着座位置が高いというか、だいぶ奥に向けて斜めに下がっているなぁと思うことがありますが、確かに画像で見てこれだけ斜めになって、ブリッジ型なので…なるほど納得といった感じです。


袖仕切りはバータイプのものです。ドア周りの混み具合を見ると大型の袖仕切りへの交換はなかなか難しそうです。
気が付けばアラフォーのこあら号。弟分?のバスで4号から7号が登場しましたが、こちらの世代交代はどうなるか…たまにグルグル乗りながら、時に「山万20時間耐久」の感動を思い出しながら見守りたいと思います。

みんな、お家買った?



…とまで書いてすっかり忘れていました。

夏の間非冷房の車内を少しでも心地よく過ごせる工夫がクーラーボックスの中の「おしぼり」や「うちわ」になります。
決して今夜のコアラのおかずが入っているわけではありません。
この心遣いが嬉しいものですし、おしぼり列車的な感覚でヘッドマークや中吊りをつけて運転していましたが、
一企業の愉しい雰囲気がひしひしと伝わる、嬉しい場面に出会えました。
 
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