わたらせ渓谷鐵道  わ89−310形
 
  わたらせ渓谷鐵道の「わ」に1989年から増備が始まったから「89」、300形は2両、今回取り上げる310形は5両が製造されました。300形は転換クロスシートの車内だったそうで、取材できなかったのがそりゃ〜もう…だったのですが、セミクロスシートの310形もなかなか見応えありそうです。
地元企業でもある富士重工製のレールバスです。外観は茶色を主体にした塗装に動物のワンポイントイラストが側面に添えられています。前面にはヘッドマークがついていますが…今回取材した車両は「あかがねV」…なんかちょっとヒットした昼ドラのようなタイトルです(^^;;;
現在も新型車両に混ざって全線で活躍しています。また、廃車になった車両が待合所などで第2の人生を歩んでいるそうで…地域に可愛がられているなぁとしみじみ感じます。

(取材・撮影 わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線・桐生 他)

 

 

 


車内全景です。取材したわ89-314は平成5年の製造ですが…昨今のレールバスには見られない味付けの濃い〜車内が目の前に広がっています。中央に一直線に伸びるカバーつきの蛍光灯、蘇芳色の座席、そして薄い灰色の床のコンボを令和の世に見られるだけでテンションが148%上がりますが、さらにこの車両は「音」に注目して欲しいものです。8トラックテープを用いた独特の音声でのアナウンスが沁みます。

平成レトロなるものがこの先もしブームになるのであれば、この車内はその一つに入れてもいいのでは?!と思う哀愁を目で、耳で愉しめます。

 
排気管の処理が独特な乗務員室周りです。ドアは左右ずらして設置され、半室の乗務員室のスペースを作り出しています。
間藤方の車端部にはトイレがありますが、わたらせ渓谷鐵道は車両によってはトイレの設置がないだけに、この顔を見たら一安心…という方もおられると思います。
仕切り、客室側からはガラスが入っていません。しかもホームの向きによっては運転士さんが振り返るとドアの窓がそこに…という構成ですが(^^;; 妙なところにあるミラーで安全をしっかり確認できます。

乗降時に電球のだいだい色が周りを照らすのも、先々代の500円玉を模したと思われる案内が貼られた運賃箱、整理券発行機も…いつの間にか、懐かしいアイテムになってしまいました。


トイレとの仕切りです。かなりスマートな入口で、中は和式だったと記憶しています。妙な位置の鏡も合わせてどうぞ(^^;;
トイレの向かいはロングシートが展開していますが、広告枠と手すりが目の前に広がるばかりのスペースと化しています。風光明媚なわたらせ渓谷鐵道でここに座るのはちょっと勿体ないです。


中央1列に伸びた蛍光灯が今見ても格好良い天井周りです。冷房の吹き出し口が左右に展開しますが、この天井の化粧板はレールバスでよく見かけた白地に●をひたすら並べた柄になります。これもなかなかキュートな方角でレトロな装いだと思うのですが…そろそろ建築部材としてキッチン周りのパネルなどで広く流通しないものかとずっと待っているのは…私だけです(^^;;
吊革はロングシートの部分だけ。実用的かどうかはさておいて、昭和の頃のセミクロスシートの座席配置で良く見た吊革の配置を踏襲しています。


FMぐんまで語り継がれている某さすらいのドリブラーが意気揚々と発したbe with youのチープな曲紹介を思い出す…ことは一切ない、灰色一色の床です。
中央付近の点検蓋、これもなかなか年季が入っています。

 
折り戸のドア周りです。ステップは2段、今となってはちょっと狭くて段差の高さが気になる存在ですが、それでもステップ間際まで窓が広がる清々しい窓がいかにもレール「バス」らしい!と思うところです。折り戸を開けた時に手すりになるような構成にも惹かれますが、それよりもドアの真ん中にある手動開閉時の取っ手を見るにつけ、思い出すのはもはや送迎バス…(^^;;
半自動ドアのボタンや案内はありませんが、始発駅での発車待ちは入口のドアのみ開け、出口のドアを締め切りにしています。


ステップには残念ながら照明はありませんが、黄色いテープで段差がわかるようになっています。そしていかにも「乗る前に吸うように。」と門番のような位置に貼られた「禁煙」のマーク…このポジションは「あつい!」くらいしか見たことがないだけに、かえって新鮮です。少し前まではドアの上にも「禁煙」表記が貼られていました。そこまでアピールすれば…うちのじいちゃんばあちゃんに「だから教えてやれよ!!」と嘆かれることはありません。


窓周りです。嬉しいのは厚手の横引カーテン。手前だけまとめ方が独特ですが(^^;;ちゃんと一つずつまとまっています。窓の間隔が座席配置に合わせて開いていますが、通報ボタンや非常ブレーキボタン(!)が備わっている桟もあります。よほど使い方が乱れない限りそれらのボタンがカーテンで隠れることは無いですが、ほぼ車内中央に設置しているのは1両運転を考慮してのことでしょうか。


ロングシートです。トイレとクロスシートに挟まれた区画は4人掛けで、暖房の吹出し口もチラリ。
蘇芳色のモケットに蹴込み板のアイボリーが歌えガンガン紅白歌合戦かよっ!とツッコミたくなるくらい非常に映えます。バケット化はされていませんが、背もたれを見るとこの区画は真ん中の席があまり利用されていないように感じます。
クロスシートのフレームとロングシートのフレームがちょっと離れていますが、クロスシートの背面は寄りかかりには程良いポジションのようです。

 
6人掛けロングシートはトイレの向かいと桐生方上り進行方向左手、8人掛けロングシートは桐生方上り進行方向右手に1か所備わっています。袖仕切りが座席の脇、床から側面にパイプ形状で展開していますが、ドアと少し離れているとはいえ、冬場はちょっと寒いです…(^^;;
モケットに少しくたびれていると思わざるを得ない部分がありましたが、座面の柔らかさは健在です。オールロングシート車、セミクロスシート車、クロスシート車、ちょっと昔は転換クロスシート車も…と、トロッコ列車を除いただけでも座席のバリエーションが豊富なわたらせ渓谷鐵道。この座席が当たりかハズレかは利用頻度、利用区間に拠るところが大きいかもしれません。
私としては…もう少し座席間の仕切りが欲しいです。

 
固定クロスシートです。4人1組で左右3組ずつ、合計24席です。この24席はロングシートと同じ座席数になります。
肘掛けの形状が独特で、フレーム自体もあまり見慣れないものになります。富士重工のレールバスでクロスシートだとJR東日本キハ110形などでお馴染みの三角形のモケットを貼った肘掛けのクロスシートの採用が多い中で、今となってはあまり見かけないクロスシートです。フレームのゴツい足はモオカ63形あたりでも見ることができたので、フレームは決して少数派ではないはずですが…。
座面、背もたれともにバケット形状を採用しています。背もたれは厚みはありますが、厚みの実感はあまりありません。一方、腰回りの緩やかなカーブは切り立った背もたれの中でも良い位置で仕事していると思います。


薄く絵が書かれているように見える…のは私だけかもしれませんが(^^;;
テーブルを使ってアート作品を披露しているようです。画像では影になってしまっていますが、URLも書いてありました。
水沼駅で駅弁も売っているわたらせ渓谷鐵道。この大きさのテーブルで駅弁4つはさすがに無理ですが(^^;;少なくても飲み物4人分は置けます。
これで15時のボスブラックタイムの舞台も万全です。くれぐれも、振って振って〜振って振って〜しすぎてこぼさないように(^^;;
 
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