和歌山電鐵 2270系[たま電車]
 
  水戸岡鋭冶さんデザインの車両が続々と登場した和歌山電鐵。いちご、おもちゃに続いてターゲットになったのはネコ駅長としてブームになった「たま」です。その名も「たま電車」。
外観の楽しいデザインは公式サイトでも登場していますが、やはり水戸岡先生のデザインを愉しむのであればぜひ乗車してみたいところ。このたま電車は貴志駅到着前におもちゃ電車やいちご電車にはないちょっとしたお楽しみもあります。
現在運用は和歌山電鐵の主要駅やwebサイトで公開されていますが、たま電車に関しては早朝や深夜の出番はあまりなく、朝ラッシュ時から夕方まで稼働していることが多いようです。「寝る子」の精神がそのまま活かされているようにも思えます。
(取材・撮影 和歌山電鐵貴志川線・和歌山〜貴志)

 

 

 

 
いつもよりも広めに車内全景からご覧いただきます。このコンテンツは左側の画像が貴志川方先頭車、右側の画像が和歌山方先頭車になります。左側の画像は赤ベースの化粧板、右側の画像は黄色ベースの化粧板なのでその違いもわかりやすいところですが、実車は蛍光灯の色合いも画像以上に異なっており、外から見ても2両でだいぶ違う雰囲気になっているのがわかると思います。
車端部は本棚やショーケースが置いてあり、ドア〜ドア間でロングシートが展開する構成は2両とも同じです。ロングシートを用いている点は在来車も同じですが、リフォームを施すとここまでキレイで素敵な車内になるんですから、全国各地で「まぁなんてことでしょう」を実感したい方が手を挙げるのも不思議なことではありません。

加えてこの車内はたま電車。化粧板にもたまの様子が小さく描かれています。こちらも必見です。

 
乗務員室との仕切りです。化粧板のみならずカーテンもたま電車仕様。窓や扉の配置自体に変更はなく、運賃箱や運賃表示機の位置や大きさが変わらないのは使い勝手を配慮していて良いかと思います。
助手席側の窓の下にはテーブルがあります。リーフレットを置くのに最適なスペースですが、そのテーブルに取っ手を配置することによってその存在価値を向上させています。もちろん木製です。
車内の至る所に車両改造に際して寄付をした方の名前が掲載されています。

 
赤や黄色の化粧板が占めているドアから車端部の様子です。ドア〜ドア間は両車共通のアイボリー色を地に使った化粧板に、例によってたまの柄を散りばめています。
車端部は車椅子スペースや本棚などをガッチリ作り、その奥にある妻面も貫通路を中心に木で覆い、独特ながらも親しみやすい世界観を作り上げています。お洒落なお店の入口のような雰囲気で、鉄道車両の車内とはおおよそ思えません。
乗ってから3分くらいは(^^;
どちらの車両もスポット照明がアクセントになっています。

 
車椅子スペースの反対側は本棚になっています。編成中、奥深くまで座席を設置した本棚とちょっとした腰掛け程度の椅子を用意して収容力を拡大した本棚の2つがあります。ちょっとした腰掛けが左の画像ですが、はっきり言ってちょっとした腰掛け程度で電車で数十分揺られる中ずっと座るようなものではありません。まぁ、代わる代わる座って頂くスペースとしては良いのかもしれません。
本は児童書を中心にネコから日本の歴史までよりどりみどりの充実さ。通勤時間帯の車内で手に取って読む人がいたので、学級文庫的な位置づけでそれなりに定着しているようです。

 
車椅子スペースはソファやテーブル、ショーウィンドウとセットになっています。テーブルを設置している点はいちご電車と同じですが、たま電車ではショーウィンドウを設けて車椅子の方にも「見る楽しさ」を提供しています。
で、乗車時は貴志方車両がたまグッズの展示だったのに対し、和歌山方はなぜかドラえもんグッズの展示でした(^^;; ネコ型ロボットと駅長たま代理のタッグマッチを見たいところですが…そのための布石ですか?

 
天井周りです。蛍光灯の色合いの違いにもご注目下さい。
理由は定かではないですが、和歌山電鐵における水戸岡デザインの車内はすべて天井周りに改良の手が加えられていません。あまり目立たないのでキメなくてもいいのかな?ということなのでしょう。
それに対して乗客が直接手を触れる吊革の握る部分は木製の物に交換されています。

 
床は2両ともフローリングになっています。
一昔前に作られた路面電車の床のような武骨さは無く、靴を通して足裏に伝わる感触もなかなか好印象です。…と、ここまではおもちゃ電車やいちご電車にも共通した点ですが、たま電車だけはそのフローリングの上に足跡があります。
さりげない足跡、車両のどこからどこに伝っているのか追いかけてみるのもまた楽しみです。

 
ドア周りの画像です。貴志方車両の扉は赤、和歌山方車両の扉が黄色できれいに塗り分けられています。
周りが様々な造作で飾られているのでドア自体の存在感が隠れているようにも思えますが、整理券発行機の存在が「あ、ここドアだ!」と気づかせてくれます。
ドアステッカーもたま電車仕様で、窓の外にはしっぽが見え隠れしています。
 
片開きドアも同様に黄色と赤で塗り分けられています。乗務員室の背後は片開き扉で、このあたりの配置は種車と共通で、この扉配置がいかにワンマン運転に適しているかが伺えます。
ドアの色のみならず、床の配置パターンをドアの前で変えているのも要チェックです。

 
座席は全てロングシートながら、水戸岡先生ならではの様々な意匠が3〜5席ごとに施されています。ドア〜ドア間の座席をとりあえず端からとりました。この2枚はいずれも貴志行きで進行方向右側の座席になりますが、早くもそのバリエーションの多さが光ります。
どの座席にも言えますが、種車の座席下ヒーターを活用しているため、水戸岡デザインは座面から上ということになります。このヒーターの銀に色を塗れば、もう少しこれらの座席が映えそうな気がします。
 
今度は貴志行きで進行方向左側の座席になります。座面のモケットの多彩さに見惚れてしまいますが、多くの座席で座布団程度の薄い座面になっていることが多く、種車のしっかり沈み込む座面とは幾分ギャップがあります。また、これは一部の座席で言えることですが、背もたれと壁の間に隙間があり、冬に乗るとその隙間に風が吹きます。格子状の背もたれはその風がダイレクトに背中や腰にきますので、それを覚悟の上座った方がよさそうです。
デザインはすごく面白く、特に座面の下に脚がついている点は美しく、鉄道車両ではなかなか斬新な見せ方をしています。決して脚フェチでは無いんですけどネ。

 
その脚付きロングシートだけを切り取ってみました。赤い座席はなかなか存在感があり、座席のみならず車内での良いアクセントになっています。右の画像は黄色い車両、すなわち和歌山方先頭車の座席になりますが、こちらは木の素材をフル活用した、おとなしい物になっています。座布団の賑やかさが引き立っていますが、これもネコに合わせた色を選んでいるとのことです。そして、背もたれの後ろにはネコが…凝ってます。

 
背もたれに猫が象られた(^^;; 形状も多数あります。それぞれの車両から面白い部分を切り取ってみました。
特に右の車両の「TAMA1」から「TAMA5」までのシリーズは傑作かと思います。色々な想像と妄想が膨らむ、素敵な座席です。この素敵な座席に座るくたびれたサラリーマンの哀愁ときたら…涙なしには語れません。

 
車端部、車椅子スペース隣のソファを見てもこれだけ違いが見られます。唯一無二の作品として見てしまいます。座り心地はさておき、妻面に肘掛をしっかり設けている点は素晴らしいですし、左の画像は緩いカーブを描いた座面なので、車椅子スペースに向いて座るのも自然にできるのではないでしょうか。


 
そして、素敵な装飾の数々。観光客でなくても思わずカメラに収めたくなるような品々が満載です。
窓枠に設置された照明もネコの形になっています。どこまでこだわるんですかぁ??


ベビーサークル、そしてタマ用のゲージです。
中にはタマがいますが、ちょっと平面すぎませんか?できればヌイグルミを入れてあげて、もう少し立体的に見せてあげても良いと思うのですが… ついでにベビーサークルの中にもヌイグルミを入れてあげると、小さいお子様が喜ぶかもしれません。

徹底的にネコにこだわる車内だけに、これからも続々と仕掛けが登場してネコでなくてもまっしぐらな車内になっていくのかなぁと思うとさらにワクワクしてきます。…私は本物のネコがちと苦手でなので「たま」に乗ることにします。
 
 
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