いきなり1960年代の邦画タイトルみたいな文字で始まってしまってすみませんでした(^^;
本州最北端の私鉄、津軽鉄道。毎年冬がこの地に訪れると1日2往復だけの「お楽しみ」が始まります。もうすっかり全国区になった「ストーブ列車」です。今回はその「ストーブ列車」で活躍する旧型客車3両のうち、一般客が乗れる車輌でもあるオハフ33を紹介します。
外観を見るともうそれは旧型客車そのものの趣。手動ドア、木の枠の窓、そして厚ぼったい塗装は昭和50年代に生まれた自分でさえ「懐かしい」と思い込んでしまうほどの魅力を秘めています。そして屋根には2本のかわいい煙突。大柄な車体には不釣合いですが(^^;これがないと車内が大変な事になります(^^;;
小柄な機関車に引っ張られ、津軽五所川原から津軽中里まで冬の間はほぼ毎日運転しています。なお、先ほど申し上げました通り一般客が乗れるのは五所川原寄りの1両だけ、他の車輌は団体専用なのでご注意ください・・・。
(取材・撮影 津軽鉄道/金木〜津軽中里)

 

 

 


車内全景です。もう外観の期待を裏切らない内装に心が躍ります。2ドア、クロスシートの車内。
旧型客車といえばまさにこの内装!木をふんだんに使い、化粧板もニス塗りの木です。かつてはあたりまえの内装だったのかもしれませんが、今の車輌の感覚に慣れているからでしょうか、これが新鮮に見えるのだから不思議な物です。
車内の空間をちょっぴり支配するように2本の煙突が見えますが、これはダルマストーブから伸びるもので、良い子も悪い子も触ってはいけません(^^;


車端部です。前に見えるのが機関車になります。丸みを帯びた天井が印象的です。
冷房がつかない分余計なダクトもいらないので、車体を最大限使って空間を確保しています。
貫通路の左上にはエバーグリーン賞のプレートがちょっと浮いた格好でついています。津軽鉄道のストーブ列車に対する取り組みが評価されたとのことで、鉄道友の会(なんて組織があるんですね(^^;; )から表彰を受けています。


さて、車端部の広告枠には俳句が飾られています。津軽鉄道がストーブ列車に対する一句を募っています。
勿論広告枠も木の枠でできていて、普段の通勤電車のそれとは全然違う、上品な雰囲気が漂います。
そしてその手前のステッカーにもご注目下さい。「老人身体障害者の席」とストレートに書かれた、古びたステッカーが。この車輌の生き証人でしょうか、なんだか味があって・・・とだんだんこの車輌の虜になっていく自分でした(^^;;
尚、「老人身体障害者の席」のモケットは普通の席と変わりません。


さてちょこっと客席を飛び出してみました。五所川原寄りのデッキと客席の間にはこうした乗務員室とフリースペースが設けられています。フリースペースの方にはゴミ箱が設けられています。
蛍光灯をつけないで運転していたのでどうしてもこのような狭い空間は暗くなりがちですが、初めて乗る時の「ワクワク感」を感じるにはちょうど良い暗さかもしれません。えぇ、木の落ち着いた佇まいを一番身近に感じられる場所ですから。

デッキはまた後ほどです。


天井は・・・・・・ストーブの煙突は仕方ないにしても、何をどう改造すればこうなるのかなぁ・・・とツッコミを入れたくなるぐらい良くわからない物体で賑わっています。うーん、わからん。
真ん中の白いマルは空気の通風孔、左の丸や右の細長い物体は蛍光灯になります。通風孔は外のベンチレーターに直結、客車に新鮮な空気を運ぶ役割を担っています。
白い鋼材がうっすらと確認できます。これは天井の止め具のような物で、屋根全体をこのようなか細い物体で支えているわけではありませんのでご安心ください(^^;;


唐突に使い古しのスノコを思い浮かべてしまいましたが、床も木を使っています。ただ、化粧板のそれとは違い、どことなく黒がかっている床の木。年輪とは別の、何十年もの「記憶」が詰まっています。


さて外に飛び出してみました。デッキです。ホームからは段差を2段上がっての乗車になります。
なんといってもここでの注目は扉。薄汚れた窓ガラスにも注目ですが、この扉、なんと手動です。全国宏・・・もとい広しと言えどドアエンジンがついていないドアを介して乗車できる車輌は・・・今ではそうそうお目にはかかれません。手動ドア・・・になれる自動ドアはいっぱいあるのですが(^^;

この辺りの記憶はあやふやなのですが、ドアは原則として乗務員さんが開閉を扱います。そして走行中以外はデッキへの立入は禁止されていたと思います。20年前は当たり前のように?!できたであろう、「デッキのドアを開けて夕涼み〜」なんて洒落たことは今ではできません。何せ危ないですからね。


再び車内に戻ります。この「へぇ〜」のボタンと間違えそうなランプはトイレがついていた証です。
トイレに灯りがともると「入っていますよ〜」というサインとしてこのランプもつくのですが、今では白く塗られてその役割をすっかり終えています。
ちなみにトイレは津軽中里よりのデッキと客席の間にありました。現在は緑の化粧板で覆われたフリースペースになっています。画像も撮ったはずなのですが…真っ暗くろすけな画像になってしまったので割愛します(><)


座席をお届けする前に座席周りをどうぞ。木の枠の窓に緑の「網」で作られた網棚。そしてカーテンには年季を感じます。
カーテンは残念ながら老朽化が進んでいて、布がかなりくたびれていたり、カーテンレールと収納機構の関係でうまく収納できなかったりしました。布地という特性上、老朽化が早いのは確かにわかる気がするのですが、こればかりはなんとか頑張って貼り替えて欲しいなぁ。
窓も若干隙間風が入ってきて、ストーブの暖かさと隙間風の冷たさのギャップに驚きましたが、これは木の枠という特性なのかなぁと勝手に理解してしまいました。窓枠に手をおかなければさほど気にはならない隙間風ですし。


座席も木の枠にレトロな肘掛け周りです。4人1組のクロスシートで、ストーブのまわりのみ席を撤去している関係で画像のような「シートピッチがちょっぴり広くてお得な席」も登場しています。ただし、ストーブの周りは滅茶苦茶暑いですが(^^;;;
モケットはピンクのチェック柄で、旧客を乗り回していた方にはちょっぴり違和感を覚えるかもしれません。自分はこの組み合わせ、結構好きです。桜のような雰囲気ですよね(^^)
バネの感覚と切り立った背もたれがやっぱりレトロな感覚で楽しめる、ちょっぴり過ごしやすい座り心地です。窓側の座席は配管の関係で足元が窮屈なので、通路側の方がよりゆったりできると思います。

ツウな方は座席下にもご注目下さい。座席ヒーターが床に固定で置かれているのですが、一部の座席では画像のように四角いカバーなどが外され、中身の棒が丸出し、という席がありました(^^;; うまい棒の袋でもかけておきたい気分です(^^;;;


テーブルの天板と窓枠です。素材の違い、おわかりいただけますか?
テーブルは横長のもので、キハ58などでもお目にかかるような物が使われています。伝説の「センヌキ」はあるのですが、どうも天板の茶色が窓枠の茶色よりも明るく、テーブルそのものが他の設備よりも新しい感じがしたので、恐らくストーブ列車運転開始前後あたりに廃車車輌からテーブルだけもらって、リフレッシュの上取り付けたものかと思います。
ちょうど薄日が差してきた、白銀の津軽平野の車窓にアルコールは似合いまっせ★


そしてダルマストーブ、この車輌の目玉です。
途中何度か石炭を入れていましたが、入れ方も豪快、その後の火も豪快。車内なのにも関わらず情熱を感じました。
ちなみにストーブの上には網が。これも全国区になった「ダルマストーブでスルメを焼こう!」というイベントのための仕掛けですが、自分が乗車した時はスルメの姿は一匹も見つかりませんでした。平日だったので観光客よりも地元の方が多く、その地元の方はあまり車内でスルメを焼かないらしいです。まぁ一日一乗車一匹のペースだったら飽きますよね(^^;

ただ、昼間からビールを片手に・・・と言う方は観光客を中心にチラホラ・・・。至福の時間ですよね。


最後にストーブ列車が金木駅で発車した時の模様です。
一時は廃止が叫ばれていたものの、ストーブ列車を愛する方々を中心に反対して今日まで残ったストーブ列車。津軽の冬の名物詩として、これからも、その火を絶やすことなく活躍してくれることを願うばかりです・・・。

皆さんも、ぜひ一度暖をとりにいらしてください。自分もまた行きたいなぁ・・・。今度こそは…スルメにビールに(以下自粛
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送