東急電鉄  大井町線8090系
 
  このコンテンツで取り上げるのは昭和55年に登場した…という割にはあまり古さを感じさせないステンレスカー、東急8090系です。
元々東横線用として投入した経緯があるものの、現在は東横線では全く使用されておらず、主力は大井町線の5両編成で、わずかに田園都市線に2編成が稼働している状況です。
また、後年先頭車だけ増備されました。8590系として貫通扉を備えた顔になっています。田園都市線の2編成もこの系列の先頭車になっていますが、このコンテンツでは8090系の先頭車でお届けします。
8000系、8500系に続いてこの系列も地方私鉄への譲渡が始まっています。都会で格好良く映る彼らが地方ではどのように映るのでしょうか。
(取材・撮影 東急大井町線・大井町〜旗の台)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。4ドアロングシートの車内は…外観の若々しい見た目とは裏腹に、昔ながらの…というべきか、昨今の車内と比べてちょっと「古い」印象を抱きます。もちろん丁寧に整備されているので快適な大井町線ショートカットが過ごせるわけですが、東横線を近年引退した8000系における晩年のイジリ具合と比較すると、座席周りを中心にあまりイジられていない様子が伺えます。他線から乗り換える乗客にとってみれば車内のアコモデーションよりも到着時刻やその先の接続の方が気になるかもしれませんが、先ほどはきっちりバケットシートで7人分座れていたのに、あれ、こっちは…?という事態も招きかねません。


乗務員室との仕切りです。ある意味この部分の窓の大きさが一番古そうに感じる部分で、逆に言えばこれだけ開放的な仕切りが近年少なくなってしまっていることが実に残念です。この窓の大きさは地方私鉄に譲渡する際にワンマン機器を取り付けやすいというメリットもあります。

吊革は仕切りまで伸びています。大井町駅の構造上先頭車に乗客がたまるのは明確で、吊革の配慮に対して仕切りの握り棒の高さが1ヶ所しか選べないのはちょっとマイナスです。
両先頭車ともドアの開かない駅については鴨居部でステッカーを掲出して案内しています。

 
車椅子スペースは田園調布方から2両目に設置されています。東急はこの手の設備には力を入れており、8090系についてもかなり前からついている印象があります。
右の画像がその車椅子スペースで、座席、網棚を撤去し握り棒と滑り止めのシートを新たに設けています。

さて、この車椅子スペースですが、妻面のちょっとしたでっぱりにモケットを貼っています。腰掛け程度に利用できるようにとの配慮でしょうか、座れなくてもこのスペースに寄りかかるくらいなら少しは楽に移動できそうで、東急のアイデアが光っています。
後年2代目7000系でも同様の発想からか腰掛けを兼ねた握り棒を設置しており、車椅子スペースの黎明期の産物で済ませずに今も活かしている点は特筆できます。

 
車椅子スペースの無い車端部はこのように両側とも座席が展開しています。一部の車端部には貫通扉や消火器が設置されていますが、それもまた両開きだったり、剥き出しだったりとなかなかレトロな面持ちです。
左の画像が優先席仕様ですが、辛うじて吊革やステッカーでわかる程度で、座席モケットの変更は行っていません。もっともステッカーの色とモケットの色が似ているので「あ、優先席だ!」と気づく人がいるかもしれませんが…ちょっと苦しいですね(^^;;


天井です。分散型クーラーと扇風機が展開しています。これも懐かしのアイテムそのもので、この時期であればJR201系をはじめ数々の車両でフラットな天井やラインデリアが出始めていたのですが、車両メーカーをバックに有する東急においてそれを採用しなかったのは素人目線としてちょっとだけ不思議です。

吊革はかなり多く設置されています。


床はベージュ一色。東急らしい色の使い方です。


ドア周りです。鴨居部の蛍光色のシールが真っ先に気になりますが、ドアーが開かない旨の告知シールになります。
無塗装ステンレスのドアで、近年点字による位置確認シールも貼られています。下半身フリーのクマステッカーも健在です。
他系列にもあてはまりますが、ドアの開け閉めが実に穏やかで、ある程度の機械音は出るもののバタつく音が出ないのであまり耳障りではありません。

LED表示機による案内がないので、大井町線をバイパス路線として乗り継ぎと乗り継ぎの合間に使う人は乗り換え駅の把握に要注意です。


窓です。1段下降窓は東急の十八番。窓と窓の間にある桟にも化粧板が貼られていて、ドアーが開かない駅があることを知らせるステッカーがここにも貼られています。


座席です。ドア〜ドア間7人掛けのロングシートです。モケットは登場時から一度変更されており、現在は4人掛けを茶色、3人掛けをオレンジ色でやんわりと座席の長さをアピールしています。

東急独特のあまり沈み込まないシートで、座面のフィッティングの悪さは相変わらずですが、あ、硬い!と率直に思わなくなってきたのはもとより底つき感が強いバケットシートが流行ってきたからでしょうか。近年は座面よりも袖仕切りの形状や座席幅の方が気になってしまいますが、私自身の横幅の成長が原因との見方もできるため、これについてウダウダ書き連ねるのはやめておきます。

 
車端部は茶色モケットバージョンとオレンジ色モケットバージョンの2種類があります。優先席に力が入っている東急だけに、優先席専用の柄を用意していないのが不思議でたまりません。他系列で優先席のマークを入れたモケットを作っているのとは大違いです。

妻面は狭く、3人座ると正直キツい部分もあるかとは思います。ただ、妻面にもモケットを貼っており、身体が妻面の壁にあたった時に冷たい感触を和らげているのは好感度アップです。これは最近の車両も見習って欲しいです。


…モケットには力が入っていませんでしたが、ここには力が入っていました。
技術の進歩が垣間見えます。

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