東京急行電鉄 1000系
 
  今となっては池上線、多摩川線の顔としての活躍がお馴染みになってしまいましたが… 東横〜日比谷線直通列車としてショートな編成長で運用される姿の方を思い出される方も多いかと思います。現在は相互乗り入れが終わったため他社への譲渡、池上線・多摩川線系統への転籍等動きが活発ですが、まさか1000系に対して「地方私鉄が欲しがる名車」としてwebサイトに紹介される日が来るとは… 地方私鉄への譲渡なんて思い描いたこともなく、時の流れを感じずにはいられません。
今回は当初より池上線、多摩川線系統で走っている3両編成の模様を中心にお届けします。こちらもワンマン化やスカートの設置など細かい変化はありましたが…何よりも方向幕が残っているのが嬉しいですね。
(取材・撮影 東急池上線・雪が谷大塚〜蒲田)

 

 

 


中間車の全景です。3ドアロングシート、18m車ということもあり、ドア〜ドア間が4ドア車よりも長いのが特徴です。
1980年後半から90年代前半にかけて東急が製造した車両で見られる暖色系を中心にまとめた車内、まだまだ健在です。7700系や7600系で感じる車内の狭さを全く感じないつくり、今見ても全然色褪せていないように感じるものですが…。
都市形ワンマンのため、整理券などは特にありません。


乗務員室との仕切りです。蒲田駅や五反田駅では改札が端に寄っているため、池上線や多摩川線では最も混雑しやすい場所でもあります。吊革は仕切りまで伸びていますが、仕切りの握り棒は高さに差をつけてもう1本増やしても良いかもしれません。
乗務員室の構成に倣って仕切り扉を中央からやや右側にずらしていますが、そのまま外の貫通扉に接続できる構成は見事です。そういえば1000系の中には8両編成での運転も考慮して中央に貫通扉を設置した車両も在籍していたと思うのですが、その場合の仕切り扉はどの位置に設置されていたのでしょうか…?今度見かけたらチェックしてみようと思います。


取材した編成の先頭車は車端部が優先席仕様のモケットでした。東急の8000系列は同じ編成でも車内の様子が車両ごとに異なることがよくあり取材時の悩みの種でもありますが、1000系でも優先席のモケットに換装されている車両とそうでない車両、スタンションポールがある車両と無い車両… 細かい差が色々とあります(^^;;
一つ言えることは、全編成の共通項として、先頭車の車端部は優先席ステッカーが貼られ、吊革は黄色いものに換装されていること、これで確実に優先席かどうか判断できます。あくまでもモケットは二の次ということなんですネ。

 
中間車は蒲田方に優先席と車椅子スペースが備わっています。逆サイドは優先席に指定されていない車端部で、編成では唯一のポジションになります。平成27年10月に観察した限りでは中間車に優先席モケットが登場する編成は見かけませんでしたが、例によって通常モケットを備えています…。
妻窓が大きいこともあり、黄色い帯ステッカーは正面からはあまり目立っていません。乗る時にドアから見て目立てば作戦成功といった具合でしょうか。

非常通報機と床の張り替え、握り棒を設置した寂しい車椅子スペースです。車椅子スペースの登場時期を考えればこのくらいの設備でもやむを得ないところかもしれませんが、「フリー立席スペース」と言ったところでしょうか。妻面に横方向の握り棒が欲しいところですが、車椅子スペースで窓に握り棒がかからない車両、実は珍しいかもしれません。


天井です。フラットな天井は中央にラインデリア、そして両脇にカバーなしの蛍光灯を備えています。天井から側面にかけて設置された広告枠がより一層天井の高さを感じさせます。7000系列が残っているから…という側面もありますが…
一方、吊革や荷棚は丸かったり金網だったりとちょっとアンバランスな構成です。吊革の多さは今更言うべき事でもありませんが、朝から晩まで吊革が活躍する事が多い乗り具合は日常の光景でもあります。


床はベージュ一択。これも東急ではお馴染みの構成です。どの色にも合うのが最大の強みです。

 
さて、池上・多摩川線の1000系はこのドアが謎ポイントです。鴨居部にはこのような横長の箱がほぼ全てのドアに設置されていますが、これは一体…。恐らくドアチャイム用の「箱」だと思うところですが、それにしては不自然で大きすぎます…。もしかして…昔はLED表示機で案内をしていたもののやめてしまったパターンでしょうか?次駅案内程度であれば池上線・多摩川線で使用したところで全く問題ないと思うのですが…。
ドア自体は静かに開閉する無塗装のもので、あの熊のイラストもそのまま残っています。


窓は3連のもので1段下降窓です。ロールカーテンが設置されているのが嬉しいです。座席の割り振りと側窓の間隔は一致していないため、中央の桟にもたれかかるのはちょっと難しそうです。

 
中間車のドア〜ドア間の座席です。9人を3人ずつ3組に区切っています。配色パターンはオレンジが多いか茶色が多いか…といった具合で、車端部も含めて車両内でオレンジ⇒茶色⇒オレンジ…となるようにしています。肘掛に関しては登場時から画像のとおり設置されていますが、後年製造された車両ではスタンションポールが併設された肘掛けになっています。
硬めが基本の座り心地で、特に座面の硬さが体の重みと反発しているように感じます。深く柔らかすぎるとバランスを崩してしまいますが、若干柔らかくしてもう少し沈み込むと良いのになぁ…と思ってしまいます。
 
車端部は4人掛けです。ドア周りの余裕を活かして2人-2人、或いは1人-3人に分けて肘掛を入れると腰掛けやすい椅子になったと思うところですが…他の形式にも4人掛けのロングシートはあり、部品などの融通の関係でドア〜ドア間のような自由自在な組み合わせは難しかったかもしれません。また、座席とは直接関係ありませんが消火器が頭上に設置されているのは落ち着きません。

そして優先席はお馴染みのシルバーシートマークが散りばめられるわかりやすいモケットでお出迎え。これほどインパクトのあるモケット、他には無いので大事にして欲しいところなのですが…(^^;; 版権がわからないので勝手に創作物にできるかどうかはアレですが、マニアパレルさんあたりでTシャツとかトートバックあたりが出たら買いたいレベルです。
暖色系のモケットに対して青色という明らかに別の色で設定したのはグッジョブです。


最後に肘掛けのパーツにスタンションポールをつけた模様です。この中途半端なつけ方、なんとかならなかったのでしょうか…。肘掛自体はプラスチックのパーツを別につけて金属質が直接伝わらないような工夫を施しています。

…で、この文化は残らず、スタンションポール&バケットシートが全盛になってしまいました。映画館などで時々起こる「肘掛は誰の物?」という論争が通勤電車の鉄道座席界でもあったかどうかはわかりません。ただ、自然と置くスタイルから時に力を入れて握らせるスタイルが主になったのはくつろぎの観点から見ると実に残念です。
 
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