東京都交通局  8800形
 
  2009年に登場した荒川線の車両で、2008年に投入されたレトロ車両に続いての新車となりました。現在は10両まで増えて荒川線の主役の一角となっています。
デザインは広く公募で3つの案から選ばれました。どれもこれまでの荒川線にはない洗練されたもので、いざ実車を見ると実に格好良くまとまっていて、新時代の到来をひしひしと感じたものです。側面にはARAKAWA LINEと大きく入ったあたりも…あれ、いつの間にかTOKYO SAKURA TRAMに変わっているではありませんか?!トーキョーサクラトラムと唱えるよりも荒川線と言う方が心なしか多い取材班ですし、何ならバラも美しい沿線風景も魅力ですが… せっかくのローズレッドのボディもサクラとかバラとか言い始めると、どうも精肉店の品物に見えてきてしまいそうな今日この頃です。
(取材・撮影 都電荒川線・王子駅前〜三ノ輪橋)

 

 

 


車内全景です。前中扉の車内は片側クロスシート、もう片側をロングシートと車椅子スペースのデュオの配置で点対称に整っています。8500形で試行錯誤していた車内の構成、9000形から採用されたこの構成は8900形にも引き継がれています。
これまで緑や青のモケットを採用する中、8800形はバラをイメージしたモケットで見た目も変化を遂げています。黄色いスタンションポール共々、これまでの都電荒川線の雰囲気をガラッと変えています。8900形の遊び心溢れるモケット、9000形や7700形が醸し出すちょっとくどい木目調とは異なる、普段遣いにはちょうど良い落ち着いた空間に仕上がっています。


少し遠めから乗務員スペースとの仕切りです。9000形や8900形にも通じる構成ですが、液晶画面による次駅案内はこの形式から行っています。駅ナンバーの丸を桜の花びらでかたどったのは面白い試みですが、縦長の表示はちょっとしたクセを感じさせます。
客室のあかりが前面ガラスに映り込まないように横引カーテンが仕切りに設置されていますが、新型コロナウイルス感染症の感染防止のビニールシートはそのカーテンレールをうまく利用して設置していました。一方、仕切り右側、クロスシートからの前面、後方展望ができる部分は特段ビニールシートなどの設置はなく、暗くなると遮光板が登場します。その遮光板の左上には防犯カメラ、右上には発車時に良い音が聞けるベルがあります。結構このベル、音量大きめです…(^^;


車椅子スペースです。寄りかかり用のクッションが設置されていますが、一度に寄りかかれる人数は詰めて2人、1人が寄りかかっていたらちょっと隣は敬遠したくなるような中途半端な長さです。でも、短距離の利用でも寄りかかれるのは良いですね。
1両に2か所ある車椅子スペースのうち、1か所には避難はしごが設けられています。車椅子の固定器具も格納されています。それにしても…降車ボタンの多いこと… 投入当初の車両とは異なる仕様のボタンですが、白い化粧板にはよく映えています。


天井周りです。木目柄の化粧板をここに持ってきています。なかなかお洒落な選択ですが…あまり注目されなかったからか、8900形に継承されることはありませんでした。その内側にはLED照明が入っていますが、出口に近い1灯についてはカバーがついています。さらに内側には吹出し口、中央にはラインフローファンが備わっています。中吊り広告は立客の邪魔にならないように少し高さを抑える留め具を用いていますが、この形式独特のもので、一見同じようなことをやっている大江戸線でもあまり見ない形状です。
その留め具には「安全で 明るく さわやか 未来を目指す都営交通」と書かれていますが…良いですね、こういうところに出てくるポジティブな標語(^^; 街中の青少年に訴える看板のように、つい声に出したくて読んでみたくなりますネ。


床です。ドアには点字ブロックのような凸凹がついた黄色いシートが貼られています。床の柄は趣味誌には石目柄と紹介されています。汚れがあまり目立たないような模様を採用しています。

 
ドア周りです。8500形とは全く異なるカクカクした窓が印象的なドアです。そうそう、この形式では片開き扉でもちゃんと片開き扉のデザインでまとまっています。え、どういうこと?というのは8500形を見ていただくと…(^^;; このカクカクしたドア、近年他事業者の路面電車の車両でも結構見かけるようになりました。
出口は中扉一か所になりますが、出口の案内表記があまり目立っていません。ひらくとびらにご注意…といった案内は充実していますが、中扉周りにはこれといって見当たりません。放送でカバーしていましたが、この2枚の画像で出口と記載されたプレートは1枚だけ…私も危うく、間違えて前ドアから降りてしまいました…(涙


側窓です。引き違い窓に保護棒、下3分の2ほどは固定窓になります。荒川車庫前の都電おもいで館の車両を見ると保護棒は車外に設置されているケースがみられますが、今のトラムは内側が保護棒。手すりではありません。


ロングシートです。間にスタンションポールが2本挟まり、座席はバケットシートが8人分設置されています。背もたれと座面が垂直に交わるロングシートは奥行きも狭めで、いかにも短時間向けのセッティング。その割に足元狭めになってしまっているのは路面電車としてやむを得ないところなのでしょうか…。なお、ロングシートは全席優先席扱いではありません。
袖仕切りの形状が少し独特ですが、この形状で立客との分離はバッチリです。


クロスシートの背面です。優先座席のプレートが取り付けられています。周りは優先席ですが、プレートは優先座席…(^^;
汎用性の高い肘掛けにはレザー張りのクッションがついていますが、結構カドが擦れてしまっているものが多くみられます。8900形ではパイプ形状に改まりましたが、なるほど納得といった劣化具合です。乗車時間を考慮すると、もう少し出入りしやすい形状の肘掛けでも良いのでは…と、8500形を身ながらついつい思ってしまう、汎用性の高そうな肘掛けです。
そして、背面はモケット張りです。化粧板を貼った8900形のような重たさは感じられません。

 
クロスシートです。この限られた空間の中で背の高い背もたれを採用した点はなかなか素敵で、8900形や8500形よりも若干包まれている感じがするのはこの形式の大きな特徴になろうかと思います。一方、背もたれの角度は8500形と比べると少々切り立っており、包まれて…の感覚が窮屈に感じるとしたら、この形状が原因になるのでは…と思います。狭い足元故に背筋をシャキーンとさせたい気持ちはわからなくもないですが、何もそこまで緊張させなくても…(^^;;
8800形は優先席の柄の区別はしていません。前向きの席を優先席にしたのは先見の明がありますが、地下鉄やバスを見ているとちょっと意外です…。
君は薔薇より美しいということで、優先席専用モケットをも跳ねのける美しさ…といったところでしょうか。
えぇ、歌いたくなりましたとも。変わった〜♪と。
 
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