東京都交通局 8500形
 
  実に28年ぶりの新車…平成2年に登場した斬新なデザインの路面電車は少なからずや近未来の路面電車を思い起こさせる格好良さをイメージしてくれるものだと確信していましたが…その後の増備は5両でストップしてしまうのでした…。今回は5両在籍するうちの後期型、8504号の車内を中心に見て行こうと思います。
左の外観画像はラッピング広告をつけた平成29年の8504号で、大胆なピンクの帯が印象的です。東京さくらトラムなんて愛称もつきましたが、スポンサーが花を咲かせてくれると撮っているこちらもちょっとだけ楽しくなってきます。これからも、阪堺電車のようなコッテコテの広告を期待しようと思います(^^;;
都電荒川線を忙しく行ったり来たりする日々です。
(取材・撮影 都電荒川線・荒川車庫前〜三ノ輪橋)

 

 

 


車内全景です。とにかく窓の大きさに目が行きます。そして、片側1人掛けクロスシートが並ぶ車内は実は都電荒川線では珍しく、各地の路面電車を見てもじっくり探さないとなかなか見つからないような構成です。
地下鉄の車両と一緒で時代によって細かな改良が加えられていて、この形式でも車椅子スペースに設置された補助席が撤去されていたり、降車ボタンが変わったりしていますが…それでも他の車両とは違う雰囲気、偶然乗れたらちょっとテンションが上がりそうです。


乗務員室との仕切りです。仕切り自体にも特徴があり、鏡に映る部分を斜めに切り取ったり、右側窓の開閉部分に隙間を設けたり、前の座席の足元に蹴込みを設けたりと細かいところまで気を配った設計になっています。また、仕切り自体に大きな窓を設けている様子も伺えますが、乗務員の後ろにあたる部分に案内の紙をベタベタ貼っているところを見ると、そこまでの開口部の確保は勘弁して!という声が聞こえてきそうな気さえします。
そしてLED表示器には時刻表示を備えています。都バスでもお馴染みのこの表示、嬉しい配慮です。


車内中ほど2か所にある車椅子スペースです。ヒーターの展開はかつてここに補助座席が設置されていたことを思い起こさせるアイテムで、戸袋窓の下の手すりや降車ボタンはその後に設置されたものかと思われます。やたら降車ボタンの数が多いようにも見えますが、ラッシュ時の事を思い浮かべるとこれくらい必要かもしれません…。車椅子固定の用具はこのスペースの反対側にスタンバイしています。


ラインフローファン、そしてカバーつきの蛍光灯が時代を感じさせる天井周りです。低い天井にカバーをつけるのは都営大江戸線の車両でも見られましたが、この車両のカバーつき蛍光灯はちょっと普段よりも背伸びしたような装いを感じさせます。はっきり言って、格好良いです。
荷棚はありません。それどころか他の車両で見かける窓上の広告を見かけません…一応広告枠は用意されているのですが…(^^;; 吊革は後年交換されたものかと思います。



床です。アイボリー一色で、段差は特にありません。ただ、黄色いシートの部分は若干の傾斜がついています。これも後年取り付けられたものかと思います。バスでかつて見かけたグレーの握り棒がこの形式では健在で、平成生まれながらちょっと老けてるかなぁ…と思わせるパーツでもあります。さながら、あ、手の入っていないところ見っけ!といった様相でしょうか(^^;;


実際に乗って気が付く点っていくつもあるのですが、一番驚いたのが降車用ドアが片開き扉だった事です(^^;; 正直なところ、かつての主力6000形に倣って半分ずつ戸袋方向に開く2枚扉か、まさかの折り戸だと思っていたのですが… 窓のRも見た目のカクカクした雰囲気からは想像できない形状で、見ていてつい可愛く思ってしまいます。ここ、今の合理的な車両の作りだったら1枚窓の扉にするだろうなぁ…と思っていたら、実は後年同じようなドアが新たな車両で登場しているのでした。
ということで、東京都交通局のまさかのこだわりポイントと認定させて頂きたく存じます。拍手!


ちょっとお疲れ気味の両開き扉、こちらが降車ドアになります。これなら縦長の窓も見慣れた物に落ち着きます。
混雑時間帯でも終点以外は中扉からの降車になり、意外とその案内が徹底されているように感じますが、ドアそのものに「出口」の表記が内側ではあまり見られません。ステッカー類は充実しているだけに、鴨居部分の路線図の脇に外国語も含めて「出口」を書いてあげるとちょっと親切かな、なんて思います。


大きい窓です。2段窓で無い部分も大きく見える窓につながっているかもしれません。ロールカーテンもついているので日射しが眩しい夏の日中にも十分対応できます。
方向幕がかつて入っていたであろうケースの色がちょっと気になるところですが、外側はLED化が完了しています。こちらにも運賃の案内や路線図がビシッと収まっています。

 
座席はいわゆる路線バスで見かけるようなタイプの固定クロスシートですが、取っ手や背面を見る限り懐かしいパーツもありますが、レトロという切り口だけでは語れない斬新なデザインです。正直その当時の都バスで流行っていたデザインかどうかはわかりませんが、例えば肘掛一つ切り取っても乗り降りの邪魔にならず、樹脂パーツで手に触れる部分は端から端まで覆う様は実に良く考えられています。バリアフリー化や標準化に向かって一斉に走り出す前夜の華々しいひとときを垣間見たような嬉しさを感じました。
足元が狭く、座席の半分が進行方向後ろ向きになってしまうのが難点ですが、横幅は窓側にヒーターのダクトがある関係で見た目以上に広いです。座り心地も小さいなりにしっかりまとまっている印象です。

優先席も同じモケットですが、背面に記載されたのは「優先座席」… シルバーシートのマークも健在で、なんかいろいろ混ざっちゃってすみません(^^;
 
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