東京都交通局  6300形[3次車]
 
  1999年から2000年に増備された6300形は3次車と呼ばれ、1次車、2次車とは区別されています。見た目はさほど変わっていないように見えますが、特に車内に関してはコストダウンの要素が強いとかなんとか…
現在は1・2次車が先に新型車両にバトンタッチ、3次車が幅を利かせる体制に移っています。車両番号の付番を見ても8両編成化への心構えはできていたように思いますが、8両編成はその新型車両6500形が担うこととなり、6300形は引き続き6両編成のまま…外観はホームの発車票に6両と出てきたときの青ざめた表情を具現化したものではありません(^^;;
東京都交通局の車両は度々小さな改良が加えられることが多々あり、「いつまでもあると思うな…」をひしひしと感じることばかりですが、今回は袖仕切り交換前の車両、2023年の様子を中心に、一部2015年の模様も織り交ぜながら取り上げます。
(取材・撮影 東京都交通局三田線・西高島平 他)

 

 

 


車内全景です。車端部のクロスシートがなくなり、全席ロングシートのスッキリした見た目になりました。
床は登場時点のものから一度張り替えを行っている他、スタンションポールなどの設置など若干雰囲気が異なった2023取材時点の様子ですが、これでも袖仕切り交換後の車内よりも車内の見通しがよく、90年代後半の関東大手私鉄通勤車あるあるをふんだんに採り入れたような車内、言い換えれば1・2次車の独創的な雰囲気が引っ込んだ車内に仕上がっています。それでも安っぽく見えないのは…ねぇ…(^^;;


乗務員室との仕切りは1・2次車から大きな変更はありません。乗務員室の中での変更は若干あったようですが、特に仕切り窓の色の濃さは変化ありません。2015年の取材時点で仕切り直後の吊革が1・2次車にはありませんでしたが、この3次車はその時点で既に設置されていたようで、特にラッシュ時には重宝したのではないかと思います…というよりも、なぜ1・2次車で増設しなかったかが気になります。

 
車端部のバリエーションを見ていきます。まずは片開きの貫通扉を備えた車端部で、2015年の取材時点で両側とも優先席設定となっています。この貫通扉はいずれも片側の車両のみの設置で、もう片側の車両の車端部は右の画像のとおり貫通路が丸見えです。これはコストダウンとは関係なく、1次車の時点で採用されていました。コストダウン、ロングシート化…と声高らかに申し上げても、変えられない部分は無理に変えない…というスタンスだったのでしょう。クロスシートの背もたれがロングシートと同じ低めの高さで功を奏したのが妻窓の部分で、妻窓の大きさは1・2次車から変わりません。

 
車椅子スペースを設けた車端部、およびその隣の車両は全てロングシート、両開き扉にをセッティングしています。間に2両挟まった時のことを考慮してか、西高島平から2両目と3両目の間の貫通扉は例外的に両側とも設置されています。故に貫通路の先にも扉がチラリ。右の画像は三田方から2両目の車端部で、貫通扉は片側だけの設置です。
コストダウンは側扉、そして貫通扉の化粧板省略という、見た目にも直結する部分でも行っています。ただ、窓ガラスの長さは同じで、無塗装ステンレスであっても軽快な雰囲気は変わらない印象です。今なら窓ガラスに何か模様が入りそうですが、6300形は割れないように縦方向のワイヤーが入っているだけの仕様です。

 
車椅子スペースです。非常通報機と車椅子の固定道具が備わっています。
右の画像は2015年に撮影した時の車椅子スペースで、非常通報機が何気に目立つように工夫されている点、そして2015年の時点でベビーカーの案内がなされている点に、この年月が経つ感覚を鈍らせているのか、進めているのか、よくわからなくなってしまいます(^^; なお、2023年現在、車椅子スペースの部分を含む側窓のロールカーテンは健在ですが、1・2次車であった木の模様はなくなり、無地になっています。…おっと誰ですか、ビッグ○ーターみたいだと言っている人は…(^^;;


天井周りです。1・2次車からの大きな違いは吊革の手掛け部分で、丸いものを採用しています。この吊革は1・2次車のドア付近の増設でも丸い手掛けを採用した一方、優先席の黄色い吊革の交換時には五角形のものを採用するなど、少々混沌としている部分があります(^^; ただ、2023年の時点でも吊革の広告枠が有効に活用されているのは、きっと代理店の方の商売がお上手なのでしょう。
蛍光灯は近年LED照明に交換されています。ラインフローファンの吹出し口は登場時から変わらず無塗装の銀色です。


床です。画像ではうまく伝わりませんが、濃いグレーの模様の床に貼り替えられています。フットラインのような薄い線ができているのが画像からビシバシ伝わってきますが、実際に座ると全然気になりません。
ドア付近には黄色いシートが備わっています。

 
ドア周りです。左の画像は鴨居部にLED表示機を備えたドア、右の画像はドアの開閉方向を表示する装置を備えたドアで、どちらも鴨居部の出っ張りは同じ意匠です。2015年の時点ではなかった中央部の黄色いテープが目立ちますが、3次車ではステンレス無塗装のドア、窓ガラスを接着にしたことで、随分ツルッとした印象に仕上がっています。
これもコストダウンの一環だそうですが、窓ガラスの段差をなくしたのは戸ばさみ防止のファインプレーだと思います。
一方、ドアの手掛けは6000形から変わりません。この独特の形状は6500形でも受け継がれていて、思えばデビューの時に比較画像が出回っていたなぁ…と(遠い目)。

 
鴨居部です。左の画像はLED表示機で、行先や種別、停車駅、次駅案内など内容は多彩です。結局文字が上下2段で小さいまま現在に至りますが、6500形に準じて液晶ディスプレイに置きかる日は果たして来るのでしょうか。
そして、右の画像は左右にドア開閉向きの案内表示やスピーカー、中央に路線図を掲出しています。液晶ディスプレイが普及してから路線図の存在の有難さに気が付く機会が増えていますが…この位置に慣れていることもあり、鴨居部より上に貼られていると見難いこと見難いこと……。

ドアの開閉方向をお知らせする文字ですが…ご多分に漏れず、こちらも遠慮しがちです。


窓周りです。1段下降窓で、「開」のステッカーは2015年時点で貼られていました。きれいに窓の開き具合が揃っていますが、こんなに窓を開いて走っている場面に遭遇するとは、2015年時点では全く思いませんでした。


座席です。ドア〜ドア間は7人掛け、3人と4人に区分できるようにスタンションポールが設置されていますが、メンテナンスを考慮してか座席の区切りの部分にポールを設置しています。
背もたれは縫い付けで、座面は縫い付けに加え若干の凹凸を加えた柔らかめのバケットシートで、程良く沈み込みます。このムチムチ感は1・2次車から変更ありません。また、偶然なのか否かはさておき、へたっている座席に遭遇したこともなく、日頃のメンテナンスが行き届いているのでは…と思います。

 
車端部の優先席です。2015年にはなかったスタンションポールが優先席の部分にも追加されています。2人-1人で分けられているところにこの手のバケットシートでは上手に定員どおり座ってくれないのかと嘆きたくなりますが(^^;乗り降りのサポートということで捉えたいと思いますが、車端部のゆとりとポールの存在は幅の狭ささえ気にならなければなかなか居心地の良さそうなシチュエーションで、正直羨ましくなってしまいます。
こちらもモケットが異なるくらいで、ドア〜ドア間の座席との相違点はありません。蹴込み部分に消火器が入っているのは1・2次車と同じですが、こちらも窓が左右両側から片側にコストダウン。


袖仕切りです。丁度この頃都営地下鉄の他の系列でも似たような意匠のものを採用していた時期で、見る人が見れば「お、またか」と思わずにはいられなかったかもしれません。それでも化粧板を背もたれの高さに合わせたり、化粧板よりもパイプをドア側に膨らませたりしている点は、この手の袖仕切りが成熟したことを感じさせます。

一方、肘掛けを兼ねるような形状ですが、壁面からのなだらかなカーブが窮屈さを感じさせてしまう点は勿体ないところでもあり、立客との干渉や寒風除けなどを考えると、大きな板状の袖仕切りが恋しくなってしまうものです。
 
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