都営地下鉄  浅草線5300形
 
  この車両の特徴といえばずばり「音」ではないでしょうか。今日もバカでかいと言っても過言ではないと思うインバータ音をトンネル内に響かせながら走ります、都営浅草線の5300形です。
登場したのは1991年。非冷房車であった5300形の置き換え目的ですが、それは同時に冷房化を意味するものでした。思えば当時は営団地下鉄も冷房化を推進していて、地下鉄が涼しくなっていった時期だったんですね。置き換え完了と共に都所有の浅草線車両も100%冷房化達成となります。現在も洗練された変わらぬ姿のまま、神奈川は三崎口から千葉は成田までかなり広い範囲を走っています。
ちなみに、近年細かいバリエーションがじわじわと増えつつありますが、このページ内で少しだけですが拾っていこうと思います。
(取材・撮影 都営浅草線・西馬込駅)

 

 

 

 
車内全景からご覧ください。画像はいずれも6次車に相当する車内で、3次車以降の特徴にもなりますが先頭車の乗務員室の手前に車椅子スペースがついています。3ドアロングシートで、18m車になります。
地下鉄だけあってかなり明るい車内になっていますが、明るすぎるせいでしょうか、床のインパクトが思ったよりも無くてモケットの鮮やかさが一人歩きしているようにも受け止められます。
その床、一部の車両では更新の際に濃い色に変更されています。濃い床の全景の様子はまた後ほどです。

それにしてもなぁ・・・東京都がリリースした最新版10-300形と比べると、どこまでもお金をかけて製造したぞ!と思い当たる節がちらほらと見えるのはなんだかせつなくなってきます。そして、そのお金の出所の大部分が都民の懐からだと思うとせつなさを通り越して・・・そこから先はご想像にお任せします(^^;;


乗務員室との仕切りの様子です。乗務員扉の窓の左には「乗務員室立ち入り禁止」という小さなプレートが用意されています。
その左には横長の窓が。地上区間ではワイドな展望が楽しめ、窓の下辺の辺りにある握り棒でしっかり立てるようにもなっていますが、吊革は増設されていないので逆にラッシュ時はそれだけで足りるのか?という感じもします。
右側に車椅子スペースの青いステッカーが見えます。次はそのあたりを見ていきます。

こちらがその車椅子スペースです。窓には何も保護棒がありませんが、固定窓になっているのは新宿線の10-000形と同じです。
その棒の上には非常警報機が、その下には車椅子固定のためのベルトが収納されています。フタの部分に検車区で整備したという印つきのステッカーが「封印」しているが如くくっついていますが、それ故お客さんが自由に使う分にはちょっと抵抗があるなぁ・・・と感じる方も多いと思います。

なお、1次車や2次車では中間車に設けられています。確か4号車あたりだったかなぁ・・・。


話は変わって車端部になります。ドアがついているのは4〜5号車の仕切りのみで、それ以外の車両は通路がででんとあるのみになります。しっかしこの通路の形が個性的で、上から3分の2くらいにかけてはででんとストレートで、そこから下は少し内側に絞っています。これで連結面の床幅を狭めつつ行き来しやすいサイズになるわけです。

さらにそこに扉がつくとこんな感じになります。えぇ、構造だけいえば単純な両開き扉ですが、なんか今までに見たことない、個性的な印象を抱かずにはいられません。一時期流行ったナップスターの宇宙人の顔に似ている・・・というのは言いすぎですが、下までぐぐぐっと下がった窓が謎めいたムードに輪をかけています。
対する妻窓はカクカクしており、この対比もまた面白いですね。

ちなみに幅広の貫通路は乗り入れ先の京急や京成でもお馴染みですが、どちらも1990年代前半には狭幅のものに切り替わっています。もしかしたら途絶えそうな火をもう一度…とばかりに、東京都、そして都営浅草線だからこそのこだわり、なのかもしれませんね。


天井です。ラインデリアがだーっと並んでいるのは90年代前半の通勤車におけるステータスの一つでしょう。その脇にはむき出しの蛍光灯が設けられています。また、吊革は広告枠つきながら広告枠と握る部分のパーツが分離しており、握りやすくなっていながら収益も確保!という一石二鳥路線に走っています。


床の様子です。画像は更新前の様子で、中央にピンクがかったベージュに灰色模様のフットライン、両脇には茶系のベージュが従えていますが・・・この差はあまりにも小さく、フットラインだと意識されない方も多いのではないでしょうか。
きれいにまとめている色づかいだけに、ちょっぴり残念です。フットラインの端に濃い茶色の細い線を引くだけでだいぶラインが強調されて、引き締まると思うのですが・・・。

ただ、残念だったからというわけではないのですが、その後更新によって床の色が濃くなった車両も登場しています。

茶系のベージュがより茶色に、ピンクがかったベージュがよりピンクになりました。鮭のような、アポロのような色分けになっていますがこちらの方がわかりやすいですよね。

 
濃い床の車両ですが、薄い床とも共通のドア周りです。ちょっとホワイトバランスが左右で異なりますが、左の方がより実車に近い色になります。左が鴨居部に路線図が来るタイプで、かつては路線図タイプのLED表示機が設けられていました。右が鴨居部にLED表示機があるタイプです。

ドアにも化粧板が貼られているほか、鴨居部のFRPも白く塗られていて周りとの一体感を生み出しています。そしてドア窓もキリッとしており、丸いステッカーもかなりいいバランスで貼られています。


これも一部車両になるのですが、透明の点字つきステッカーが貼ってあります。最近山手線などにも貼られ始めたものが浅草線にもついた格好で、自分の立っている場所がわかるような工夫がされています。もうちょっと貼る場所が低いとより使える方々が増えると思うのですが、大人の目線を考えるとこの辺りの位置が妥当なのかもしれませんね。

 
LED表示機と路線図です。路線図の収まり具合から考えると同じFRPのカバーかなぁと思っていたのですが、「こちらのドアが開きます」と点灯する装置の位置が異なることから別物になります。その路線図は両端の部分が欠けたものをこの形式のために作ったようで、製作者的にはドア開閉予告装置がじゃまかなぁ…という気がするかもしれませんが、利用者としてはそんな事は気にしない気にしない。LED表示機は1段のみの表示で、行き先や次駅案内などのオーソドックな表示が次々とでてきます。

 
窓です。1段下降窓が2枚ついていて、開閉可能な部分には矢印と「開」マークのステッカーが貼られています。
この形式のカーテンが美しいできだというのを聞いた事があるのですが、しっかり撮り逃していますorz。またの機会に撮れたら掲載しようと思います。


座席になります。まずはドア〜ドア間の8人掛けからどうぞ。登場した時代が時代だけにバケット形状ながらかなり作りこまれた座席と言ってもいいと思います。また、袖仕切りにも同様の傾向が見られますが、モケットは浅草線カラーの赤を背もたれに、濃いめの灰色を座面に持ってきており、実にセンスのいい配色・構成ではないでしょうか。ただ、ちょっと背もたれの汚れが目立っているのが残念であり、こまめなメンテナンスに期待したいところです。
座り心地はバケットながらふわっとした感じで、クッション性が幾分確保されています。さすがに長距離は厳しいですが、ちょっと遠くまで・・・なんていう時には悪くは無いと思います。

 
左の画像は車椅子スペースに隣接した5人掛けのロングシートの様子です。袖仕切りはバーの形状が少し異なるものの、他の部分と同一のものが使われています。また、右の画像は車端部の5人掛けになります。ちょっと赤が黒ずんで見えますね(^^; 車端部の構成は凝っている袖仕切りとは裏腹にあっさりと壁&窓のみ。ちょっと手を施す余裕があるスペースが作りにくかったのかなぁ。


優先座席モードのモケットを搭載した座席です。5人掛けで、青系のモケットを使用しています。座り心地は他の席と同じで、単純にモケットが違うだけ!という感じですね。ちょっぴり袖仕切りの紺との相性がいいかな、と思うくらい。普通の座席よりもちょっとモッサリした雰囲気で、座席そのものが「どっこいしょ〜」なんて言っているような気がします。
なお、2000年頃より優先座席のモケットを交換した車両が登場しています。それはこちら〜。

青がより一層濃くなり、ちょっとどころかかなりシャープな座席に変身しました。床の変更などの更新と合わせて優先座席だけ取り替えているようで、前のモケットがあまりにも目立っていなかったのか、はたまた東京都の財力では優先座席しか更新できなかったのか、真相は闇の中・・・。

その優先座席の端の方には消火器入れがあります。ありますと言っても座席下ですが。
個人的にはこれはさっと取り出しにくい消火器入れだなぁと思います。ピクトグラムで存在を書いてあるとはいえ、座っている人の足やカバンなどに遮られてわからないことも、また見つけたらそこに座っている2人は席から立たなくてはならないのもどうかなぁ・・・と思ってしまいます。場所の有効活用としてはアリですが、乗客が多数乗った時に何かが起こった!ということを前提にして、もう少し考えて作ってほしいなぁ。
それよりこれより・・・ここの部分、暖房効くの?効かなかったらどーするの、優先座席だよ、ここ!

 
長かった座席シリーズもこれでラスト。クローズアップ袖仕切りです。
座席に面する側は座面のモケットが、そうでない側は化粧板が貼られているリバーシブルな感覚がナウいです。
また、肘掛に相当する部分はあまり金属を露出させないような工夫がされてあります。
もう少し上の棒が高く、外側に膨らますことができるともっと座っている人はゆったりできましたが、ドア脇の握り棒の位置が位置だけに、難しい要求なのかもしれません。



さて、途中一回だけでてきましたが、5300形の一部編成の吊革が2001年より通常位置よりも低くなるように設置されています。これはゴムバンド部分を長くした吊革を所々に設置したもので、より多くの人が握れるようにという配慮から生まれたもので、これの結果が
新宿線の10-300形にフィードバックされました。

こんな具合です。手前から2番目の吊革が約10cm長くした吊革です。2001年の試験時には3編成に設置されたそうです。詳しくは下の関連リンクから東京都のプレスリリースをご覧ください。

ちなみに画像は5305編成で、各ドアから4番目の吊革が低くなっています。

 
最後に床、優先席のモケット、吊革などを更新した車両の車内全景になります。所々で紹介した更新後の床や優先席の画像は全てこの一次車で取材した画像になります。1番最初に取り上げた全景と比べて、皆さんはどちらの方がお気に入りですか??
 
ひとつ前に戻る関連リンク東京都交通局ニュースリリース(平成13年7月)浅草線「低い吊り手」試験導入
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