東京都交通局  上野懸垂線40形
 
  昭和32年、日本初のモノレール路線が上野動物園のモノレールだということはあまり知られていないかもしれません。そのモノレールが令和元年に休止…とのことですが、車両は割と新しく、平成13年から走り始めた40形が短い300mの路線を行ったり来たりしています。
東京都交通局の路線ながらPASMOや割引きっぷが一切使えない「上野懸垂線」。その小ぶりな車体は遊園地のアトラクションと比べると大柄ですが、道中の急カーブも軽やかに越えていく姿はさすがです。始発と終車の時間以外の運転時間は特段決まっていないのか、臨機応変に運転しているようです。
あと、ビックリしたのは駅員さんの多さです。もしかして、休止の理由は他にも…と勘ぐってしまうのは私の性格の悪い所、上野動物園西駅の近くにいるペンギンを見習って少しは大人しくしたいところです。
(取材・撮影 上野懸垂線・上野動物園西〜上野動物園東)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像が上野動物園西駅方の車両、右の画像が東駅方の車両で、構成は基本的に同一です。
入ってビックリしたのは天井の低さ、そして遊園地の乗り物のような色の使い方…と思いきや、意外に遊びの無い、マジメでシンプルな作りです。次駅案内は書いてあっても、切符に動物のシルエットが出てきても、車内に動物はでてきません(^^;;
ドアは片方向に各車両1か所、座席配置はドアと乗務員室の間はクロスシート、そしてドアから編成中央部にかけては窓向きのロングシートです。定員着席が原則の車内のように見えますが、混雑時はどのような運用がされていたのでしょうか。そして天井の昔何かがぶら下がっていました…と推測できる止め具が気になります。


編成の連結面はこのような具合で、大きな幌でつながっています。この大きな空間は通行禁止ですが、その柵も鮮やかな色をつけてちょっと弾けています。懸垂式だと千葉や湘南は仕切り壁や扉をつけて隣の車両と完全に隔てていますが、この車両では貫通幌の動きがつぶさに観察できます。動物園だからこそ、しっかり観察したいものです。
でも、ぽっかり空いた空間の上は…やはりマジメです。この柵と座席の間は1人分の通路があります。


乗務員室…というよりもスペースです。この後ろには1人掛けクロスシートが2席、2人掛けクロスシートが2脚4席分備わっています。なんだかパソコンの画面のようなディスプレイが近代的ですが、その脇にある扇風機がカワイイです。座席配置が微妙にズレているのもポイントで、右側には握り棒もありますがなかなか乗務員との距離が近いのもポイントです。荷物を置くスペースがないこともあり、乗務員さんのお昼ごはんと思しき荷物が座席に置かれていたのも良い思い出です(^^;;

 
天井周りです。この天井の高さで冷房をしっかり備えています。吹き出し口は2両で微妙に変えており、右の画像、動物園東駅方の色はなかなかお気に入りです。蛍光灯は両脇に備えて天井高を稼いでいます。スピーカーも脇に備えていますが、音で驚くのは出発時のミュージックホーン。JRの特急の音がします。この両脇の意匠も、目を細めればE257系っぽく見え…ないですね、はい。

 
床です。動物園西駅方は青系の、東駅方は茶色のモザイク柄でこちらもなかなかお洒落です。ドア前は黄色でドアの色と揃えています。その床素材を窓下までグルッと囲む姿は鉄道車両ではなかなか見られません。小さい子供は乗車中に壁に届きそうになるとつい靴のままで足を伸ばすことがありますが、この素材なら少しは安心…いやいや、きちっと注意するべきところは注意しましょう。


なかなかゴツいドアです。プラグドアで、ドアエンジンから伸びたアームがゴツい、ある意味ここも格好良い作りになっています。ドアはゆっくり開閉しますが、こういうのって子供たちが興味を持つんですよね…。
ドアそのものは鮮やかな黄色です。アームカバーが半透明で、そこに書かれた注意書きがちょっと近未来的な匂いを感じます。テプラだって近未来的なのです(^^;; 

 
その反対側は車椅子スペースです。ただ、このスペースは各車両1か所ずつの設置で、あまりスペースに余裕がありません。駅員の誘導があると思うのですが、恐らく最後の乗車、最初の降車になることかと思われます。また、ベビーカーは折り畳んで利用することを明記しています。折り畳み椅子が備わっていますが、こちらは折り畳んだまま「手に触れないでください」とのテプラが…。車椅子の固定器具は他の座席の下に備わっています。

 
座席です。まずはドアから編成中央にかけてのロングシートです。見てのとおりプラスチックの座席です。定員通り着席できて座ったまま出発できればOKとばかりの椅子に、遊園地のアトラクションをついつい思い起こさせます。それくらい迫力ある走りなら良いのですが、まったり走ってすぐ終点がこの路線のウリでもあります。プラスチックの色は3席ずつ色分けしており、片側12人が座れます。
背もたれがあってないようなものなので、のけ反った時に反対側の乗客に当たらないように気を付けたいものです。


上から覗いてみました。アタック25のような色の使い方です。夏はヒンヤリして良いのですが、冬は冷たい座席に早変わり。一応片道150円払っているので、せめて冬場は座布団でも欲しくなるところですが、11月で運転休止…ああ、もうその必要もないんですね。

 
乗務員室の後ろのクロスシートです。足元はだいぶ狭いですが、背中合わせのプレッシャーと前面展望を考えればこちらの方が居心地良いかもしれません。あと、意外な一面ですが窓の大きさをこの座席で感じることもできます。この座面のすぐ上にはもう窓…ワイドビューひだも真っ青なんて言った日には異業種格闘技すぎてレフェリーに止められそうです。


さぁ、大きい窓で上野界隈0.3Kmを空中散歩できるのも残りわずかです。
乗車時間があまりにも短いから…かどうかはわかりませんが、外観のような動物は一切登場しません。でも、日本初のモノレール路線の一番列車に乗って、流れ星にお願い事をするかの如く将来の乗り物に思いを馳せるのも、悪くはありません。
…そうです、開園と同時にパンダやペンギンに目もくれず、いの一番でモノレールに乗りに行く私のような変わり者を1人でも増やしたいのです。動物たちよ、今度はちゃんと会いに行くから!
 
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