東京都交通局  330形
 
  新交通システムで開業した日暮里・舎人ライナー。実際乗ってみるとわかるとおり住宅地を走ることもあり、開業後は輸送力増強に追われる日々。そんな輸送力の切り札が330形です。
300形、320形からメーカーを変えて三菱重工業が製造を担当します。軽量化が達成できたことから立席面積を増やし、待望のロングシート車になりました。今回は2019年以降の増備車を取り上げますが、今後三菱が300形の置き換え車両を作ることが決まっていることから、恐らく330形のような車両が増えていくことが見込まれます。ゆりかもめ7300形っぽさが溢れる見た目に「新交通システムといえばこの顔!」というイメージが形成されるのでは…と思うところですが、もう少しスピード感溢れる外観が良かったなぁと一人でボソッと。実際、この車両の加速はなかなかアグレッシブです。
(取材・撮影 日暮里・舎人ライナー/見沼代親水公園 他)

 

 

 


車内全景です。最前部、最後部以外はロングシートで構成されています。はっきり言って300形の「なんでこうなった?」と思える中途半端な構成よりもスッキリしていて「乗りやすくなったなぁ」という印象です。これが軽量化の賜物だと思うとプロジェクトXで取り上げてもいいくらい涙なしには語れないストーリーがあるのでしょう。きっと。
もう一つ、車内の端まで明るくなった印象を抱きました。このあたりも技術の進歩かもしれませんが、従来の車両よりも天井の凸凹や車端部のデッドスペースが小さくなったのも特徴です。先代300形が登場したのが2006年、メーカーは違えどそこから9年経つとこうも変わるのかぁ…とただただ驚きです。


編成の最前部、最後部は乗務員が運転操作しない時は展望席になっています。う゛…私が映り込んでいます…(^^;;
ここは照明がない分やや暗めになってしまいますが、白と黒で手堅くまとめたデザインはなかなか斬新です。前面のガラスは腰の黒い部分から上の部分と下にちょこっと…のセットです。
右側には「終点で引き続いてのご乗車はできません」との表記が貼ってあります。ここに限らず駅構内等にも折り返し乗車の場合は一度ホームに出て…との案内が貼ってあります。


車端部です。2号車・4号車の優先席は両側に展開しています。片側は3人掛け、もう片側が2人掛けです。モケットの他に吊革や握り棒で区別していますが、妻面の優先席ステッカーはちょっと地味かも…。側窓にはいつものステッカーが貼られています。
握り棒と言えば、妻面の幌の部分にも縦方向の握り棒が設置されています。しっかり奥まで詰めることができます。
照明自体は端までしっかり伸びてこの明るさ。そしてこの天井の高さ。妻面から低い天井を展開して冷房の吹き出し口を…という時代から脱しています。

 
車椅子スペースです。先頭車と3号車には優先席の向かいに、3号車を含む中間車には通常モケットの座席の向かいに備わっています。故に3号車は2か所車椅子スペースが備わっていますが、300形の構成に合わせた格好で、混雑緩和にも一役買っています。
どちらも2人掛けのロングシートになりますが、斜めに走った握り棒は優先席かどうかは関係なくこの区画についていることが伺えます。さて、この握り棒のターゲットは?!
妻面の少し低くなった部分には鏡を貼って奥行きがある感じを演出。最近この手の演出はじわり流行っていますね。この部分に防犯カメラがあります。


車椅子スペースです。六角形の握り棒が新鮮です。これも個性でしょうか。ゆりかもめは横方向の握り棒1本で済ませている区画です。それでも300形のジャングルジムのようなオレンジの握り棒に比べればだいぶスッキリしています。
座席を設けるのであれば3人掛けが備わる方に非常通報機を備えています。
広告枠は上下に黄緑の押さえを設置しています。黄緑色を意識できるパーツの1つで、この色の使い方もなかなかお洒落です。


天井周りです。真ん中の少し出っ張った部分にはダクトを配し、LEDの照明は両脇にカバーつきで設置。このLEDの光の跳ね返りが出っ張った部分に当たる様子が美しいです。
吊革は黒で、高さを2段階に調節しています。都営地下鉄では結構吊革を広告スペースとして活用していますが、この330形は取材時点ではそのような使用はされていませんでした。広告と言えば、ちょっとサイバーな空間に見える天井周りに京成や東武の車内でお馴染みの広告をみつけ、妙に親近感が湧いてしまったのはここだけの話…(^^;;;


床は濃いグレーの模様で、ドア前には黄色いシートを貼っています。その黄色いシートはドア前、敷居の手前だけ細長く色分けしていて、なかなか繊細な仕上げになっています。

 
ドア周りです。結構ドア周りに余裕がない印象ですが、300形のように「なぜここに横方向の握り棒が…?」というような不自然さはありません。両開き扉になった分300形よりも少しドアが開くのが早くなったように感じます。液晶ディスプレイがあるドアと無いドアで千鳥配置になっていますが、この液晶ディスプレイの鴨居部分への自然な設置がゆりかもめ7300系では見られなかったので、ようやく後付け感が解消できたかなぁ…と思います。

 
液晶ディスプレイが無いドアの上は路線図が入っています。同じような角度から液晶ディスプレイを見るとちょっと見難いですね(^^;; 液晶ディスプレイは2画面構成で、左の画面で次駅案内などの列車情報を流しています。デザインは都電荒川線や都バスに通ずるような物のように見えましたが、画面の縦横比がいわゆる「4:3」なのはちょっと気になります。
右画面は新型車両のPRをはじめとする都営交通の広告が満遍なく流れています。
せっかくの液晶ディスプレイ、かつ高い所を走るのであれば沿線の風景の紹介を挟むともっと親近感が湧くと思います。


窓周りです。車端部の窓は開閉ができます。窓自体は着色ガラスで、車内から夜間停車中の駅ホームを見るとちょっと見難いかなぁ…と思うくらいの着色具合です。窓枠の底辺より背もたれが高めに設置されていますが、なぜか車内、それも座席下にごみを見かけることが多かった日暮里・舎人ライナー、その部分が格好のゴミ箱にならないことを祈るばかりです。

 
通常仕様のモケットはドア〜ドア間の6人掛けと車端部の2人掛けの2種類です。ドア〜ドア間の6人掛けは3人ずつで分割の上、真ん中にスタンションポール…とスタンションポールを設置するためのスペースが設けられています。このスペースを設けたことは単純に偉い!よくわかっている!と賛辞を送りたくなります。一方、狭さを冗長する妻面や袖仕切りの処理は今一歩。座れるだけで良し、ということでしょうか。消火器は座席下に設置されていますが、ちょっと暗くて剥き出しということだけで物々しく感じるのは私だけでしょうか。
画像では落ち着いた配色に見えますが、モケットの黄緑は実物を見るともう少し鮮やかに見えます。

色から色々想像することが多くなったのはきっとテレビニュースの見すぎです。特定の色を目印に密になる、ちょっと前の出来事をこの座席から連想するのはダメだと何度言ったら…(以下、自主規制

 
優先席は色も鮮やかなピンクの背もたれがお出迎え。黄緑との相性も良い感じです。ドア〜ドア間の座席ではできていたスタンションポール部分のスペース、この3人掛けの優先席では確保されていません。これは一体…。
その背もたれのグレーの部分にハートマークと英字で優先席を示す表記が入っています。ゆりかもめ7300系の時も似たような表記を見かけましたが、こういう表記は車両メーカーが主導でやるものでしょうか?
バケット形状が特に背もたれで強く現れているなぁと思う座り心地です。故にちょっとでも横幅が気になる人は狭さの方が気になってしまいます。300形の不必要に座面が沈み込んで背もたれとのバランスが欠けたクロスシートと比べるとこちらはそれなりに背もたれと座面のバランスが取れていると思います。日暮里・舎人ライナーの乗車時間からすればまずまずの選択肢かと思います。


背もたれです。格好良いですし、なぜかドア付近の白い窪みがセクシーに感じましたが(^^;;; 格好良さ優先で、座っている方の余裕確保にも、立客の寄りかかりにも少々中途半端な形状だと思います。
 
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