土佐電鉄  600形
 
  湘南顔のスタイルでいながら、どことなく「あ、都電のPCカーに似てなくもない・・・かなぁ」なんて呟いてしまいそうな600形。昭和32年から5年間にかけて製造され、土佐電鉄の主力として縦横無尽に活躍しています。また、この車輌は全面広告車に抜擢される機会があまりにも多く、中にはかの有名な女優(?)綾瀬はるかさんと一緒に走ったポカリスエット塗装の車両や、液晶テレビとBSアンテナを積んで走った「BSテレビ電車」も含まれています。ただ…画像はオリジナルの塗装ですが(^^;
おおまかにわけると、自社で作ってしまった前期形とアルナ工機で製造された後期形に大別できますが、さらに窓形状や車内の床、クーラーの形状の違いなど、細かい部分での違いまで入れると…大変な事になりそうです(^^;;
(撮影・取材 土佐電鉄伊野線 はりまや橋〜いの)

 

 

 


車内全景になります。取材車輌は床の素材などから「後期形」になります。
縦長に長い車内ですが、窓が大きいのであまり狭さは感じさせません。2段窓なのでバスというよりも「鉄道」っぽいイメージも持てそうですし。また、天井が限りなくフラットなのも見逃せませんね。
(*ちなみに外観画像で写っている600形はバス窓車になっています。)
車内構成自体は路面電車特有の「中乗前降」2ドアロングシート。中扉は左右で若干位置がずれています。


ちょいと車端部に寄ってみました。乗務員室はなく、1枚の仕切りが空間を隔てるのみ。従って前面展望も難なくできますが、場所によっては料金収受時に邪魔になってしまうこともありますのでご注意を・・・。
その仕切りには「次止ります」の表示機や運賃の表示機、さらには路線図なども掲載されています。運賃表示機の下には運転手の名前を記したプレートを入れるスペースがあり、まさにこの辺はバスのノリ(^^;
細かいところになりますが、吊革のベルト部分の長さは2種類あり、短い方は竿に当たる部分が網棚と共用になっています。


天井を見上げてみると、そこには先ほど申し上げたとおり冷風のダクトが目立たないように左右に微妙な傾斜をつけたりするなど、できるだけフラットに、そして薄く仕上げています。
冷風は固定されている正方形の吹き出し口からでるのですが、見た目ちょっと頼りなさげですね(^^; その両脇には蛍光灯も見られます。
・・・そういえばこの車輌、中吊り広告の金具や設備が設けられていません。ちょっぴり意外です。


床です。後期形の特徴はこの「床」にあります。前期形は「木の床」になっている車輌が多い中で、後期形は登場時から木の上に「リノリウム」を貼った形になっています。木目がでていないかわりにツルンとしているのがお解りいただけますでしょうか。歩く時も木目調独特の音や「つま先がひっかかりそうな感覚」などがあまりなく、スッと足が出ます。その下から木を固定するためのビスなどが見え隠れしているのはご愛嬌(^^;;; 色自体は茶色で、木の床と遜色ない色合えになっています。


扉は中央に乗車用の扉が、そして両端の各左側に降車用の扉が設置されています。まずは乗車用の扉から。鶯色のプレスドアはさすがに年季が入ったように見えます。すぐそばまで座席が迫っている事、また整理券発行機の位置もかなりドアから近いですが、ドアの幅はそれなりにとられています。ただ、乗るときにはステップを二段上らないといけません。こればかりは車輌の製造年月を考えると仕方が無いですよね。
戸袋窓はバス窓の仕様になっています。

 
そして出口の扉になります。こちらもプレスドアで、縦長のものがそれぞれ連動しながら開閉する引き戸になっています。戸袋窓は車体に合わせてカーブがつけられていますが、戸袋そのものは窓に合わせて曲がってはいません(^^; ちゃんとドアが入る空間が確保されています。 若干運賃箱がはみ出していて、降りる時には狭いかなぁ・・・といった印象。
そしてドアの前はちょっとした立席スペースになっていて、画像右のようにパンフレットが入り・・・そうなビニールと傘立てが設置されています。この傘立ては「とでん」のちょっとした粋な心遣いが見え隠れしているところで、雨が突然降ってきた時などに無料で貸傘を行うために設けられています。さすが市民の足。これでいきなり夕立に見舞われても「とでん」に駆け込めば、降りた後もあまり濡れずにすみます(^^) ただ、1本しかないのはちょっと心細いなぁ・・・(^^;;

ユニークな形状の吊革にもご注目下さい。


座席です。こちらは入口扉〜出口扉にかけてのもので、目測では8人くらいは腰掛けられる物だと思います。
蘇芳色の鮮やかなモケットが目に飛び込んできますが、やはり市内電車の宿命で、座面の厚みに対して背もたれの薄っぺらさが目についてしまいます。また、座面も奥行きがあまりなく、感覚としては「ちょこんと座る」ような具合でしょうか。
座り心地は・・・座面が結構ダイレクトに振動を伝えるので、自分のように「あぁこれが路面電車ならではの乗り心地だぁ・・・」なんて感動するごく一部の例外を除いては若干厳しめに評価せざるを得ないと思います。


一方こちらは入口扉から扉の無い方の車端部にかけて設けられた、推定5人掛けのシートになります。
モケットは先ほどと同じ蘇芳色ですが・・・袖仕切りの形状がパイプではなくて板になっています。しかも奥側の座席には袖仕切りとは到底呼べなさそうな…あまりに簡易的なパイプが見え隠れ(^^;; 板の方は整理券発行機との兼ね合いでもあるのでしょうか?


優先席もありますが・・・その表示は実にダイレクト(^^; こちらもかなり年季の入ったプレートで、もしかしたら全国各地の鉄道会社が「優先席」という言葉を使う前からこの言葉を使ってきたのかもしれません。やはり時代の先駆者がこの地にいらっしゃるのは幕末も今も変わらない、なんていったら褒めすぎでしょうか(^^;;

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