東武鉄道  9000系[試作車]
 
  未だかつて前例の無い仕様を求められる新型車両を作る際、量産先行車や試作車を作ることは今も昔も変わりません。東武鉄道9000系も初の10両固定編成、軽量ステンレス車体ということで、試作車が一本製造されました。今回取り上げる9001編成です。
その後登場した9000系量産車とは外観では方向幕の位置が異なるくらいでパッと見るとあまり差は無いものの、量産車とドアの位置が微妙に異なるということで、この9001編成に関しては今度開業する東京メトロ副都心線には乗り入れないことが決まっています。
量産車が副都心線乗り入れを視野に入れて続々と更新工事を受けていく中、今後も東上線を中心に活躍する9001編成、現状のままの車内で推移していくのか、はたまた同じような更新工事を受けるのか、その行方が大いに気になります。
(取材・撮影 東武鉄道東上線・川越市〜志木)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。ドア付近の吊革増設や座席のスタンディングポールを設けるなど、通勤に特化した改造を近年受けており、登場時とは異なる趣を作り上げています。4ドアロングシートの車内です。
後から図々しく比較するのは邪道かもしれませんが、10000系を少しアレンジしたような雰囲気で、10030系や9000系量産車と比較するとやや8000系の雰囲気を残しているように感じます。

 
車端部です。左の画像は優先席、右の画像は一般の座席モケットになります。優先席の頭上にある吊革は色が黄色になっています。今回はどちらも貫通扉の無い車端部をご紹介していますが、車両によっては貫通扉つきの車端部が構えていたり、消化器がえらい高い位置についている車端部もあります。
座席数を見ると4人座れるようになっています。この数は8000系や10000系と同じで、当時の東武鉄道における20m通勤車ではそれが普通だったのでしょう。しかし、量産車では営団の車両に合わせるかのように3人掛けとなっており、量産車以降製造された20m通勤車は全て3人掛けにしています。

この微妙な長さが、後の副都心線に絡んだ明暗を分けてしまう事になります。


乗務員室との仕切りです。窓が3つ設けられていますが、量産車は左の窓が埋められています。また、仕切りのすぐ後ろ、ドア付近に吊革が増設されていますが、これは後年設けられたものになります。
乗務員室の扉だけひょいっと長く、角に丸みをつけたものになっています。この扉は10000系で使われている物とは全く違う物で、幅も若干狭くなっています。いわば分割併合を考慮しない仕切りだからこそ起用できた扉になります。


天井です。剥き出しの蛍光灯に茶色に塗られたラインフローが印象的です。この天井の構成は他の東武車でも見られることが多く、この部分はなるべく共通化を図ったのかもしれません。
面白いのがドア〜ドア間や車端部など、座席の上にある吊革は握る部分が三角なのに、通路に相当する部分、例えばドア付近や画像のように中吊り広告と平行に設けられた吊革などは丸い吊革になっています。このパターン、他ではあまり見られない・・・ような気がします。


床も10000系、8000系と同じ青系の物が使われています。ここは量産車では茶系の物に変更されています。この色では少々暗かったのでしょうか・・・。

 
ドア周りです。2枚の画像、実はほんの僅かな違いがありますが、それは果たして・・・?
量産車は化粧板を貼ったドアになりましたが、こちらは無塗装のステンレスドア。車内では床に次ぐ試作車の特徴になるかもしれません。ちなみに聞く人が聞けばドアの開閉音も異なるらしいですが、そこまで意識して乗ったことがありません(^^;;;


2枚の画像の差はこちらでした。片側4つのドアのうち、真ん中の2つのドアは停車中締め切ることができます。それをお知らせするランプがこちら。すっかり東武鉄道の通勤車ではマストアイテムになっていますが、このランプの形が試作車は丸、量産車は四角になっています。もうここまでくると頭脳指数300でも物足りなくなってきますね(^^;;;


座席です。7人掛け、ドア〜ドア間のロングシートになります。緑の着席区分つきのモケットは東武ではすっかりお馴染み。こちらは量産車にも採用され、どちらも着席区分が見えにくくなっているという弱点を抱えています。また、背もたれに片や4人掛け、もう片や3人掛けなどと分け目が入っていませんが、これも8000系から変わらない特徴になります。定員着席にこだわるパーツもちらほら増えつつありますが、それでも東武だからこその柔らかい座り心地は健在です。


その定員着席パーツことスタンディングポールと袖仕切りです。パイプ構成ながら肘掛けも兼ねたデザインは秀逸だと思います。その袖仕切りと袖仕切りの間にぽこっと入ったスタンディングポールも違和感なく収まっているように見えます。網棚の金網に目をつぶれば・・・のハナシですが(^^;;;


車端部は少々きつめの4人掛けです。利用客には3人掛けとどちらが歓迎されているかは利用される時間帯や曜日によって大きく異なってくるとは思いますが、個人的には同じ4人掛けの8000系や10000系が多数派であることから、4人掛けの方が安心して乗れるかな?なんて勝手に思っています。
なお、妻面には肩や腕を逃すような空間がほとんどありませんが、それは3人掛けでも一緒です。


優先席です。こちらも4人掛け、毎度お馴染み着席区分の柄が無い青みがかった銀色のモケットになります。消えかかった着席区分が優先席には無く、この区画が4人掛けである表示もありません。ドア〜ドア間の座席とは異なり、車端部の座席、特に優先席はあまり定員着席にこだわっていないような気さえしてきます。
モケット自体は地味ですが、周りの表示や色が賑やかになってきたため、決してスペースそのものが目立っていないという事態は解消されつつあります。
 
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