東武鉄道  1800系[1819F]
 
  この列車の奇跡の復活はまさに花火級だったのではないでしょうか。元々「りょうもう」号として活躍してきた1800系。その末っ子として1987年に登場した1819Fと呼ばれる編成はりょうもう号の運用から撤退した後は保留車になってしまい、通勤化改造、特急形再登板、廃車という多数の選択肢のどれも選ばない、ファンをやきもきさせる余生を送ることになったのでした。
そして、2006年夏、隅田川花火大会の臨時列車で待望のカムバック、あまりに多くの乗客でごった返し、以後、観光に適した季節に南栗橋〜東武日光〜北千住というパターンで臨時快速列車に充当されたり、団体列車の運用に就いたりしています。特急運用という華のある運用ではないし、りょうもうとは一味違う沿線情景ですが、臨時快速列車はしっかり定着、唯一無二の存在感を発揮しています。
(取材・撮影 東武鉄道日光線・南栗橋〜新栃木)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。
1987年にしてはちょっと時代の流れに逆行したような、プチ古風な印象を抱いてしまいますが、あくまでもマイナーチェンジということで他の「りょうもう」充当編成との差を縮めたいという思いがあったのでしょう。取材中たまたま車内に入ってきた若いカップルが「あー新幹線みたい!」という感想を言っていましたが、一昔前の新幹線にも通ずる「堅い」印象は決して悪い物ではありません。
1ドアところにより2ドア、回転クロスシートの車内です。

 
車端部のデッキに通ずる仕切りの様子です。向きによって便所のお知らせ灯が無い仕切りもありますが、臨時列車中心の充当と言うこともあり、特に右の画像のような飾らないシンプルな仕切りには好感が持てます。うん、着色ガラスの飴のようなオレンジ色が引き立っています。
仕切りのそばの座席は位置によっては側窓が戸袋窓と兼ねている所があるため、ドアの開閉動作が視界に飛び込んでくることがあります。仕切りが好きだ!でもドアが気になる!!という方は銀色の縦に通る桟の無い車端部をどうぞ。


天井です。ここはマイナーチェンジの真価を発揮している部分で、冷房の吹き出し口が目立たなくなっており、蛍光灯のカバーもより一体感の増したものになっています。


床です。通路部分には柄物を、座席部分はベージュでメリハリをつけています。
ちょっと同じ色どうしで床としての存在感がでていませんが、それはそれで馴染めますので悪くありません。


デッキです。ここは従来のままのクリーム色を主体とした化粧板がこれでもか!と貼られています。この色も気がつけば大きく勢力縮小傾向、この色に囲まれるありがたみ?を感じる数少ない車両になってしまいました。

 
どのように空間をやりくりしたかは不明ですが、ちょっとだけ幅の広いデッキもあります。中には機器スペースを兼ねて台が設置されているデッキもありましたが、そちらには公衆電話はなく、やはりほとんどクリーム色で覆われたデッキになっています。ビジネス急行として活躍していたこともあり、レジャー要素にもなる大きな荷物棚などは当然の如くありません。

350系で見られた扉もう一枚分になる広々デッキはこの1800系では見当たりませんでした。

  
一部車両のデッキにあるゴミ箱とトイレの扉もやはりクリーム色。350系に備わっていた自動販売機はさすがにありませんでしたが、トイレが設置されているのは長距離移動の強い味方です。
ゴミ箱は高さに応じて使い分けができる、実にバリアフリーな設計です(^^;;;


こうして背面から眺めますと、ヘッドレストカバーがついていないのがやや寂しい気がします・・・側窓です。
カーテンは横引きの物が設置されています。このあたりの抜かりの無さは1800系通勤化改造時の「黒色フィルムによるカーテン省略」というお手抜き感漂う荒業の経験が活かされて・・・いるのでしょうか(^^;;

 
座席です。りょうもう時代のものをそのまま使用しており、350系ではお目にかかれない、横に線の入った茶色のモケットを使用しています。このモケット、触り心地がゴワゴワしており、ちょっと気になる人もいらっしゃるかもしれません。
テーブルは窓際に収納する大きなものと座席背面の物があり、向かい合わせの時にもテーブルが使えるよう配慮されています。このあたりは関東私鉄の行楽特急・・・といっても小田急と東武くらいですが・・・ではお馴染み・・・かな?(^^;;;
フットレストも表裏しっかり備わっています。意外と靴が脱げてくつろげる空間はなかなか無いので、モケットの貼ってある裏面は何かと使えそうです。表面は窮屈になるだけですが(^^;;


端の席には端の席なりにテーブルがついていますが、フットレストは省略されてしまっています。
車端部だからこそつけて欲しいのに!と思う方も多いかもしれませんが、これはこれで臨時快速列車であれば選択肢の一つにすぎないわけで、フットレスつきの座席は一列後ろにしっかり備わっています。

肘掛けのスタイルもやはり直線的なものですが、樹脂パーツでもプラスチックでもなくモケットを用いているのはさすがです。背もたれの角度も快速電車よりも深く、運賃だけで利用するのであれば「おいしい」選択に自然となるのではないでしょうか。



この落ち着いた雰囲気、この座席、この車内。これ、全て東武特急の財産ではないかと思います。
臨時快速列車とはいえ、いつまでもこの一時代を築いた空間が堪能でき、受け継がれていきますように。

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