天竜浜名湖鉄道  TH−9200形「スローライフトレイン」
 
  2002年に登場した天竜浜名湖鉄道の団体運用を主に担う1両です。団体運用向け特別仕様車は第3セクターの鉄道では度々見られますが、形式名の由来を「宝くじ号」に求めた車両はここしかいないと思います…
最近までパッと出の旅行客が乗るのはまさに宝くじに当たるような確率…だったこの車両も、2代目「スローライフトレイン」としてリニューアル、公式サイトに運用を載せるようになりました。
塗装もグレーブルーをベースにしたものに一新、窓から覗くのは賑やかな…?!どうやら都田駅と縁のある北欧ファブリックのブランドが関わっているそうです。私は北欧というと「サルバドールエキシビション」くらいしか思い浮かびませんが(^^; ♪野に咲く花のように〜 が聞こえてきそうなこの車両、土休日を中心に団体列車に充当されることもあるようです。
(取材・撮影 天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖線・掛川〜天竜二俣)

 

 

 


車内全景です。画像は車両整備中に乗務員さんがカーテンを全部引いてくださった車内全景です。乗務員さんグッジョブです。
団体運用を念頭に入れた車内ということもあり、元々ビジネスライクな装いの転換クロスシートが展開されていました。で、北欧の雰囲気をふんだんに取り込んだ結果がこちらです。カーテンの華やかさに早速魅了されますが…誰ですか、テレビのカラーバーみたいと言っている人は?!
トイレ無し、2ドア車は主力のTH-2100形と同じです。

 
車端部です。左の画像は掛川方、右の画像は新所原方の模様です。どちらも客室とデッキの間に仕切りを設けていますが、新所原方の車端部は優先席として片側を1人掛け転換クロスシートを2席分配置(!)、仕切りの幅も広めに確保しています。
車椅子スペースは別にあるのですが、車椅子スペースを兼ねた幅の通路を確保したのか、はたまた排気管のスペースを仕切りとして活用した結果かは定かではありませんが、この形式のアクセントになっています。その排気管のスペースには車椅子用のスロープを格納、スマートな構成が光ります。
一方定期列車で消えたままだったのは頭上注意の液晶のモニター。せっかく都田駅などを美しく撮影した動画がホームページにアップされているので、流せばPRに良いのになぁ…と思った次第です。

 
乗務員室は半室構造、もう半室は掛川方はフリースペース、新所原方は車椅子スペースになっています。TH-2100形とは車椅子スペースの設置方向が逆になったのは一体なぜ…?! その車椅子スペースは手すりの他に固定器具、非常通報機を備えています。
掛川方の半室には折り畳みのテーブルが設置されていますが、天竜浜名湖鉄道ではこの形式のみのオプションです。なお、取材した2021年の時点で、TH-9200形に限らず全ての車両において画像のように進行方向前寄りの半室をチェーンで閉鎖しています。運賃収受には影響ないですが、前面展望は離れた位置から仕切り越しに堪能するのが良さそうです。


天井です。ここも3セクの車両では珍しくカバーつきの蛍光灯が左右に備わっています。中央にはラインフローファンを備え、平らな天井が印象的です。蛍光灯一つでTH-2100形との差を感じます。
この車両には吊革がありません。従って混雑した時は座席に備わった手すりが頼りになります。本来の用途に沿った選択とはいえ、少し心配になってしまいます。


床です。こちらもTH-9200形独特の柄を採用しています。これが意外とカーテンの模様と合っているように思います。


ドア周りです。片開き扉で、仕切りとドアの間には半自動ドアのボタンもあります。ステップつきですが、できれば仕切りに横方向の握り棒があると乗り降りの時の支えになったかなぁ…と思います。
白を基本にした木目柄の化粧板が貼られたドアは一定の速度で開け閉めされます。ドア窓には「ドア付近には立たないで」との記載もありますが、確かにドア付近に立客が1人いただけで狭く感じてしまうものです…。団体運用を考慮しなければ戸袋で窓が無い部分の座席を立客スペースにまわしても良いくらいですが…(^^;


半自動ドアのボタンです。左と真ん中の画像は室内側で真ん中に「ドア」の表記が、外のボタンは右の画像になります。JR西日本でよく見かける仕様故にJR東海では逆にあまり見ませんが、ボタンの内容についてはJR東海313系で見られるものと同一です。銀色のボタンは肉眼で見る分にはそれなりにしっかり中の文字が見えますが、カメラで撮るとどうしても鏡に写る何かが気になる仕様になってしまいます… 大きく、カラフルな半自動ドアボタンが登場する前夜だっただけに割と遅くまで残りそうですが、もっとわかりやすくなると良いですね、宝くじの力で(^^;;;

 
側窓は固定窓です。左の画像はカーテンを閉めた状態、右の画像は開けた状態(^^;;です。北欧のデザインは派手な色も落とし込むと馴染むもの、特にここには写っていない大きな花柄のカーテンには一目惚れしましたが(^^;; 誰ですか、閉めたカーテンを指して「七夕の飾りつけ〜」と言っている人は?!あ、ヘッドレストカバーは錦鯉ではありません(殴
従来のロールカーテンも引き続き備わっています。どうしても横引カーテンでは完全に閉め切ることができないので、ロールカーテンがその役割を補っているかのようです。そそ、ロールカーテンと横引カーテンの共演といえば185系ですが、この車両では窓は開きません。そして、窓割とシートピッチは一致していません。早めに乗ってお気に入り席を見つけることをお奨めします。


2人掛け転換クロスシートです。テーブルつきの転換クロスシートは0系新幹線でお馴染みですが、このソデ体には他の車両では見たことがありません。そう、座席趣味業界垂涎の一席…と勝手に言っている私…(^^;;
ほぼ全ての座席が画像の2人掛けで、端の席も座席転換可能です。青緑色のモケットはやはり独特の色合いで、余計にヘッドレストカバーが鮮やかに映えます。
くたびれた感じは全く受けませんが、テーブル周りにガタが来ているようで、揺れる度にテーブルがフレームにぶつかる音が車内で小さく響きます。また、背もたれがどうも寸詰まり気味で、ストライクゾーンが見た目以上に狭いように感じます。

 
2席だけ存在する1人掛け転換クロスシートです。通路側のみテーブルが備わっており、右の画像がテーブルを出した状態になります。窓側には配管の関係で出っ張っている部分がありますが、座っている上で気になほどのものではありません。窓側の肘掛けがちょうど出っ張り部分を回避するような役割を果たしているのはグッジョブですが、窓側まで痩せたT字のフォルムにこだわらなくても良いのに…というのは余計なお節介でしょうか。肘掛け部分に樹脂パーツを充てたり、内側にモケットを貼る芸の細かさもポイントです。
そして、その上…わかりやすい、親しみやすい素敵なカーテンが結構お気に入りです。

新所原行きでテイスティングをしたため進行方向前側に1人掛けがくる格好の車内でしたが、割と前の方の席が埋まる傾向にあり、この1人掛けも短距離客にウケていました。掛川行きでは目の前に排気管が来る2席になり、特に後席はハズレ席そのものですが…果たしてどこまで人気があるか…今度乗ってみたいと思います。


不思議な形状のテーブルも収納部分を見ればなんとなく納得…できるかどうか(^^;; 小ぶりのテーブルなので、載せるものは吟味した方が良いかもしれません。また、思った以上に着座時の姿勢とテーブルの間隔が短いので、特にテーブル展開時に席を立つときはひっくり返さないよう注意が必要です。
こまめな手入れでいつまでもこの状態を保って欲しいものですが…なんか脳裏にちらつくんです、壁に設置された大型の折り畳みテーブル…(^^;;;

ディーゼルの軽やかなアイドリングをBGMに、心行くまで堪能できる「うららか」な非日常。カーテンとヘッドレストカバーだけでも随分その気になってしまいました。
スローライフトレイン、ちょっと羨ましいぞ。
 
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