新京成電鉄  8900形
 
  平成5年にデビューした新京成電鉄のステンレスカーです。
洗練されたスタイルが格好良くてときめいていたものの、なかなか出会うことができず…ある日偶然京成津田沼で見かけた時の嬉しさたるや…今のピンクの帯もすごく似合っています。えぇ、私はウィなんとかバスみたいなんて決して言いませんよ(^^; 旧塗装の面影は鎌ヶ谷大仏駅の自販機コーナーに残っていますが、Sの帯の使い方が相鉄のような…なんて言った日にはもれなく大仏の目からビームを浴びそうです(^^;;;
現在6両編成で3本が在籍していますが、かつては8両編成でした。中間の2両は早々に廃車されてしまいました。京成千葉線への乗り入れをきっかけに8900形に限らずどの編成も6両編成になっていきましたが、8900形は乗り入れ対象から外れているようで、ダイヤ上ほんの少し見つけやすくなったかな?と思うところです。
(取材・撮影 新京成電鉄新京成線・京成津田沼〜鎌ヶ谷大仏)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートの車内で、袖仕切りに90年代の通勤車オーラを感じます。この世代の通勤車も大小それなりに手を加えられた車両が多いですが、この車両も優先席付近の吊革の色やスタンションポール、蛍光灯のLED化等が小粒な改造が行われています。別の編成ではLED表示器の液晶ディスプレイへの交換も行われました。そこまで細かい改造を経て、外観はハッキリ鮮やかな塗装になりましたが、車内を一目見ると他の系列でも見られるような落ち着いた雰囲気にまとまっています。


中間車の車端部です。中間車の車端部は片側優先席、もう片側が通常仕様の座席という組み合わせが多いです。妻窓はなく、にょきっと下まで伸びた窓とワンポイントアイコンが印象的な貫通扉は淡い桃色で整えられています。一応広告枠も用意されていますが、片側に消火器とドアコックが設けられているため、どの車端部も片側のみの設定です。そのドアコックはこの系列でもカバー越しに見えるようになっています。…いやはや、なんとわかりやすいことでしょう(^^; ちょっとした博物館の展示のように見えるのは多分取材した時の暑さのせい(^^;だと思いますが、ここも新京成らしい一面です。


先頭車は両側に優先席を展開しています。4人掛けの座席の先はズバッと割り切った壁になっているのは先頭車も中間車も一緒です。1500mm幅のワイドドアを採用していますが、普段よりもちょっと幅が狭くなった座席はドア〜ドア間で調整しています。
戸袋には非常通報機、そしてこれも新京成名物の鏡が備わっています。


先頭車、乗務員室との仕切りです。片側は車椅子スペースに充てられていますが、この部分に車椅子スペースはなかなか珍しいのではないかと思います。反対側は2人掛けのロングシートなのでスペースとしては小さい方ですし、後継のN800形は画像で示すところの側ドアの手前に設けています。なかなか少数派のスペースですが、戸袋が若干広い分スペースが確保できたのかもしれません。
運転席の後ろは着色ガラスが入っています。また、正面の非常扉に合わせて仕切り扉を中央から若干右寄りに設置しています。同時期に作られた東京メトロの車両を見ているような感覚ですが、新京成線は地下には潜りません。


車椅子スペースです。近年はベビーカーのシールが貼られるようになっています。
握り棒が1本、非常通報機は若干低い位置に1本、そして毎度おなじみ鏡の組み合わせです。この側窓にはロールカーテンが備わっているのに、あの位置には…とブツブツ言いたい夏の日の2020。
ヒーターが無かったり、車椅子の固定器具が無かったり…と、ちょっと物足りないスペースになってしまっているのも90年代生まれの車両ならではです。


天井です。ラインデリアを中央に据えて、剥き出しの蛍光灯、そしてパイプ形状の荷物棚と手堅くまとめています。吊革の取っ手は三角形で、このあたりは京成津田沼から乗り入れる京成の車両とは異なるチョイスです。ただ、これで誤乗防止…とまではさすがにならないと思います。


床です。新京成では珍しくフットラインを引いて中央はオレンジ、周りはベージュの組み合わせです。JR東海の211系あたりを連想させますが、少し暗めの配色になっている印象です。


ドアです。1500mm幅のドアで、ドア窓を見て「おっ広いね〜」と思います。無塗装のドアで、ドア窓の段差が無いのが特徴です。近年巻き込み防止のステッカーが貼られるようになりました。「ドアにご注意」のステッカーが良い味出しています。
ドア幅を広く確保した上にドア周りのスペースをある程度確保しているので、まさにラッシュに強い車だなぁという印象を決定づけています。それだけに減車した時は驚きました…。


LED表示器はすべてのドアの上に設置されています。この柔らかい雰囲気のカバーが90年代感満載です。
次駅案内、ドアが開く方向など列車案内に徹している感じですが、駅間距離を考えればだいぶ多彩な表示になっているのではないでしょうか。可愛いなと思ったのが到着時の「ここは○○です.」のドットです(^^;; また、LED表示器の隣には時計の表示もあります。電車、特に通勤車ではあまり見かけない表示ですが、液晶ディスプレイでは時計表示が省かれています。


側窓です。夏の日の取材だったからわかる、「どうしてこうなった!!!」という窓割です。左右の窓は開きますが、中央の窓は固定で、ロールカーテンもありません。着色ガラスでもないので、その部分の直射日光が全開です。私の鈴虫並みの脳みそで解釈するとしたら「他の車両と開く窓の幅を合わせるため」だと思うのですが…北総・公団線にも似た窓配置を有した車両がかつていたので、こういう窓配置が格好良いと思う方が千葉県鎌ヶ谷付近にいるのかもしれません。


ドア〜ドア間の座席です。8人掛けで間にスタンションポールを設けています。座面はバケット形状、背面はツルンとしたスタイルで、ヒーターカバーや蘇芳色のモケットがやはり90年代感満載です。
座面は座るときに一瞬フワッとした触り心地を感じるものの、少し座ると底つき感がひしひしつたわってくる座り心地です。まだ煎餅に例えるようなヘタレ感は無いとは思うのですが、柔らかくもなく、反発するわけでもなく…どっちつかずの印象でした。それでも、形状は美しいと思います。

 
通常モケットは2人掛け、車端部の4人掛けもスタンバイ。この区画にはスタンションポールの設置はありません。2人掛けのロングシートは少し狭そうですが、この部分に座席の無い車両が多勢を占める新京成ではどう受け止められているのかが気になります。妻面に余裕が全く感じられませんが、貫通扉が全ての車端部についたのは前の系列からは居心地の良さが上がった…という解釈にしておこうと思います。


青いモケットがわかりやすい優先席です。窓と妻面の間には懐かしいマークがチラッと見えています。ここにはスタンションポールがあってもいいかもしれません。
モケットと吊革、ステッカー以外は他の座席と一緒です。引いているロールカーテンにも仕掛けはありません。


90年代にスマッシュヒットした形状の袖仕切りです。新京成ではこの形式のみ採用されている少数派ですが、ある程度ノウハウを車両製造会社で蓄えてからの製造だったようで、横棒は若干ドア側に反った形状になって肩との干渉を防いでいます。


ロールカーテンはブドウと梨の柄が織り込まれたものです。他形式でも見られるようになったので珍しさはありませんが、この親しみやすいイラストが見ていて愉しいですね。ブドウと梨は沿線の名産とのことで、キウイやパパイヤ、マンゴーが出ないのも頷けます。

 
貫通扉にも梨やブドウのイラストが上品に入っています。近年ドアガラスが大きくなって模様を入れることが通勤車でも多くなりましたが、この車両は通勤電車でははしりだったようにも思います。尤も模様は控えめで、ガラス衝突防止…というよりもお洒落でやったのかなぁという意匠です。実りの秋が待ち遠しくなります。
 
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