島原鉄道  トラ700形「島鉄ハッピートレイン」
 
  1997年、島原鉄道が再び一本につながった年に登場した島鉄ハッピートレイン。2両のトロッコを2両のディーゼルカーがはさみ、春から秋にかけて島原と深江の間を運行していました。雲仙普賢岳をバックに鉄橋を渡るトロッコ列車というシーンはテレビや写真などで何度も取り上げられました。
このトロッコの正体は屋根のない、囲いだけの貨車になります。貨車の中を客室仕様に改造し、屋根を設けたのがこのトロッコです。とにかく見た目は新しいので最近流行りの「乗り心地の良いトロッコ」を連想しがちですが、乗り心地は貨車ならではの、底から突き上げるような楽しいトロッコでした。
残念ながら運行区間廃止に伴いトロッコ列車も廃止となってしまいましたが、トロッコそのものは今後北九州にできる観光鉄道の車両として使用される予定があるそうです。
(取材・撮影 島原鉄道線・島原〜深江)

 

 

 


車内全景です。改造されてから日が浅いのでくたびれた様子もなく、明るく鮮やかな雰囲気を前面に押し出した車内になっています。ドアは無いので両端のディーゼルカーから乗り降りすることになります。オール固定クロスシートです。
JR四国の元祖トロッコとは異なり、走行中も各車両自由に行き来することができます。


ディーゼルカーと連結する側の車端部です。トロッコ同士で連結する側の車端部は座席が妻面までピッタリとついており、妻面も窓ガラスなどが一切入っていませんが、ディーゼルカーとつなぐ側は語り部の方のために放送装置やパイプ椅子などを設けた、いわば車掌スペースのような物が設けられています。また、妻面のうち片面には梯子らしき格子が、もう片面にはガラスが入っており、後者は広告スペースとしての役割も果たしています。
この日は牽引役のディーゼルカーがトロッコ専用車のキハ20形とキハ2000形各1両ずつだったため、偶然にも当時島原鉄道で活躍していた3形式がそろい踏みとなっていました(^^;;


色々な天井の丸の中でちょっと目立たないですが、鉄道友の会のグローリア賞受賞プレートも設置されています。


天井です。トロッコならではの骨組がくっきり見渡せるワイルドな天井です。緩やかなカーブもポイントです。
昼間の運転のみで長いトンネルも無いため、照明器具は簡素な電灯のみ設けられています。さらに扇風機が忙しく回っており、存在感は電灯以上(^^;; 元々ディーゼルカーについていたものでしょうか、ここだけ地味な色になってしまったのが悔やまれます。
それにしても動物の緩いイラストは楽しさを演出する素敵な方々を描いた物だと解釈するのですが、なぜ万国旗が・・・?風を方々から受け止めてこちらも忙しなく揺られていました。

 
扇風機をクローズアップ。左側のスイッチは今まで見たことのない形で、オンとオフを一つのボタンで済ませてしまう画期的なモノです(^^; そして扇風機本体は薄緑色に塗られたモノで、真ん中にはテプラで「島原鉄道」と記されています。銘板などは特に確認しなかったので製造年などは残念ながら不明ですが、もし仮にキハ10形からの流用品だった場合には相当な年月を経てここまで生き残ってきた数少ない扇風機になります。返すがえすも「扇風機<夏の暑さ」だった自分が情けなくなってくる今日この頃です。


床です。ごくごく普通の床になります。この方が整備がしやすく、中を歩く人もつっかえること無く歩きやすかったのでしょう。でもこの床を通じて体感する乗り心地はワイルドです。白い床は座席やテーブルとの相性が良く、さながら無印良品のようなシンプルさを提供しています。

 
座席です。画像はいずれも車外からうにょっとカメラを伸ばして撮影した物になります。全て4人1組のボックスシートになります。奥行き浅め、背もたれ低めの白いクロスシートはモケットも貼っておらず、学校の生徒椅子のように着席姿勢に合わせてカーブしているわけでもありません。乗車時間短めで、疲れたら両端のディーゼルカーにお引っ越しすればいいのでこのような座席でも問題無し、むしろ個人的には素朴な雰囲気がトロッコらしくて好きです。


テーブルに目を向けるとこのような写真が至る所に貼られています。雲仙普賢岳の噴火が起きた時の被災状況などを示す写真で、語り部の方のお話とともにその時の様子、その後の様子が伝わってきます。写真の維持が難しいだけでなくこの上で弁当やお茶を置くわけで個人的にはこういう展示方法はあまり関心しないのですが、島原鉄道が10年間語り部を通じて脈々と伝えてきたメッセージはぜひトロッコ運行を終えてしまった後も伝え続けて欲しい、とても大事な事だと思います。


そのテーブルにはこのような座席プレートとドリンクホルダーがあります。こういうお客様の目に届くような小物類は意外と気になる部分になります。そして窓際に2つしかないのはちょっと物足りなさを感じます。


本当に残念ながらハッピートレインは運行を終了してしまいました。
外の景色を楽しみ、ワイルドな乗り心地も楽しめたのも過去の話となってしまいました・・・。

またいつか、語り部の方のお話を聞ける機会があればいいな・・・と心から思っています。
 
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