西武鉄道  30000系
 
  「スマイルトレイン」もすっかり沿線の顔になりました。
2007年より新造されている30000系。池袋線、新宿線ともに増備が重ねられており、優等列車のみならず各駅停車などでも頻繁に見られるようになりました。そうそう、30000系以外の通勤用各車両のドアステッカーに30000系のイラストが採用されたり、自動販売機のデザインに30000系が採用されたりするなど、もう20000系もビックリの盛り上がりぶりを発揮しています。その成果もあって「キッズデザイン賞」なる賞を2009年に受賞しています。まぁ、子供には大受けでも長年西武を愛して止まない大きな子供の皆さんには…(^^;; 青がかつての西武ライオンズのユニフォームを彷彿とさせているのがせめてもの救いでしょうか(^^;;
2両編成・8両編成が在籍しており、ゆくゆくは6両編成も登場する予定とのことです。
(取材・撮影 西武鉄道新宿/西武園線・小平〜西武園 他)

 

 

 


車内全景からです。西武鉄道内でプロジェクトチームを結成して検討を重ねた結果を随所に反映させたとのことですが、既に他社で先行しているデザインも見受けられます。そのあたりは西武らしいと言えば西武らしいので安心して車内に入り浸ることができました(^^;; 個人的にデザインの衝撃度は20000系の方が大きかったですが、西武しか乗らない方、特に西武新宿線や西武拝島線しか乗らない方はかなり新鮮に映ったのではないでしょうか。4ドアロングシートです。

 
車端部の様子です。基本はこの2パターンで、左の画像は優先席の車端部、右の画像は通常モケットの車端部になります。
優先席は両先頭車と中間車のうち奇数号車の飯能・本川越寄り、偶数号車の西武新宿・池袋寄り車端部が該当します。基本的な設置位置は他の通勤車と合わせています。
貫通扉は東京メトロ10000系のものをアレンジしています。お洒落なドアは見ていて飽きませんが、妻面のデザインの無さが貫通扉まで無個性にさせてしまっているように感じます。東京メトロ10000系は思い切って木目調にして一つの景色を形成していますが、白色の単色化粧板だけでは単なる家電製品にしかなりません。単色なら単色で思い切ってライオンズの「レジェンドブルー」に塗ったらだいぶ車内の雰囲気が変わると思いますが、如何でしょうか?

 
8両編成のうち、2号車の本川越・飯能方と7号車西武新宿・池袋方車端部には車椅子スペースが設置されています。従来の握り棒だけでなく、車椅子の固定器具、そしてヒーターが備わっています。特にヒーターは従来の西武車の車椅子スペースには設けられなかった物で、初登場にしてスリムに搭載されている面は特筆できます。
…で、妻面のデザイン性の無さがここでも発揮されてしまっています…。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は2両編成の池袋方先頭車両の仕切り、右の画像は8両編成や2両編成の飯能方先頭車両の仕切りになります。違いは車椅子スペースがあるかどうかという点になり、前者は30000系先頭車において唯一車椅子スペースを設けていません。
仕切り窓は3枚で、1つ1つの窓をギリギリまで拡大したかの如きバラバラな大きさになっています。角の丸みも含めて、これが30000系の遊び心だと解釈すればなかなか楽しいデザインに見えてきます。


先頭車両の後ろに備わる車椅子スペースです。20000系後期車ではこの区画に折り畳みの座席を設置していましたが、30000系では再び座席が廃止されてしまいました。新宿線では20000系の運用に30000系が充当されることもあるため、日によっては座席が無い事態も容易に想像できてしまいます。もちろん乗務員室の背後なので使い勝手が良く、ターミナル駅の構造から先頭車は混雑することを考えれば決して悪い設置場所では無いのですが…(^^;;

 
天井周りは30000系で大きく進化しました。が、西武池袋線で走っている東京メトロ10000系に似ている形状なので新鮮味はありません。丸みを帯びて従来の車両よりも天井を高くしています。また、吹き出し口を線路と垂直方向に設けたことによって吹き出し口そのものを目立たなくさせています。ツルッとしたシンプルな天井…と思いきや、右の画像のように吸い込み口が派手に目立つ部分もあり、デザインと機能の両立が難しい一面も垣間見られます。

吊革もその形状を一新。…するも、結局丸みは捨てきれないようです。理由無きこだわりに乾杯。


床はツートンで20000系に続きフットラインを意識したデザインになっています。また、ドア付近の床を黄色にしており、こちらは西武では30000系が初の試みになります。
ただ、床については2010年11月のプレスリリースにおいて「国土交通省の基準を満たしていないということで交換する」と発表されており、今後このデザインが継承されるかどうか、非常に気になるところです。


ドア周りです。全てのドアに液晶ディスプレイが設置されており、ドアはこの1種類のみになります。
白い化粧板が貼られるなどクオリティは20000系を受け継いでいますが、30000系からはドアの真ん中に黄色いラインテープを貼っています。車内のみならず車外も貼っており、特に車外からの視認性は抜群です。
日立製の鉄道車両では阪急9000系のようにドア脇の握り棒をドア枠と同一の物にすることも多いのですが、西武30000系は使いやすさを考慮してでしょうか、独立した握り棒として設置しています。

…で、20000系よりもドアの開閉時の動作音がうるさいのが非常に気になります。

 
液晶ディスプレイは各ドアの鴨居部に二つずつ設置されています。三菱電機の広告シールつきです(^^;;
左の画面はコマーシャルなどの案内を、右の画面は行き先表示や次駅表示などを細かく表示します。カラーコードこそ西武30000系向けにアレンジしていますが、画面構成は他社でも見られるので「西武は始めて乗る…」という人でも理解しやすいのではないでしょうか。


窓周りです。1段下降窓で、巻き取り式のカーテンがついています。かつては当たり前の設備でしたが、今ではついているだけで嬉しくなってしまいます。

 
座席です。ドア〜ドア間の7人掛けを車内側、車外側それぞれから眺めています。
A-Trainという日立が製造している車両といえばつくばエクスプレスの車両をはじめとした「垂直ロングシート」が代名詞となりつつありますが、そこは座席に定評がある(と個人的に勝手に思いこんでいる)西武。背もたれに角度をつけ、背もたれと座面の間に隙間を設けたロングシートを独自に搭載してきました。

まず見た目に驚き。背もたれの上部が緩やかな弧を描いており、背もたれそのものも僅かに窓の下辺よりも高くなっています。JR九州などの通勤車などで採用例はありますが、まさか西武が、ロングシートで採用するとは…!
これ、窓枠にたまった埃が取りづらくなるので今後のメンテナンスが幾分大変になる予感がしますが、そこは利用者が心配するところでは無いですよね...(^^;;;

スタンディングポールはJR東日本E233系の使い勝手も採り入れつつ、7人掛けは2人〜3人〜2人で分割できます。


4人掛けは車椅子スペースのある先頭車限定。
車椅子スペースと面した袖仕切りは窓枠の関係で小さいバージョンを用いています。

座り心地ですが、座面先端が硬いのが着席時に違和感を覚えます。あと、E233系では大きく感じたSバネの僅かな沈み込みがこの系列ではあまり感じません。一体なぜでしょう?

 
モケットの比較は3人掛けで。右の画像は優先席のモケットになります。柄としては非常に凝っており、優先席のオレンジも鮮やかですが通常モケットの青もなかなかな鮮やかさで、20000系とはその雰囲気が180度異なります。また、モケットの触り心地が優しい反面、優先席モケットは些細な汚れも目立ってしまう点が心配です。
ハートのラインは安易なプリントではなく、アイボリー地の上からオレンジのモケットを貼っている格好です。触ると凸凹が手のひらに伝わってきます。手の抜かない作り込みはさすがです。


袖仕切りにズームインです。こちらも丸みを帯びて車両コンセプトに合わせたデザインになります。もはやお馴染みになった大形の仕切り板、西武では20000系の後期車で本格投入となりましたが、その時以上に車内に馴染んでいるように見えます。
丸みを帯びているので着席時もあまり視界に入ってこない点も特徴です。


最後に貫通扉。ここも卵のような細長い丸がデザインされています。
せっかくの卵なので一つぐらい割れてヒヨコが…(^^; なんていう遊び心があっても良いと思うのですが、如何ですか?

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