西武鉄道  20000系
 
  西武の通勤車事情、無国籍風というスタンスで作り上げた6000系の次の一手はもはや「黄色い電車」西武らしい雰囲気を感じさせないサイバーな外観で登場した20000系でした。日立のA-trainという工法を全面的に採用した無塗装アルミがウリで、前面は非貫通型に戻して101系を髣髴とさせるおでこ中央に行き先表示を持ってきました。丸みを帯びた感じが6000系とはまた違った雰囲気になっており、ちょっと迫力がないなぁ…といった趣も西武らしさが出ています。さすがっす(^^;
今回は1次車である20001Fを中心に取材しました。新宿線唯一の10両編成の20000系で、優等列車運用を中心に本川越や拝島へと足を伸ばしています。尚、20000系自体は8両編成のバージョンもあり、新宿線ではそちらの方をよく見かけます。
(取材・撮影 西武新宿線・新所沢/拝島)

 

 

 


車内全景です。登場したのが2000年、この画像を撮影したのが2006年。登場したときは今までの西武の車両とは全然違うクールな雰囲気と新車の並々ならぬ香り(^^;;に何か新時代を感じたのですが・・・やはりオチは忘れていなかったようで。どこら辺にツボを感じてしまったかはまた後ほど・・・
4ドアロングシートの構成で、西武鉄道的には完全に4ドア車が定着してきています。


先頭車両の乗務員室との仕切りです。新年1発目の取材だったのであけおめ中吊りがまだ踊っています。
このあたりは101系に倣って窓サイズを大きくしようとか、ちょっと洒落たモノにしようといった意図は全くなく、3枚窓を設けて、中央に扉をつけた実にシンプルなつくりになっています。手すりも一本のみで足りてしまいそうですが…新宿線における下り列車の先頭車両は夕方大変なことになるので(^^;;欲を言えばもう少し握れるものが欲しいところです。
それでもつり革はドア周辺までしっかり増えているので、結果としては従来の車両よりも握れる部分は多いのですが…。

 
車端部です。右が車椅子スペースのある区画、左が優先席区画になります。車椅子スペースは先頭車のほかに2号車、9号車にもつけられており、2号車、9号車の車椅子スペースが上の画像のタイプになります。
フレッシュな化粧板に窓上のシルバーのアクセント、そして細長い貫通扉がこの形式の特徴になりますが、特に貫通扉のデザインは西武では他に類を見ない、実に斬新なものに仕上がっています。
なお、優先席スペースは従来から携帯電話の電源をオフにするよう呼びかけていますが、2005年8月からは優先席ステッカーを透明ではないものにするとともにオレンジ色の吊革を用いるようになりました。やっぱりこの車内では目立っていますね。いや、目立っていなかったら困るのですが(^^;;


その車椅子スペース。何も飾らない姿勢で、車椅子の固定道具もありませんが、手の届きやすい位置に非常通報ボタンがあります。車椅子のステッカーが剥がれそうですが、結構低い位置に貼ってあるのは広告との兼ね合いでしょうか。控えめなあたりが「立席スペースも兼ねてまぁす」って雰囲気を作り上げているような気がしないわけではないです(^^;。
網棚が無いのでLED表示機から続くシルバーのアクセントがより一層目立っています。これがあるからこの車両の「個性」が生きてくる、なんて思います。


ちなみに妻面では暖房や冷房の入り具合が一発でわかるランプがあります。これ、案外設けている私鉄は少ないのではないでしょうか?冷房が入ると左の「冷」マークが黄緑に光ります。


さて、先頭車の車椅子スペースですがここでチェックしておきます。乗務員室、ドアに続いて車椅子スペース、4人掛けの座席という段取りなのですが、ちょっと握り棒の構成が賑やかかなぁ・・・と思う他は車端部と変わらない作りになっています。空いていれば車椅子に乗っていても前面展望ができるというのは魅力ですし、個人的には冬場の各駅停車はその車椅子スペースの隣の座席はかなりの「当たり席」ではないかと勝手に思っていますが、皆さんはいかがですか?


天井です。6000系では緑のラインなども入りましたが、再びモノクロの世界で構成されるようになりました。
中央のラインデリアをメインに、その脇にはシルバーのライン、剥き出しの状態で蛍光灯と続きます。
吊革は伝統的な○形を採用しています。ちょっとサイバーな雰囲気に隠れて昔ながらの、定評ある(?)形を堂々絡めてくるあたりは西武ならでは。でも、個人的には○よりも△の方が握りやすいのですが…もしかしたら既存車と同じ○にして製造コストを下げよう!という意図があるのかもしれません。


床です。この床が先ほど車内全景の部分でポロッと言ってしまった「オチ」に相当する部分です。
確かにこの車両、洗練されているデザインで今までの西武には見られなかった斬新な感覚の持ち主なんです。でも、この床の色が洗練されていて斬新なデザインに「疑問符」をつけたくなってしまうような気にさせてしまうのです・・・。
登場時はフレッシュグレーをメインに青やグレーのスモールスクエアでフットラインを形成し、座席や周りとの調和が実によく考えられた秀逸な構成でした。なのに・・・5年も経つとフレッシュグレーは「ちょっと薄汚れた色」に変身し、フットラインが消えかかってしまいました。まさにテレビのビフォーアフターの「ビフォー」みたいな状態で、なぜ登場時の色合えが維持できなかったのでしょうか…。実に悔やまれます。

少なくても、この「ちょっと汚れた色」の打破だけはなんとかお願いしたいところです。匠でも呼んできますか?(殴

いやぁー、それにしてもなんともつまらないオチですねぇー(^^;;


気を取り直してドア周りです。ドアそのものは化粧板も貼られた大きな窓ガラスのもので、6050系に続いて窓ガラスは接着工法を用いています。そしてあの指のステッカーも貼り付いています(^^;;指の色が違うの毎度のことで、ダウトを探せ!ではありません(^^; そして戸袋部分では窓に代わって広告枠とステッカーがしっかりあります。
注目したいのが銀のドア枠と鴨居部。落ち着いたシルバーで整えてあるのでギラギラする印象ではなく、鉄道車両でよく見かける眩しい、しつこい銀ではなく、さらっとした銀になっています。素材のせいもあるのかもしれませんが、外観も含めて銀の使い方がうまいなぁと思う部分が多いです。多い・・・えぇ、ギラギラしている銀もちゃんと何箇所もあるので(泣

 
鴨居部のLED表示機です。ちょっと切れてしまってすみません。各ドアの上、1両辺り8台設置されています。
無印良品のペンケースを見ているような外観にはまっている格好で、画像のような行き先や停車駅案内の他、次駅案内、乗り換え案内、宣伝などがスクロールしていきます。また、LEDの両脇にはスピーカーがあり、ドアチャイムが流れます。

余談ですが、高校の頃このような土壌で育ってきたので「LED表示機の千鳥設置(つまり20000系で例えると1両あたり4台の設置)」を見ると実に貧乏くさく感じ、慣れるまでに時間がかかってしまいます…。仕方が無いといえば無いですが、どうかこの贅沢野郎めが!!なんて斬らないでくださいませ(^^;


さて座席に参ります。まずは7人掛けからです。座面のみバケット形状のロングシートで、背もたれはバケット形状にはなっていません。先ほどの吊革もそうですが、流行にとらわれない姿勢を座席でも見ることができて、背もたれだけでなく袖仕切りも独特のパイプと板を組み合わせた物を使用しています。肘掛けに相当する部分がアルミでできているのでちょっと冷たいものの、立客との分離と座っている人に対して窮屈な思いをさせないように!という思いの両方が込められていそうです。冬場は少し寒そうですが…。


車椅子スペースの隣には4人掛けの座席がスタンバイ。奥の袖仕切りの作りにもご注目ください。
この座席の座り心地は沈み込みはそんなに無いものの、しっかりホールドしてくれるのでバケットの中では快適ではないでしょうか。しっかり奥まで腰掛けられます。
ただ、暖房が座面にくっついているスタイルなので冬場は強力ホッカイロ状態。そして片持ち式なので足元は冷たい風が吹き抜けます。終着駅などでは3つのドアを閉めるサービスをやっているなど寒さ対策をそれなりにはやっているのですが、いかんせん暖房のコンセプトが「周りを暖めよう」から「座面を暖めよう」になっているので、正直膝から下は寒いです。これ、なかなか堪えるんですよね。


なお青モケットでは3人掛けの座席もありますが、場合によってはこのモケットで優先席に指定されていることがありますので、座る前にご確認を。ポイントは窓、そしてオレンジの吊革です。
車端部のみ何か機構でもあるのでしょうか、床の上に機械が置かれているのですがこれは暖房とは関係ありません(^^;; それよりも車端部の居住性。戸袋ではない部分はある程度窪みがあるものの、深く座ると肩が壁に当たって肘掛として窪みを利用することができなくなってしまいます。うーん、なんかもどかしい・・・。


最後に優先席専用のモケットを用いた3人掛けの座席になります。実はこれ、今回取材した車両よりも後の時期に製造された車両の画像になります。この部分に関しては構成が一緒だ!ということで載せてみましたが…床の色、だいぶ違いますよね…。
モケットの色的には銀というよりも鶯といった印象でしょうか。されど、かつての「シルバーシート」という名称がこうして色に残っているのもまた興味深く、いかに定着していたか(鉄道会社側に・・・という意味も含めて)が伺えます。

・・・今度は撮り忘れないようにしなければ!!なんて妙なオチがついてしまいましたorz・・・

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