西武鉄道  40000系50番台
 
  クロス・ロングデュアルシートで西武鉄道の新時代を拓いた40000系0番台。その増備も一段落ついたようで、2019年増備の2編成はロングシート車として増備されました。見た目の違いはわかりやすいところでは外観に黄色い地で「LONG」と書かれていること(^^;; で、細かいところを見ると2号車・9号車の車椅子スペースの窓が塞がれていない点、4号車にトイレが無い点が挙げられます。
10両固定編成で西武線内で完結する運用に就いていますが、外観は非常扉を有していることから、そのうち地下鉄線内にも乗り入れるのかな…?と期待しているところです。
画像は本川越方先頭車で、池袋線では池袋方先頭車にパートナーゾーンが設けられ、外観の大きな窓が特徴になります。001系といい、大きい窓が西武鉄道のアイコンになる日も近い…か?!
(取材・撮影 西武鉄道新宿線・東村山/拝島線・拝島 他)

 

 

 


車内全景です。4ドアロングシートです。青い鮮やかなシート、軽快な雰囲気がポイントです。青い座席自体は西武通勤車としてはすっかり見慣れた感じがしますが、ここまで開放感が味わえる車内はなかなかなかったのではないでしょうか。天井周りの意匠も30000系の意欲的な挑戦をより実用的なものにブラッシュアップした印象で、ここも開放感の形成に一役買っています。車内の開放感とは裏腹に窓が小さいように見えますが、これは荷棚の位置と背もたれの高さが関係してきます。…とはいっても背もたれのはみ出しはさほど大きくなく、荷棚も棚板が透明ということもあり、実際に座るとそこまで窓の小ささは感じません。

 
車端部です。右の画像は片側が車椅子スペースになります。この形式から車端部の座席が全て優先席になりました。車椅子スペースは1・2号車の本川越・池袋寄りの車端部片側と3〜10号車の西武新宿・飯能寄り車端部の片側に設置されています。0番台にあった窓の無い車椅子スペースはなく、2号車の車椅子スペースは西武の他の車両に位置を合わせた格好です。車椅子スペースは良いとして、優先席の設定を変えるのであれば他の車両も一斉にやった方が良いと思うのですが…。
木目調の妻面がこの車両が持つ柔らかい雰囲気を一層引き出しています。

車端部の貫通扉です。桜の花びらの他、鳩が飛ぶ姿をシルエットで表現しています。モチーフが桜の花のようで、モケットや袖仕切りにも登場します。無難なデザインにも見えますが、パターンが一目でわかってしまう柄にもなるので、なかなか気を使いそうなチョイスだと思います。
そそ、桜の花びらといえば名鉄のパノラマDXの座席仕切りは形状とシルエットがマッチしてキレイでしたねぇ…おじさんの独り言でした。


車椅子スペースです。どの車両もこの構成です。非常通報機に車椅子の固定器具は西武鉄道ではお馴染みのセットです。手すりは窓の真ん中あたりと窓の下にしっかり備わっています。
妻面には家電メーカーの空気清浄機も備えています。控えめすぎて探すのに一苦労しそうな消火器と比べて、随分良い位置に設置され、良い位置にさりげなくロゴが入っているのは宣伝も兼ねているのでしょうか?さしずめプラズマクラスター、つけたところがシャープです。


西武新宿・飯能方先頭車、つまり1号車の乗務員室との仕切りは木目調ながらオーソドックスなものになりました。ただ、ここに地味な変化が生じています。新造車両では20000系以降「乗務員室の後ろはドアを挟んで車椅子スペース」が定番でしたが、この番台からはその定番を覆し、両側ともドアギリギリまで座席が迫るようになりました。40000系も0番台はクロスシート2席だけの中途半端な空間を作ってまでこの定番にこだわっていただけに、初めて見た時にはビックリしました。
車椅子スペース自体はこの先頭車も車端部にありますので、車椅子スペースを求めて右往左往することはありません。ただ、駅で的確に案内してもらえるかどうかが若干心配です。

 
本川越、池袋方先頭車の乗務員室の後ろは「パートナーゾーン」です。0番台に続いて50番台でも登板です。床の黄緑色が心に優しいこのゾーンですが、ちょっと寄りかかれる腰掛を中央におき、お子様でも景色が眺められるように窓をぐぐっと下げました。ただ、設置位置と駅の構造を考えると体のいい立席スペースと言われても仕方が無いと思います…。まだ編成数が少ないから良いものの、今後増備が進むと日によっていつも乗る列車のパートナーゾーンの有無によって泣きを見る人がでてくることを思うと…。
とはいえここから見る広い景色はなかなか爽快だと思うので、あとは世田谷線のように床まで窓を伸ばして欲しいものです。えぇ、無茶振りです(^^;;


天井です。ラインフローファンを中央に配置し、すぐにLEDの蛍光灯を配置しています。通勤車両でこの位置に照明を配置するのは珍しいですが、0番台の通路部分に照明を配置していたことも影響しているのかもしれません。そして吊革は独特の握りやすい意匠で、30000系に続いてそっぽを向くと元の向きに戻しにくいバンドを採用しています。
30000系はもっと天井の丸みを広く確保していた分大人しく感じるかもしれません。反面、「いつもの向き」にラインフローファンを配置したことで、30000系で冷房の風量に物足りなさを感じていた方も少しホッとしたことでしょう。


床です。ツートンカラーでフットラインを形成しています。このあたりは30000系に続いての採用で、今後の西武の標準仕様になるかどうかが楽しみです。ドア周りには黄色い滑り止めも備えています。奥の方の黄緑…否、若草色の床が大変お洒落で、ワンポイントで使うのには実に良い味を出しています。…誰ですか、武蔵横手の駅でヤギが間違えて乗ってきそうとかって言っている人は?!

 
ドア周りです。右の画像は10号車のパートナーゾーンのドアです。周りを木目調で固めていてもドア周りは白い化粧板で統一しています。すべてのドアに液晶ディスプレイが2面ずつ備わっており、点字による位置案内もドア窓付近に備えています。30000系と同じような仕様ながら裾絞りがないため、だいぶ大人しく見えます。黄色のラインテープはお馴染みの仕様になりました。
ドア周りはあまり余裕が感じられません。半自動ドアのボタンも袖仕切りの上の設置で、なかなかこの部分の構成には苦労があったことかと思います。その苦労は広告枠、とりわけステッカー広告の位置や天井に張り付いた路線図からも伺えます。


液晶ディスプレイです。2画面構成でシームレスにつながりそうな雰囲気ですが、取材班が乗った時は左の画面は広告、右の画面は次駅案内、路線図、ドア開閉の向きなどを流していました。程良く分担されています。
先ほど話題にした天井に張り付いた路線図の模様も合わせてどうぞ。
なお、0番台で設置されていた天井から線路と垂直方向に設置されていた液晶ディスプレイはこの番台にはありません。


半自動ドアのボタンです。50番台で活用している事例に出会ったことはありませんが、そのうち本川越や西武遊園地などの折り返し停車や退避の際に有効活用される事かと思います。この手の表示にしてはちょっと見難いかもしれません。取材班が映り込んでいるから…ということではなく、字が細くて小さいのです。液晶ディスプレイでの補足に期待です。

 
窓周りです。パートナーゾーンは着色固定ガラスでカーテンはありません。それ以外はカーテンも備えた1段下降窓です。このあたりの実用本位な構成を譲らないところが西武らしいなぁと思います。


パートナーゾーンの腰掛です。片側に寄りかかれる程度のクッションを反対側に車椅子固定器具を備えて互い違いに設けています。側壁にもモケットを貼っていますが、腰掛になりうるようなクッション性はありません。
一応2人寄りかかれるようにはなっていますが、長さが中途半端で2人寄りかかると狭いと思います。そう、スタンションポールが端から伸びているのは良いとして、そこにつかまって寄りかかるとすると、もう片側の手は携帯電話を操作したり、本を読んだり、鞄を持ったり…寝ることが難しい以上そういう「+α」ができるだけのスペースがあると、なお過ごしやすいパートナーゾーンになると思うのです。

 
座席です。基本的にはドア〜ドア間の7人掛けと車端部の3人掛けで、モケットもこの2種類がそれぞれ7人掛け、3人掛けのみの設定になります。実に分かりやすい区分です。
背もたれの凸凹がだいぶ激しい座席になりました。座面の凹みもそこそこ大きいので、見た目以上に狭さを感じるかもしれません。背もたれの凸凹にそって座ると着座位置が奥深く座った位置から少し前にずらすことになります。これに気が付かないと背もたれの違和感に落ち着かなくなります。そして、着座位置を前にずらすと足も自然に前に出てしまいます。
これまでの西武鉄道の通勤車からテイストをガラッと変えた印象で、これに慣れるには長いお付き合いが必要になりそうです。


一方、この袖仕切りは凸凹をうまく処理した感じで、実際に座るとなかなか良い収まり具合です。形状の柔らかい雰囲気もよく出ていて、必要以上の出っ張りもなく、これはもう素敵な逸品に仕上がっています。ガラス面に印刷された桜の花もなかなかきれいです。
地の色が白でちょっとしたキズも目立ちそうな色なので、今後この「歯が命」を彷彿とさせる白がどこまで保てるかが気になります。
 
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