札幌市交通局  軌道線M100形
 
  1961年、ラッシュ時の切り札として試験的に投入されたのがいわゆる「親子電車」です。「親」モーター車と「子」付随車を1両ずつ連ねて、データイムはモーター車のみで動くようにした車両です。結果としてラッシュの切り札はその後名鉄に受け継がれる「連接車」になったのですが、親子電車はモーター車が今なお現役で活躍しています。M100形です。
試験的に導入されたこともあって1両のみの存在ですが、大きな入口ドアと独特な塗装は広告車両に負けない存在感があります。製造当時から両側に運転台がついており、親子解消に伴う大きな改造はワンマン化に留まっています。
付随車は現在札幌市交通局の資料館にいるとのこと。親と子、今もしっかり健在です。
(取材・撮影 札幌市交通局軌道線・中央図書館前他)

 

 

 


思いの外広く見える車内全景です。乗務員室付近は左右共に幅が絞られ、側窓が大きい事が効いているのでしょう。中央のドアが入口、前後のドアが出口になっており、入口のドアが他のどの札幌市電の車両よりも大きいのが何よりの特徴です。

朝の画像ということもあって少々見難いですが、座席から下までは薄緑が、座席から上がアイボリーという具合にツートンカラーに仕立て上げられています。一時期路線バスで多く見られた色のバリエーションです。


乗務員スペースとの仕切りになります。車体幅を絞っているだけではなく、仕切り壁のパンフレット・広告類や上の方にあるパイプ、カーテンなどなど、かなりごちゃごちゃしたスペースは外観からは想像つかない雰囲気になっています。まさに「コクピット」と呼びたくなってしまうくらいです。ただ、ここも先ほどのツートンカラーを死守しています。

運賃表示器やLED表示器などは一切ありません。視界に真っ先に飛び込むモノが一見無さそうに見えるのはそのせいかもしれません。


天井周りです。非冷房車なので非常にスッキリとした天井になっており、蛍光灯も中央に一列のみの設置に留めています。その蛍光灯のカバーには降り口を示す矢印が印字してあります。夜ではかなり威力を発揮しそうですが、進行方向が変わった時も矢印はそのままの向きになってしまいます。ちょっとオドオドしそうです(^^;;


床は滑りにくいダークグリーンの凸凹模様です。当時からこの出で立ちだったかどうかはわかりませんが、北海道=木目調という固定概念をこの時代の車両でさえも打ち壊しています。

 
ドア周りです。左の画像は中央にある入口用のドア、右の画像は出口用のドアになります。
どちらも非常に狭いステップを経て乗り降りするようになっています。そのための手すりもしっかりありますが、左の画像、中央部分にはスタンディングポールがにょきっと伸びています。いわばここは通路のど真ん中。恐るべし…。
左の画像は通勤電車と同じような両開き、右の画像の出口扉はそれぞれ引き戸として機能しています。


側窓は側扉の窓に負けず劣らず大きなバス窓。晩年を名鉄で過ごした連接車はユニットサッシでキリリとした表情でしたが、こちらは味のある野暮ったさを今も大きく残しています。

 
その窓の下、座席は2種類あります。左の画像がドア〜ドア間でざっと6人掛けと言ったところでしょうか。右の画像はドア〜乗務員ブースまでの5人掛けになります。どちらも路面電車ならではの浅い座りを求めた座席になっています。モケットは茶色で、周りの色合いとは一切関与しない色を選んでいます。
車両中央部には優先席に2席ずつ指定されており、背もたれに「優先席」との表記がなされています。これほどわかりやすい優先席の表示は他には無いでしょう(^^;; 地下鉄では見かけない、市電独自のデザインです。


車内2箇所に「傘貸し出します」と傘立てが設けられています。地下鉄や市電の忘れ物を再利用しているのでしょうか、この車両に限らず他の車両でも常に何本か常備してあり、すっかり「お馴染みのサービス」になっています。

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