岡山電気軌道  3000形[KURO]
 
  東武…といよりも岡山電気軌道の顔として長年親しまれてきた3000形。後継車の登場により1990年代初頭より廃車が相次いだものの、2011年現在も特別な塗装や仕様で3両が残っています。固定ダイヤでの運用だったり、夏季は運転されないなどどちらかといえばイベント列車に近いものがありますが、逆に乗車チャンスがつかみやすい嬉しさもあります。
中でも今回取り上げる「KURO」は車外のみならず車内も細かく改装しており、車外共々リアルレトロではなくレトロな「感覚」で楽しめる趣向になっています。プロデューサーは岡山電気軌道では他に「MOMO」のデザインも担当した水戸岡鋭冶さん。水戸岡さんらしさは路面電車の窓の大きさに負けないくらい存在感のあるロゴからも十分感じられます。果たして車内は…?!
(取材・撮影 岡山電気軌道東山線・岡山駅前〜東山)

 

 

 


車内全景です。色の使い方が実にレトロです。いや、レトロというよりも木の色和えを純粋に活かした車内づくりといった方が適切でしょうか。近年の水戸岡先生&ドーンデザイン事務所の傾向として「あそぼーい」「817系」などに見られる単純に明るい白を前面に押し出したデザインが流行っていますが、この車両はその前夜に登場したのでしょう、大きい窓からの明かりを受けてもなおダークブラウンの重みがかき消されていません。
高い天井の押さえ金具をこげ茶に塗るなど、銀色をとにかく排除したこともあってなかなか整然と、落ち着いた車内に仕上がっています。


LED表示機も運賃表示機も無い乗務員スペース周りの様子です。チャラチャラした電光掲示板が無いのもポイントが高いですが、運賃箱までこげ茶に揃えています。見にくくなる弊害は乗務員さんの声掛けで解消といったところでしょうか。
正面は2枚窓ですが、乗務員スペースは中央に配置されています。左側には加速時に用いるマスコンが見えますが、運転手さんにとって正面窓の真ん中の桟は邪魔なような気がしますが、いかがでしょうか(^^;;

いずれにしても、近年の路面電車ではなかなか見られない、広告や案内が氾濫していない仕切りです。


電光掲示板はありませんが、「次とまります」が光ることも。このフォントがまた可愛いです。
小田急バスの「急停車にご注意」の親戚でしょうか?


その上、天井周りがまた良い雰囲気なんです。特にこの白熱灯。点灯したところを見たいですが、今の運行ダイヤでは光る可能性は少なそうです。
吊り広告になっているので立ち上がって吊り広告の下を通ると頭とぶつかってしまいそうな人もしばしば(^^;; でも、すごく自然体な設備ではないでしょうか。
 
さて、この車両が登場した時に話題になったのがこちら、吊革でした。
バンド部分は皮、握り手部分は木でできており、当時このコンビで作った吊革は初めてだったそうです。今は木の握り手部分こそ富士急や和歌山電鉄などでもお馴染みなっていますが、そこは先行者の特権、使い込まれた雰囲気が少しずつ表れてきています。


床は木をそのまま貼っています。周りの滑らかな触り心地とは違い、このパーツの感触はゴワゴワ、色も褪せている感じです。登場時から張り替えることなく使い続ける床なのでしょう。ここを今風のフローリングに変えなかった点は素晴らしいと思います。


ドアは両端に左右1か所ずつ、同じ2枚引き戸の形態で設けられています。こちらも登場時から変わらないスタイルで、片引き扉が主流の岡山電気軌道ではわりと珍しいドアではないでしょうか。
登場時から変わらないのは機構だけで、色和えは周りに合わせて焦げ茶色にしています。ドアだけでなく、戸袋の仕切りも焦げ茶色です。駆動部分が銀色なのでなかなか動きが気になってしまいます。


窓は2段で、カーテンも装備しています。
降車ボタンも茶色い縁に白いボタンで周りに見事に溶け込んでいます…って、それだと逆効果ですネ(^^;;;

 
座席です。横幅はみ出してしまいましたので、途中から最後まで写しています。左右両側とも同じ人数が掛けられる同じ座席で3人・7人・3人の13人掛けとなっています。間には肘掛が、両端には肘掛兼荷物置き場があります。この車両は確かに網棚が無いので、そういうスペースは重宝します。

…と、いうことでもうお約束の木製の座席です。木の肌触りはすごく楽しめますが、座面がズルズル滑る欠点も持ち合わせてしまっています。これは背もたれの形状が斜めになっていることが災いしているかもしれません(^^;; 良い居心地と踏ん張る力はどうやら反比例してしまうようです。


肘掛やコーナーの肘掛や荷物置き場として活用できる天板です。隣席どうしで使えるよう、広めの肘掛を用いています。
座席下機器類の配置が許すのであれば、肘掛をもう少し細くして7人掛けをもう少し細分化するために増設してほしいところです。また、先端にのちの「富士登山電車」などでみられたグリップを設けても見た目が楽しくなるでしょう。意外と揺れる路面電車、握りどころは多い方が頼もしい物です。

コーナーの天板は正直活用方法が思い当りませんが、荷物置き場として進化させるのであれば角にライン上のでっぱりがあると荷物が少しでも落ちにくくなります。


3人掛けをピックアップしています。
一応1席ずつ区切りがつけられていますが、この区切り通り座ると狭いです(^^;; ラッシュ時の目安ということで考えてみるのが許されるかどうかはさておき、はみ出しても特に座り心地への影響はありません。
また、座席下のヒーターは座面手前ギリギリまで張り出しています。張り出した分幾分暖かいとは思いますが、不意に触ってしまいそうなシチュエーションだけは避けたいことろです。




…こうしてみると、雰囲気はすごく良いんですけどねぇ…。

デザインと快適性の両立、路面電車リニューアル部門ではなかなか難しそうです。

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