大井川鐵道  21000系
 
  旧塗装、しかも半世紀前から南海電鉄を走っていた21000系です。大井川鐵道に来たのは平成9年のこと。以来近鉄、京阪の車両と共に静岡のローカル輸送を担っています。
南海時代に「丸ズーム」と呼ばれていた出で立ちもこの通りそのままですが、私的にはヘッドマークが邪魔かなぁ…なんてしばし思う事があります。また、パンタグラフがついた車両の汚れが気になりますが…気にしない気にしない(^^;
同じ21000系を譲り受けた一畑電車では廃車が始まっているようですが、大井川鐵道ではまだまだ活躍しそうです。古い…を通り越してレトロな空間、レトロな車両として勝負できる日が来ることを願うばかりです。
(取材・撮影 大井川鐵道・金谷〜千頭)

 

 

 


車内全景です。2ドアの車内はドア〜ドア間を転換クロスシートが、車端部をロングシートが占めています。実はこれ、南海時代から全く変わらない座席配置です。ロングシートが少し短い部分もありますが…それはまた後程(^^;
だいぶくたびれていますが、木目調の化粧板に一直線の蛍光灯、窓際の蛍光灯、そして蘇芳色の座席。南海時代に特急の代走車として運用に就いたこともあったようですが、その時の貫禄は今もなおひしひしと伝わってきます。


乗務員室との仕切りです。ドア〜仕切りまで窓2枚分、ワンマン運転の動線を考える事なくロングシートが両面に展開しています。千頭駅も、金谷駅も駅員配置駅なので実は運賃箱はあまり使われていないのかもしれません。ただ、そのワンマン運転の関係で中央の仕切りは空きっぱなし、運賃箱も通り抜けを考慮して?か、妙な置かれ方をしています。
なお、運賃表は紙印字での対応です。オレンジ色の文字が鬱陶しいなぁと感じる人にはプラスに作用しそうですが、見慣れない三角表になるだけに、運賃の確認はちょっと大変そうです…。

 
車端部です。基本はここもロングシートですが…あれ、あれれ?
富士急行など一部の私鉄で見る自動販売機、この車両で見るとは驚きです。千頭方車両の車端部についています。座席こそ短くなっていますが、窓は特に埋めていません。また、空き缶を捨てるゴミ箱も常備されています。そして自動販売機よりも目立たない整理券発券機…もとい、乗車駅券発行機はドアと戸袋の間にひっそり設置されています。
貫通扉は常時開いています。


天井です。真っ直ぐ伸びたカバーつきの蛍光灯、そして窓の上の蛍光灯。このライトワークが織り成す夜の車窓、なかなか捨てたものではありません。勿論関西私鉄有料特急の流れを伝える貴重な逸品でもあります。その窓上の蛍光灯の関係もあり、網棚はしっかりしたものが備わっています。座席番号が無いのが不思議なんですけど…ね…(^^;;


緑一色の床。登場時からリノリウムだったのでしょう。レトロさを欠くのが欠点ですが、こちらの方が居心地良いですし、整備もしやすいと思います。


ドア周りです。大きな片開き扉が待っています。ワンマン運転時後ろの車両は金谷・新金谷・千頭を除いて一切開きません。開くドアも重々しく開く印象で、京急800形のような機敏な動きは…求めてはいけないようです(^^;;
ちょっと新しく見えるところですが、金属地ベタ塗りのドアです。ドアステッカーが剥がれかけていますが…そろそろどなたか剥がしませんか?


窓は1段窓で戸袋窓も含めてロールカーテンも常備しています。この窓、2月に乗ったので実際に開けてはいないのですがどのように開ければ良いのでしょうか…しばし考えてしまいます。


座席です。まずはドア〜ドア間のロングシートです。南海電鉄の時からあまり手が加わっていないようで、モケットを中心にくたびれている様子が伺えます。座席下ヒーターや袖仕切りは独自の形状、背もたれが妙に縦方向に長い構成です。
スプリングが効いた座り心地は懐かしいと言うよりも座席自信のくたびれっぷりから疲れを助長させそうな感じです。せめてもの救いは乗り心地がそんなに悪くないことで…結構恐る恐る走っているものでして…(^^;;

 
車端部、そして右の画像では自動販売機を置くためにスパッと途中で切ったロングシートになります。右左画像をご覧いただいて如何に途中でザックリ切れているかが伺えます。はて、この座席の定員は如何に?
ここは優先席に指定されていますが、モケット自体は特に変更はありません。袖仕切りとしては斜めに切られたタイプよりも自販機脇の真っ直ぐ伸びたタイプの方が居心地良さそうです。乗り降りは斜めに切られたタイプの方がしやすそうですが、高速バスのようなタイトな空間ではないのでそこまで空間に気を遣わなくても大丈夫です。


転換クロスシートはドア〜ドア間に左右8脚ずつ、すなわち8組16人ずつ座れるようにセッティングされています。進行方向の向きにセットしなおす事もできますが、大体4人1組でセットされているケースが多いようです。
袖仕切りはシンプルなパイプ形状です。今見れば中途半端そのものですが、製造当初で考えれば転換クロスシート自体破格の設備だったのかもしれません。

そして転換クロスシート。薄緑色のフレームから感じ取って頂けると思いますが、これは古いとかメンテが…等の言葉をすべて越えて、ただただ骨董品でございます。モケットを部分ごとに交換しながらいつまでも大切に使おうという思いが伝わってきます。肘掛けは通路側のみですがわざわざクッションをつけている点、そして窓側に肘掛が無い点が泣けてきます。
座り心地?低めの着座位置、背もたれの無駄なボリューム、どこをとっても期待してはいけません(^^;; この形状に一目惚れした者だけが金谷〜千頭を快適に過ごせることかと思います。


この座席のポイントは床置きのヒーター。実は旧型国電では結構このような形でヒーターを設けていた例が多数ありましたが、現在は座面まで覆ったり、片持ち式になったりした結果、このご時世ヒーターと座面の間に隙間がある暖房設備は大変貴重なのです。座席の下を見る事になるので姿勢?体勢??とにかく周りに気を付けながら、ご乗車の際にご堪能頂ければと思います。間違っても手足指を突っ込んではいけません。


ちょっとレトロな域に入りつつある自動販売機です。スリムな自動販売機で、冬の取材でもコールドばかり売る強気の販売姿勢が好きです(^^;; このエリアだと愛知県に本社があるポッカあたりが強そうな印象ですが、単にベンダーの関係か、大井川鐵道ではダイドーが待っています。値段は標準的なもので、LUCKYが出るともう一本!がダイドークオリティ。


車内ところどころ南海電鉄の張り紙があったり、禁煙の表示が南海そのものだったり、塗装だけではなく細かい所にも南海だとわかる物が設置されています。優先座席の丸い表示も関西の私鉄ではすっかりお馴染みです。
そろそろ作ってみてはいかがですか、私の履歴書…。
 
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