近江鉄道  220形
 
  おーいお茶。これまでのレールバスに代わって登場したのが1両の可愛い電車です。可愛い割にはキリッとしたブラックフェイスで走り出すと吊り掛けの音が車内に響き渡るという、一体何歳なのかわからない車両でもあります。しかし見れば見るほど愛くるしい姿です。
現在は平日午前中のみの運用で、多賀線がメインです。かつてはもう少し運用があったと思うのですが…輸送量として1両編成では扱いにくい側面があるのでしょうか?
そういえば、彦根界隈は語源の一つに「混ぜる」という説がある「ちゃんぽん」が有名だそうで…様々な車両のパーツを混ぜて彦根工場で組み立てる技術力を肴に思わず何杯もおかわりしたくなってしまいそうです。
(取材・撮影 近江鉄道多賀線・高宮〜多賀大社前)

 

 

 


車内全景です。近江鉄道では珍しく1段下降窓なので大変すっきりとした車内になっています。3ドアロングシート、17m弱の車体長になるため他の車両よりもコンパクトな空間に仕上がっています。
車内の色遣いとしては化粧板のアイボリーが珍しく、外観のブラックフェイス同様に軽快感が前面に出ています。改造時期が平成3年から8年にかけてということもあり、トレンドを取り入れてみた結果とも受け取ることができます。

 
乗務員室背後には運賃箱、そして運賃表示機が設置されています。運転台の後ろというのは左の画像の多賀大社方も、右の画像の米原方も変わりありません。窓が大きく取られて貫通扉も広めのセットですが、これは西武譲渡車でも見ることができます。ただ、西武譲渡車よりも窓が縦長かつ左右ギリギリの幅までセットされているようで、前面展望する側からすれば嬉しい窓配置になっています。乗務員室背後に座席を持ってこなかったことにより実現した大きさであると言える仕切りです。


天井は冷房がついて平天井で実にスッキリした構成になっています。冷房はスポットの吹き出し口をメインにし、蛍光灯の本数共々データイムの閑散とした運用を軸に考えていた節、或いはコスト的な物を伺わせる部分でもあります。
この車両で嬉しいのは網棚がしっかり備わっている点で、改造車だからギャラリートレインのように網棚をつけなくてもいいか…という発想に至らなくて良かったと思います。


床です。ベージュ一色という選択はどことなく化粧板、外観のトレンドに通じるものがあります。この床から吊り掛け駆動の走行音が奏でられるのがやはり不思議です。


両開きドアが片側3つついております。いずれも無塗装のドアで、ワンマン運転時の無人駅では中間のドアは開きません。軽快車っぽい外観からはちょっと想像しづらい音を立てて、気持ち重たそうな開閉動作になります。
面白いのが吊革の握り棒。ドア付近まで伸びていますがそこに吊革はありません。既存のパーツを使用する際に乗り降りに邪魔ということで撤去してしまったのでしょうか。普段あまり開かない真ん中のドア付近の吊革も見事に撤去済みです。


側窓は見事に1段下降窓です。ロールカーテンも備わっています。窓枠の銀色の縁が鏡面仕様ですが、それはそれでこの車両の個性にもなっています。


座席です。台座や袖仕切りあたりから西武車から取り付けたものではないかと思われます。ただ、着座位置がやや高めで背もたれの高さがやや短めで、FRPの成形パーツも座面と背もたれの間に入っていないのでいわゆる西武譲渡車として活躍している車両とは見た目がだいぶ異なります。モケットは近江鉄道でも珍しくなりつつある焦げ茶色の一色でシルバーシートなどの設定はありません。
短距離の利用だったのでかっ飛ばすシーンには巡り合えませんでしたが、乗り心地はなかなか良かったです。レールの継ぎ目で飛び跳ねることもありませんでした。ただ、座面がちょっとくたびれているようで、見た目以上に薄いような底つき感がありました。


関西ではそれなりに見かける網棚と分離したタイプの袖仕切り。優雅なカーブは決して年代を感じさせるアイテムではありません。ドアコックが座面下にありますが、そのドアコックに通じる穴が丸く開けられているのが西武っぽいです。


そそ、車内ではこのような素敵な吊革がぶら下がっています。こちらも可愛いですねー。


さて、乗務員室との仕切りでこんなパーツを発見しました。右のカバーつきのプラグはマイク用です。小回りが利く分貸切としての需要があるのかもしれません。これもまた、路面電車的な親しみのもてる使い方です。さて、このマイクで喋った声は車掌用のスピーカーから出てくるのでしょうか?ここで一曲…とんでもなく割れそうですし、歌う人は続々と車掌独特の鼻がかった声になりそうです(^^;; 吊り掛けとの二重奏、なんとも贅沢な時間ではあります。
 
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