小田急電鉄  5000形(2代)
 
  令和2年から走り始めた小田急の通勤形電車は、往年の名車の系列を踏襲した「5000形」を名乗ります。ただ、いわゆる「小田急顔」とは全く異なる外観で、貫通扉さえありません。最早、新しい時代の小田急線を早くも感じさせてくれるスタイルです。
一方、通勤車としては久々の幅広車体の導入になりましたが、こちらは幅が狭い車体の車両の増備が長く続いたこともあり、どことなく新鮮な雰囲気です。
令和4年の時点では10両固定編成で増備が続いています。小田原線に乗っているとそれなりの頻度ですれ違うようになりました。初期のトラブルなんのその、軽快に複々線区間を飛ばす姿、そしてニコリとしているように見えるテールランプの残像を残し、未来に向かってひた走ります。
(取材・撮影 小田急多摩線・新百合ヶ丘〜唐木田 他)

 

 

 


車内も大きく雰囲気を変えました。2000形や3000形が魅せていた華やかな雰囲気から鮮やかながらも落ち着いた雰囲気にイメージアップ。小田急の通勤車では初めてのオレンジ色の座席、そして木目柄の床…どことなく自宅にいるような安心感…もとい寛ぎを覚えてしまうのはきっとこの画像が無人の車内だからでしょう。
さて、5000形では折り返し等でドアを開放している最中、ドアが開いていることを示す音が間隔を開けて流れます。他の私鉄での採用例もあり、小田急も導入に至ったのでしょう。勿論流す事は良い事だと思いますが、これ以外の音も含めて「音」と「それが意味するもの」の統一をそろそろ企業、分野の枠を超えて考えて欲しいなぁ…と思う今日この頃です。

 
車端部は2パターンです。左の画像は先頭車でも見られる両側優先席のパターンで、照明の色が違和感なく電球色でセットされています。中間車の片側は通常仕様のモケットの座席と車椅子スペースのデュオです。
東京メトロ16000系でお馴染みのガラスの大きな貫通扉は小田急電鉄の通勤車では初登場です。しかしながら東京メトロのそれとは味付けが異なり、両側とも広告枠が備わっています。消火器はその貫通扉と妻面の壁の間にしっかり備わっています。
白い化粧板あ優先席の灯りを反映させるにはピッタリで、なるほどすれ違った際に一際電球色がはっきり見える秘訣ではないかと思います。


乗務員室との仕切りです。ギュギュっと真ん中に寄っているように見えますが、4000形と構成は変えず、真ん中に仕切り窓、右側に仕切り扉、左側にも何かを収めているような気がする扉がスタンバイしています。前面の窓がワイドになったので前面展望にはうってつけの環境だと思います。その仕切り、ドアに続いて登場するのが車椅子スペースになります。
少し気になったのが仕切り窓の上。画像では見難いですが何かを塞いでいるかのように見えます。さて、一体何を塞いだのやら…普段は中吊り広告で見えない状況を想像すると、兄弟喧嘩の当たり損ねではなさそうですが…(^^;;

 
車椅子スペースです。さすが新車、床にしっかり車椅子、ベビーカーのピクトグラムが描かれています。手すりは横方向に3本、4000形に見られた窓の上の手すりはなくなりました。また、壁かけのヒーターもこの形式にはありません。小田急通勤車の車椅子スペースの中ではかなりスッキリした設えに落ち着いていると思います。
そして、先頭車、中間車とも同じ設備になるのはさすが新型車両といったところで、場所くらいしか違いがありません。

 
天井周りです。全体的に出っ張りが少なく、ルーバー調の装飾がスッキリ見える程です。右の画像は少し大袈裟な加工を施しましたが、優先席部分と通常の部分の照明の色合いが異なる様子がわかると良いな…の一枚です。
吊革は手掛けに薄くオレンジ色を施しています。故に少し存在感がありますが、それだけに吊革の間隔、本数を見ると…朝晩のラッシュがどれほど過酷かが容易に想像できます。いやはや、お疲れ様であります。


床です。ドアの周りは黄色いシートで区別していますが、基本は木目柄のシートです。それが例え似ているものだとしても…落ち着いた雰囲気づくりに一役買っていることは間違いないですし、なんだか靴の裏で汚したくなくなってしまいそうな気にもなってしまいそう…というのはさすが大袈裟ですか?
2000形あたりから小田急通勤車の床は妙に凝っている印象がありましたが、とうとう来るところまで来たような印象です。
ホント目頭が熱くなってしまいましたので…次回作は同じ木目柄のヘリボーンに期待したいと思います(^^;;;;


ドア周りです。カクカクしていた4000形のドアから一転、ドア窓は丸みを帯びるデザインになりました。面白いのは4000形では黄色のラインが両開きドアのちょうど真ん中にくるように引かれていますが、この5000形では両端に引かれています。黄色い線が示すものが2形式で異なるのでしょう、しかしその差に「クイズ!製造会社変れば!」などとつい大沢悠里さんの声を充てたくなってしまいます。

静かに開くドアの上、鴨居部は防犯カメラが千鳥配置で設置されています。

 
ドア上のLCDです。全てのドアで2画面構成で、左側は広告やニュースなどの配信を、右側は次駅案内や停車駅などの案内を表示しています。東京メトロ16000系もLCDの下に立客が握れる出っ張りがありますが、東京メトロとは異なりドアコックの蓋の部分には出っ張りがありません。頭上の広告枠同様、出っ張りが設けられないほど空間がいっぱいいっぱいだったのでしょうか。
防犯カメラは1両当たり4台設置で、画像のとおり正直どのようにカメラがセットされているか伺い知ることはできません。


側窓です。こちらは3000形、4000形と実績がある1段下降窓で、ドア〜ドア間の窓のうち、3分の1くらいは固定窓になっています。なお、車両真ん中の側窓については「空調装置からの排水が吹き込むため、窓を閉めさせていただきます。」とテプラで貼られています。注意喚起が必要なのは理解していますが、それでも新型車両でテプラフォローがされていると、ちょっとガッカリします…。

荷棚はガラスを採用しています。

 
座席です。ドア〜ドア間はこの2種類です。4人掛けは先頭車のみの特権で、車椅子スペースに面した袖仕切りは独特の形状をしています。誰ですか、擦りガラスなのをいいことに声を変えてみて…なんて思っている人は?!
形状強めのバケットシートで、緩やかに柔らかさで包んでくれる部分と、左右の形状維持のためか硬い部分の差が激しいな、という印象を抱きました。背もたれの食いつきももう一歩といったところですが、完全に閉口してしまうようなモノではありません。

 
車端部は3人掛けの独壇場、優先席はオレンジとは対になる青いモケットでスタンバイ。黄色い手すりが映えます。それにしても、これだけ鮮やかな色のモケットを投入できたなぁ…と感心するばかりです。国鉄末期のキハ54形500番台のオレンジモケットとシンクロしてしまう部分があり、いつの間にかモケットが…という展開を妄想しそうになりますが、龍村美術織物さん、良い仕事していると思います。
袖仕切りやスタンションポールで乗り降りの助けになるような設備が展開し、特にスタンションポールの触り心地はなかなか良いのですが、妻面は例によって置いてけぼり…4000形には貼ってあったモケットも、とうとうこの形式では端折られてしまいました。


ドアに面した外側から見ると少し不思議な形状の袖仕切りです。荷棚同様ガラスを用いて開放感の演出もバッチリですが、内側に展開しているビスも演出でしょうか?
素材の違いとはいえガラスと板との境目がもう少し通路寄りだと境が肩に食い込むことが低減できたし、ガラスとポールの間の微妙な隙間に子どもが好奇心を持たなければいいなぁ…と思います。
もう一つ気になるのが袖仕切りの下、ポールに挟まれた細長くて黒い部分の存在です。見た目こそ目立ちますが、あれは一体…。
 
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送