西日本鉄道  9000形
 
  平成29年3月に営業運転を始めた西鉄の新型車両です。これまで3ドアロングシートの主力として活躍してきた5000形の置き換えということで、3ドアロングシート車での登場です。3000形では3ドア転換クロスシートで登場したので「あれ?またロングシート?!」という声もあるかもしれませんが、普通列車からラッシュ時の特急までどの運用もそつなくこなす5000形の活躍を見て納得、車両の特性を巧みに活かした運用を作る西鉄のきめ細やかさから見ても、5000形のポジションは重要な役割を担っていることが伺えます。
編成は2両と3両の2パターンです。現在は5両編成の急行や6両編成の特急が中心です。前面は3000形のような傾斜はなく、ちょっと落ち着いた大人の雰囲気になっても、側面まで回り込んだ前面窓や急行灯を見るにつけ「あ、やっぱり西鉄っぽい…」と思わずにはいられません。
(取材・撮影 西日本鉄道太宰府線・二日市〜大宰府 他)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートの車内です。画像は早朝に撮影したものですが、夜間に乗るともう少し青白いかな…といった印象です。昼間はLEDになったとはいえ、消灯する時間帯が多いのでなかなか色の判断が難しいところです…(^^;;
赤いモケットは8000系や2000系を中心に親しまれているものの、3000形とはガラッと変わった車内になったため、正直見ていて新鮮です。車体幅が狭い西鉄ですが、天井や床の造作から車内全体を広く長く魅せようとする雰囲気を感じとる事ができます。


乗務員室周りです。やや右側に寄った貫通扉を軸に、乗務員室と助手席側でそれぞれ窓を設けています。長い貫通扉の窓にはNISHITETSUのロゴも含めたデザインが入り、ちょっとお洒落なムードです。ただ、車端部でアクセントとして用いているベージュを仕切りでは一切使っていないこともあり、単調な、淡泊な感じにまとまっているのはちょっと残念です。
夜間はこの長い窓に合わせたロールカーテンが引かれます。また、列車の中間部に運転台が来ることも多く、行き来はできますが扉は閉まりっぱなしの状態になっています。

 
車端部です。3両編成の中間車の大牟田寄りのみ通常モケットで両側とも座席の車端部が展開し、他の車端部はすべて車椅子スペースを含んだ優先席に指定されています。ベージュのアクセントは東京メトロ千代田線16000系で紺のアクセントとして取り入れたこともあり、今後新造車両のトレンドになっていくかもしれません。
ガラスの貫通扉はデザインこそ凝っているものの、開けようとすると最初ちょっと力を入れる必要が出てきます。不用意に開かないように…との配慮かもしれませんが、特急の車内をくまなく回る車掌さんや非常時の通り抜けの事を考えると、ドアノブを復活させるなどもう少し開きやすい工夫も必要になってくるのではと思います。


車椅子スペースです。非常通報機は高い位置に、ヒーターもついています。床は若干色を変えて優先席と同じように車椅子スペースであることをアピールしています。何より面白いのが握り棒。横方向だけでなく、縦方向にも2本設けてより握りやすいスタイルになっています。反面、妻面はただの壁…ここは逆に工夫しても良さそうなところですが、コストとの天秤か、はたまた…?!


天井です。格子状のデザインがなかなか格好良くまとまっています。ラインフローファンもこの格子の中にピタッと収まっている格好です。蛍光灯はLEDを使用したそうですが、直接照明であまり遊びはない様子。吊革は丸い取っ手ですが、西鉄に限らずJR九州も丸い取っ手を使うことが多いので、このあたりは土地柄なのかどうかは別として、新車なのに妙に落ち着いて見えるのは吊革や中吊り広告の慣れ親しんだデザインのせいかもしれません。それにしてもレールと垂直方向に設けられた吊革は3連…朝夕のラッシュの大変さ、お察し申し上げます。


フットラインを意識した床ですが、この模様は美しいです。オーソドックスな色ながらその濃淡で模様にするのは腕の見せ所といっても過言ではありません。


ドアは無塗装のものを用いています。引き込まれ注意の黄色いラインテープが際立って見えますし、ドア窓の大きさにも要注目です。どのドアにも液晶ディスプレイがついています。が、周りの新しいデザインの波から取り残されたような見た目がちょっと気の毒にも感じます。6000系までは化粧板つきのドアだったのに…ここ最近の車両は無塗装が続いています。これも流行り…ですか?

 
液晶ディスプレイです。左の画像は特急運用時のもので、左の画面で西鉄グループのコマーシャルを、右の画面で次駅案内等を行っています。右の画像は2画面揃って「ご乗車ありがとうございます」です。
3000形でも液晶ディスプレイの案内を行っていますが、デザインを一新、他社でも見かけるようなデザインになりました。駅の案内のようにパタパタを再現…までは至っていません(^^;;


窓周りです。3ドアでドア〜ドア間2枚の窓が並ぶ姿は7050形でもお馴染みです。カーテンレールが写っていますがロールカーテンを用いている点はこのご時世嬉しい物を感じます。ただ、特急はせっかく大牟田で折り返し清掃を行っているので、カーテンを上げたり、時間帯によっては一方のみ下げたりときめ細やかなサービスがあっても良いのかな、とも思います。


座席です。ドア〜ドア間の9人掛けは3人ずつわかりやすくスタンションポールで区切られています。バケット形状のロングシートで、モケットの赤い編み模様が大変美しい座席です。そそ、背もたれの縫い付け横2本は西鉄のバケットシートでは7000形や5000形でも見かけるもので、丸い取っ手の吊革同様西鉄の伝統芸のようなものにもなります。
座面は低反発ながら少しバウンドの効いたものになりました。7050形あたりの底つき感の強い座席から一歩進化した印象です。ただ、座面の奥行きがもう一歩で、通勤の詰め込みを重視したのかなぁ…と思わせる部分でもあります。

 
優先席は紫のモケットで区別しています。車端部は4人掛けで、従来の5人掛けからゆったり設置した印象です。で、あるならば妻面の処理にもう一工夫したって良いじゃないか!と思う今日この頃。7050形では座席の下にあった消火器が車端部に移った点にもご注目ください。
2人ずつスタンションポールで区切っている点はナイスです。


袖仕切りです。落ち着いた雰囲気のものですが、パイプの金属とガラスの微妙な隙間が落ち着かないタイプのものです。
ビスも剥き出しで、他社でも見かけるものなので汎用性が高いものだとは思うのですが…なぜ、ちょっとした汚れが目立って、割れてけがをすることが想像つく部材を投入したのでしょうか…。
夏はヒンヤリして気持ちが良いのですが、ヒヤリ体験だけは勘弁願いたいところです。
 
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