南海電鉄  1000系
 
  1992年、青とオレンジのニューカラーを用いた帯も高らかに登場した南海の通勤電車がこちら1000系です。1次車では難波から橋本を中心とした高野線系統と本線系統の車両共通化が図られ、現在もこれが1000系のウリなのですが、このページで取り上げるのは高野線系統では見られない幅広車体の2〜5次車の車内になります。それらも一応高野線でも走るそうですが、車両配置のバランスからか本線系統、全車自由席の特急から普通まで「なんでもござれ」的な活躍が引き続いています。
2000系から引き続き採用された黒色と大きい貫通扉は1000系でも採用され、新しい塗装も含めて南海電車の通勤車における新たなイメージを完全に確立した車両と言っても過言では無いでしょう。通勤電車共通塗装が最も似合う車両かもしれません。

(撮影・取材 南海本線・和歌山市)

 

 

 


車内全景です。20m車体で、ドア〜ドア間はロングシート、車端部がクロスシートの車内になっています。
地味な色遣いながらなかなかキリリと、キレのある車内に仕上がっています。おおよそ「和歌山や徳島へちょっぴりお出かけ」というよりも「大阪に仕事に行くぞ!」なんてビジネスライクな印象を受けます。そのキレは外観の雰囲気と一致する物がありそうです。
吊革の配置や袖仕切りの作りに南海の通勤車に対する「ゆとり」を感じます。


車端部はクロスシート、4人1組のブロックが左右1組ずつあります。1000系の後の南海通勤車の新造を考えると、JRに対抗するための居住性の向上という目的もありそうですが、それ以外にもクロスシート投入の理由はありそうな気がします。そのクロスシート導入のために吊革の設置位置が若干内側に寄っており、より奥まで入っていけるような工夫もしてあります。
妻窓、戸袋窓はありませんが、貫通扉の窓がスカッと長く伸びていて、見ていてとても気持ちが良いです(^^)。


そのスカッは乗務員室との仕切りにも見られます。ここの部分は左右の仕切り窓と同じ大きさに揃える車両が多いのですが、この系列は一貫して長い窓を採用しています。見ていて気持ち良いですね。
そして左右の仕切り窓の手前には広告枠も。あまり注目されないような場所にありますが(^^;;ドア周りのスペースはそれだけ広めに確保できていることが確認できます。


車椅子スペースです。ドア〜ドア間7人掛けのうち3人分の座席を撤去、ちょっとした掴み棒を設けてスペースを作っています。特筆すべき事項はこの車椅子スペースの数。なんと1両に1箇所確保されています。つまり6両編成であれば編成中6箇所設けられているわけで、ここまで車椅子スペースの数が多い編成は関東ではなかなか見られません(^^;; 車椅子スペースを使うために長い距離ホームを移動しなくてもいいという利点がありそうですが、これが「バリアフリー」が叫ばれた頃の試行錯誤の結果だったのか、はたまた南海電鉄のしっかりした考えに基づいた設置さったのかは今後の動向で判断していこうと思います。

なお、それに伴いドア〜ドア間の座席数が減少していますが、車端部のロングシートをクロスシートに交換、20m車で3人掛けから4人1組にすることによって1両あたりの座席数はオールロングシートの車両とほぼ同等の数をキープしています。実はクロスシート導入の隠れた理由はそこにあるのかなぁなんて思います。ifもしも1992年の時点で車椅子スペースに合う折りたたみの座席が設計されていたらクロスシートの導入は無かった…かもしれませんね。

しかしながら…うまいなぁ。別に食べられる訳ではありませんが(^^;;;うまいなぁ。


天井です。ラインフローファン導入で見た目かなりスッキリ、蛍光灯もカバーがついて落ち着いた車内作りに一役買っている様子がひしひしと伝わってきます。吊革は線路と平行方向にズラッと設けられています。ゴムバンドで輪の高さを変える手法は関西の私鉄車でよく見かけます。


床です。クリーム色だけに見えますがコルクのような柄が入っています。

 
ドア周りです。ドア上の鴨居部にはLED表示機と路線図のセットと広告枠が千鳥配置で設けられています。それに合わせたせいか鴨居部が大きいのが特徴で、化粧板も貼ってあまり目立たない印象のドアとは対照的です。
その鴨居部の脇には広告枠が小さく左右1つずつありますが、車内全体を見渡すと広告の数はさほど多くないかな…という印象です。首都圏の大手私鉄における車内広告が多いだけなのかもしれませんが・・・(^^;;

 
鴨居部を斜めから撮ってみました。左の画像がLED表示機と路線図のセット、右の画像が広告枠になります。どちらも同じサイズに合わせてあります。角の丸い三角形を作るようなスタイルで鴨居部にドカンとあるわけですが、この「三角形」は古くはかつての国鉄時代に作られた111系や403系などの近郊型電車にも見られる形。見易さや案内板に使えるだけの面積を考慮すればベターかもしれませんし発芽米の如く三角形に取っ手をつけて工夫の成果もみられますが、いかんせん古臭い、新鮮味を感じないイメージも同時に持ち合わせてしまいます。LED表示部分の小ささに対して周りがオーバースケールな様はまるで私自身を見ているかのようです(^^;;


小さいサイズの文字で次の停車駅からマナー啓発まで何でもござれのLED表示です。
下の路線図はこの車両が運用に就く本線・空港線の種別停車駅案内です。よーく見るとオレンジ色の線の上にある赤色の線、所々より明るい赤色になっていませんか?この明るい赤色は停車駅とは関係の無いところで「光って」います。最初からツートンで色分けしているわけではありません。光っているんです。
実はこの路線図、元々は停車駅を赤色の光で知らせる電光路線図でした。しかし近年その電光路線図の上から路線図を貼り、電光路線図による案内を事実上止めてしまったためにこのように妙な路線図になってしまったのです。

電光路線図は関東では江ノ電や都営新宿線の一部車両、東京メトロ丸の内線、銀座線などで使用されています。確かに進行方向と駅や種別の確認が常に容易に行える、LED表示機には無い利点はあります。しかし、駅や種別ごとの停車駅の変更、特にそれらが増える時には一回一回全車両に加工を施さなくてはならないというコスト面での大きな欠点があります。事実都営新宿線ではこの形式の案内はなくなり、東京メトロの両線では現在もこのような形式による案内してはいるものの、ナンバリングなどの影響でステッカーによる修正が何箇所も行われている状態になっています。
南海でも何か停車駅や種別、機器維持あたりで問題があったのかと推測されます。理想と現実の間に残っている大きな山をまさか和歌山、それも南海で目撃するとは思いもしませんでした。


さて、小粒な話題から脱出して側窓。この車両のスマートさの秘訣かもしれません、1段下降型の窓です。そしてその上には荷棚がありますが、半透明の板を用いた非常にお洒落な形をしています。まさか上に載せた物で割れるような事は無いとは思いますが(あったらそれこそ洒落にならないです(^^;;)バータイプのものよりも面積が広いと言う事はそれだけ埃も奥の方にたまりやすいと思われます。日々の清掃の実力が試される意外な場所かもしれません。


ロングシートから座席の方を紹介していきます。ロングシートは画像の7人掛けと4人掛けの2種類で、ロングシートとクロスシートが混在する車内においてはバリエーションが若干少ないかな、という気がします。
モケットは濃いグレーと主体に青も少し混ざった、ブルーブラックならぬブルーグレーといった色です。ちょっと中途半端な色合えかなぁという印象で、座席の状態によって座席の雰囲気が僅かに異なります。


車椅子スペース隣の4人掛け。窓の関係で袖仕切りの形状がドア周りと異なります。車椅子スペース同様各車両に1箇所ずつ設けられています。袖仕切りは両側をモケットで覆い、立席と隔てるバーの他に肘掛に相当する樹脂部分もついており、シンプルながら立客との分離を自然に図ろうとしています。このさりげなさがサービスとしては心地良いですね。

座り心地ですが、バケットシートながらフワッとした座り心地で、しっかりフィットしてくれるのでなかなか心地良い座席です。この座り心地がこの先維持できるかどうかもこの車両を巡る一つの楽しみです。


一方車端部のクロスシート。背当てもそこそこ活用されているようです。
混雑時は気がつきにくいかもしれないくらい表示が貧弱ですが、普段は端に追いやられる事が多い消火器がドアの脇、比較的わかりやすいスペースにあるのも特徴かもしれません。

 
クロスシートの様子を斜めから。左の画像がドア周りで仕切りも兼ねた席、右の画像は車端部の方になります。
固定クロスシートであり背もたれの転換などを一切考慮していないため、形状としてはなかなか良さそうですが、座面がどうもロングシートよりも沈みこまず物足りない気分になってしまいました。また、足元はそれなりにスペースが確保されているものの窓側の肘掛スペースが設けられておらず、窓があれば少しは肘掛代用分のスペースが確保できるかもしれませんが、戸袋によってそれさえ確保されていない座席もあります。定員どおり着席すると窓側の方は窮屈さを感じるかもしれません。

自分のような長距離旅行客にとっては通勤電車でクロスシートという発想自体が嬉しく、それに疑問符をつけたり否定をすることはありません。でも南海の「ウリ」としてクロスシートを設けたのであれば、あと一歩前に出る余地はありそうです。


なお、モケットによる表示ではなく窓のステッカーと吊革による告知ですが、先頭車の全てのクロスシートと中間車の和歌山市寄りクロスシート、いずれも8席分は優先座席に指定されています。和歌山市寄り先頭車ではなんば方が優先座席になります。

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