名古屋市交通局  東山線N1000形
 
  2007年、市営地下鉄50周年と既存車両の置き換えを目的に登場したのが東山線のN1000形になります。
銀色の車体に黄色の帯という外観の「色」はそのままですし、貫通扉を中央よりも助手席寄りにずらして設定している点も従来の車両と大差はありません。ただ、日本車輌独特の「ブロック工法」により外観は従来の車両よりも角張り、ツルンとした印象に仕上がっています。丸みを帯びていた部分が多かった従来の車両とは一線を画しています。

現在は東山線に3編成が導入され、他の車両に混ざって活躍中です。今後は東山線の置き換え車両としても増備が進むものと思われ、見る機会も次第に増えていくのではないかと思います。

(取材・撮影 名古屋市営地下鉄東山線・八田〜高畑)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。3ドアロングシートの車内はどちらかというと「真新しさ」よりも「見慣れた」雰囲気の方が強いのではないでしょうか。5050形までの暖色系を継承しつつも、より明るい化粧板を採用し、心なしか天井も高めに見えます。
「見慣れた」雰囲気の中でも新しい事も盛り込んでいます。早くも片持ち式のロングシートに注目されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。片持ち式ロングシートがまとめて導入された例は東海地区では「あおなみ線」や「名鉄瀬戸線」くらいで、今後このスタイルが東海地区でもお馴染みの物になっていくのではないでしょうか。


乗務員室との仕切りです。外観とは異なり、仕切り扉は中央に設置されています。運転席の背後は小さな窓が設けられていますが、これは5050形と同じ仕様。その隣の扉の窓と右側の窓は「2枚で一つ」に見えるような隅の処理をしており、なかなかユニークな格好になっています。
従来この部分は天井が低く、少し暗い雰囲気が閉鎖的な空間に見えたのですがこのN1000形では他の部分と同一の高さに天井が設けられ、いわば天井の段差が一切見られなくなっています。これは快挙と言っても過言ではないでしょう。

 
車端部も乗務員室との仕切りと同じように天井の段差が解消され、見た目はかなりスッキリしました。左の画像は先頭車にみられる両側とも優先席の区画、右の画像は片側だけ優先席の区画で、中間車の後述する車椅子スペース+優先席の組み合わせの反対側に設定されています。
真ん中に貫通扉、そして両側には妻窓が設けられています。地下鉄の中で一体感を生み出す窓の存在は大きいもの。この窓も丸みを帯びており、カクカクした外観とは趣を変え、従来型に歩み寄るようなデザインになっています。


車椅子スペースは中間車・先頭車問わず各車両に1ヶ所設けられています。中間車は画像のとおり車端部を利用し、先頭車は乗務員室のすぐ後ろに設けられています。ついつい佐々木希の中吊り広告に目がいってしまいますが、車椅子スペースの上には白い吊革がぶら下がっています。優先席の黄色い吊革のすぐ向かいは白い吊革…この区分、携帯電話の電源オフを求めざるを得ない方にとっては十分なのでしょうか?どうせなら車端部は全面的に黄色い吊革でも良いと思うのですが…。

 
車椅子スペースです。先頭車が左の画像、中間車が右の画像になります。側窓にもしっかり車椅子マークが貼ってありますので外観からの識別も容易に行えます。
どちらも消化器や非常通報機とセットになっており、「いざとなったら車椅子スペース」といった具合にまとめられています。仕切り棒は横に1本のみで、ヒーターや車椅子固定器具はありません。乗車時間が短いので「いらない」と割り切ったのでしょう。


天井です。フラットな天井が車端部から車端部まで続いています。中央にラインデリアを配し、外側には吊革と蛍光灯を配置した通勤形ならではのスタイルで、名鉄電車のように中吊り広告枠が端の方にポツンと設けられていることもありません。


床です。ちょっと茶色がかったベージュ色の床は特にフットラインなどはありません。
座席の色と合っている事もあり、見ていて実にキレイです。

 
ドア周りです。左の画像がLED表示器を鴨居部に設けたドア、右の画像は路線図が入ったドアです。これらが千鳥配置で設けられています。LED表示器が無いドアでも鴨居部の「黒い部分」に「このドアが開きます」「反対側のドアが開きます」などの表示が出るので、少なくても降りる位置や乗り換え場所についてはどのドアでも確認することができます。
ドアそのものは白い化粧板を貼っています。両脇にはしっかりした握り棒を設けていますが、乗務員室背後のドアはステンレスの押さえが短めで、ちょっとアンバランスな感じもします。

 
ちょっと下から覗き込んでみました。左の画像はLED表示器の入った鴨居部、右の画像は大きな路線図の入った鴨居部になります。どちらも大きさや形は大差なく、LED表示器もスマートに収まっています。
表示器は小さな表示枠を2行に分けて使っています。故に座っていると見難い文字サイズになってしまっており、特にJR東海の313系から乗り換えるとその違いが顕著に表れます。一行表示にして日本語→英語の順に流しても良かったのではないでしょうか。


側窓です。画像では全くよくわからないですが着色ガラスを使用しています。着色ガラス…と聞くと今まであったカーテンを廃止して、代わりに着色ガラスにするケースがやたら目立ちますが、このN1000形の場合は何もカーテンが無かった側窓に対し、新たに着色ガラスを用いています。つまり、ささやかながらサービスアップなのです。
尤も地上区間も限られているため、その恩恵を受ける方は一部なのですが…。

 
座席です。まずはドア〜ドア間の座席からです。基本は7人掛けですが、車椅子スペースの脇は4人掛けになります。いずれも片持ち式のバケットシートで、茶色いモケットは従来の車両から受け継いでいます。沈み込みがあまり無い座り心地ですが、座面が幾分斜めになっている点でいくらか救われているかなぁ…といった感じです。
座面下にヒーターがありますが、ドアコックの関係もあって端の席までヒーターが届いていないように思われます。従って真冬の当たり席は車椅子スペース脇の座席でしょうか…。片持ち座席が作り慣れていない…ことはないだけに、もう少し考慮して欲しかったです。

 
車端部の3人掛けです。優先席は右の画像で、青を主体にした柄を用いています。
こちらも片持ち式のバケットシートになります。座席幅は他の座席と同じで、一番端の席は妻窓が戸袋も兼ねていない、いわば左の画像のような形態の窓でしたら空間が少しだけ広くなる分少しだけくつろげそうです。
背もたれは気持ち短めでしょうか。縫いつけが上下二ヶ所に行われていますが、ここまで離れて設置されているものはあまり見かけない気がするのですが…それって私だけ?


袖仕切りは化粧板で。肘掛け部分と立客との分け隔てを目的にした部分といった具合に二つに分けて設けています。結構珍しい形態ではないでしょうか。上の化粧板は外側は広告枠になりそうですし、座っている人の目隠しみたいになりますし(^^;;;

大形の袖仕切りよりも空間は広く使える分、立客との分離は完全にはできません。甲乙つけ難いところです。

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