長野電鉄  3000系
 
  いきなり言い訳から入る回になってしまって恐縮ですが、東京メトロ日比谷線の車両がなかなか撮れませんでした。到着後すぐに折り返し線に引っ込んだり、入線もギリギリだったり…故に、第二の人生を歩んでいる03系を見ると懐かしいような、新鮮なような…ちょっと話しが合うような親戚に会うような気持ちになるのです。
ということで、長野の親戚に会いに行ってきた話です。
2020年から3両編成5本が投入され、早速長野から湯田中までの各駅停車を中心に活躍しています。東京メトロ時代に足回りはVVVFインバータ制御に換装されたこともあり、静かだけど力強い印象を受けます。そうそう、入線時はまだ営団3000系の譲渡車である3500系が運用に就いていた頃で、これはこれで久々の再会で話題になったようです。
そして、数十年後…13000系との再会はいかに…?!
(取材・撮影 長野電鉄長野線・長野〜湯田中)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートの車内は東京メトロ時代の様子が色濃く残っています。特に床のツートン柄は更新で灰色のものに置き換わった03系も数多くいて、懐かしさもひとしおです。車内の構成自体は3500系と同じなのに、車内の雰囲気が明るくなっている点はきっと日比谷線での襷リレーでも同じように…否、03系の登場時はモケットの地色が焦げ茶色だったので、これまた今とは感じるものは異なっていたことでしょう。
3両固定編成で、ワンマン運転を行っているものの運賃箱の設置はありません。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像に長野方、右の画像に湯田中方の仕切りを並べてみましたが、特段両者に大きな違いは見られません。半自動ドアのスイッチがドアの手前に見え、仕切り扉の先にはミラーが設置されている様子が伺えます。尤も後者は着色ガラスで良く見えるのかしら…と思ってしまうモノですが、いつかリバイバルをやる時にはぜひ「乗務員室扉の飴色のガラス」を再現していただきたいな、と思うオジサンが私です。
吊革が仕切りまでしっかり伸びている点は特に朝ラッシュ時の長野行きでは重宝しそうです。

 
車端部は中間車のものをターゲット。左の画像は長野方で、優先席の指定を受けていない一方、編成唯一の車椅子スペースを備えた区画になっています。また、車椅子スペースの奥の座席はバケットシートに換装されています。右の画像は湯田中方の車端部で、片側が二段窓になっているのが特徴です。日比谷線03系事情にあまり詳しくない取材班としては、初期車だけとは伺っているとはいえ、なぜ二段窓を投じたのかが謎ですし、巡り巡って長野電鉄にやってきたのが嬉しいものです。そそ、貫通扉が備わっている点も他の譲渡車両と比べると…ポイント高めの項目です。
なお、先頭車は左右両側とも4人掛けの優先席を設けています。妻面は左右とも固定窓です。


車椅子スペースです。どうやら東京メトロ時代に施工したそうですが、床や化粧板の模様が周りとは若干ちぐはぐで、いつもの東京メトロのように違和感なく仕上げて…というコトバを用いるのに少々躊躇してしまいそうな仕上がりです。正直なところ、他社に譲渡された車両の方が気持ちよく改造しているような気がするくらい…(^^;;
手すりは横方向に1本、そして非常通報機を備えています。


天井周りです。センターにラインフローファン、その両側に冷房の吹出し口…と東京メトロ時代から変わらないラインナップですが、蛍光灯はLEDに切り替えています。それでも元の灯具の位置をキープしているため、あまり違和感はありません。
優先席付近の吊革は黄色いものになりますが、これも東京メトロ時代と同じです。この手の色分けも譲渡前の事業者のものを踏襲するケースが多いですが、8500系で見られた「優先席なのに吊革の色が変わっていたり、いなかったり…」という状況はどうやらなさそうです。


床です。見事なツートンです。これを見て「懐かしい!」と思う方もおられることでしょう。北陸鉄道や熊本電鉄に譲渡された車両は床を灰色に貼り替えた後の状態で、ツートンの03系はここだけ…
と、いうことは……マメなメンテナンスに期待したいと思います(^^;


ドア周りです。化粧板に貼られた注意喚起の案内は東京メトロ時代のものをそのまま活用していますが、その脇に半自動ドアのスイッチがついています。先頭車は乗務員室後ろ、中間車は真ん中のドアに設置されており、半自動ドアの運用時は設置されていないドアを締切として、各車両1か所から出入りするという仕組みにしています。…これ、何気にナイスアイデアだと思います。
初期車故にドア窓には段差が生じているものの、縁がシンプルなのがいかにも80年代後半から90年代前半に増備された作品だなぁ…と、しばし見惚れてしまうものです。


少し見難いですが、LED表示機です。粒は丸くて小さい物を用いていますが、これは東京メトロ時代に換装済みとのことで、東京メトロ時代の粒が大きくて四角いLEDの文字を見ることはできません。8500系のサイバーな表示機の再登板にも期待していましたが、見慣れた箱に落ち着きました。
次駅案内、行先案内などの案内を中心に展開しています。


半自動ドアのボタンユニットです。JRはJRでも、西日本で見るようなデザインのものを採用しています。さすが長野、JR東海、西日本、東日本の3社の車両が集う県庁所在地なだけのことはあります。
なお、取材中半自動ドアを活用しているシーンには出会えませんでした。


側窓です。この大きな側窓から見る信州中野〜湯田中のノンビリした景色が実にお見事。ドア〜ドア間の1段下降窓は3連中両端の2枚のみ、東京メトロ時代同様真ん中の窓は固定されています。

 
座席です。ドア〜ドア間は9人掛け、車端部は4人掛けがスタンバイ。バケットタイプではなく、柔らかい座り心地が愉しめます。8500系とは一線を画す座り心地に驚いた方もおられるかもしれません。そして車端部の余裕のある作り…特に信州中野〜湯田中間で2両編成だった運用にも3両編成のままこの系列が投入されるケースが増えていますが、車両が増えたことによる余裕以上に、90年代前半でどこかに忘れされられていった空間の余裕が感じられるこの座席、もう一度振り返ってみるのも悪くないと思います。

で、2席だけバケットシートが用意されているというオチ…
ただこれ、東京メトロ時代からそのままなので8500系のモケットのような実験的な要素は一切ありません(^^;; 柔らかさよりも跳ねない、落ち着いた座り心地を…ということであればこの座席がおススメですが、若干横幅がタイトな印象は拭えません。
もう一つ、袖仕切りのモケットが巻かれている部分が座席の外側に向かって展開しているのは着座時の余裕を確保した、見事なデザインです。後年、02系のこの部分だけ部品販売が行われているのを見て驚いたものです(^^;;

 
優先席です。こちらは車端部の4人掛けだけのラインナップで、青を基本としたモケットで通常仕様のものと分けています。
通常仕様の座席同様スタンションポールで2人ずつ区分がされています。モケットの着席区分以上に定員着席に効果がありそうな設備ですが、無塗装なのは…あれ、昔からでしたっけ?
袖仕切りのあたりには「暖房使用時には座席下が熱くなるので注意を」との案内が記されています。


袖仕切りです。側面の化粧板とは異なる模様の化粧板を用いて、荷棚まで一体型のデザインのものを形崩さずに用いています。ドア周りの立客空間が狭いこともあり、ラッシュ時には寄りかかられそうな区画で…8500系との形状の違いがどう受け取られているかは気になるところです。

私の思いを好き勝手申し上げることができるのであれば、この形状、そしてこの車内はいつでも、いつまでも堪能したいものです。
 
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