水島臨海鉄道  キハ20形
 
  水島臨海鉄道のラッシュ時の助っ人として活躍していたのがキハ20形です。現在はキハ30形、37形、38形の置き換えもあり、1両が復活するかどうか…という大変ドキドキワナワナした状態です。今回は208と204の車内を中心に取り上げます。
水島臨海鉄道に来たのは1986年から1991年にかけてで、関東鉄道と同じように国鉄やJRからディーゼルカーを購入したケースの一つになりました。冷房化やトイレの撤去が行われましたが、ワンマン化は行われず、キビキビとした車掌さんの動きは今も鮮明に覚えています。そう、ここは吉備の国…(^^;;
個人的には安いNゲージのディーゼルカーがキハ20系列だったこともあり(^^; プロトタイプに近い車両に出会えた悦びもありました。そういえば、晩年の復刻塗装のような素敵なプレゼント…おかわりはありますか?
(取材・撮影 水島臨海鉄道・倉敷市〜水島)

 

 

 


車内全景です。2ドア、片開き扉の車内は固定クロスシートが主体で、戸袋窓の部分のみロングシートが展開しています。画像ではドアのすぐ隣に車椅子のマークが写っていますが、特段座席の撤去は無かったと思います。
ワンマン化されていないこともあって、雰囲気はかなり国鉄時代のものを彷彿させるものが整っていました。それでいて冷房まで備わっていて居住性は申し分ないのに…会えるのはラッシュ時だけ、日曜祝日は運休…というハードルの高さに何度泣いた事か…大袈裟ですね(^^;

 
少し遠目で恐縮ですが、乗務員室との仕切りは2種類ありました。元々乗務員室として使用されていた部分は助手席側にも仕切りや仕切り窓が入っています。一方、トイレを撤去した部分は仕切りは窓の下のみ、大変開放的な空間が生まれていました。
画像は2枚ともキハ204です。
水島臨海鉄道のキハ20形はトイレ撤去後側窓に戸袋窓と同じ形状、大きさの窓を入れており、独特ながらも決してキハ20形の外観を損なわない加工を施していました。車内での差は窓と仕切りと網棚の有無くらいで、座席は他の区画と同じ仕様でした。お見事。

 
トイレが無い側の仕切りもバリエーションがあったようで、先ほどの仕切りとは異なり窓ガラスが入っていません。むしろこちらの方が見慣れている感じさえします。画像はどちらもキハ208のもので、倉敷市方の仕切りにトイレ跡地がついていました。
元々運転台が半室になっていて、このような連結も想定したレイアウトだったこともあり、つないでもあまり違和感はありません。
貫通扉上の赤いプレートは「禁煙」の文字です。暗いとあまり良く見えませんが(^^; 灰皿はこの2両では1個も残っていませんでした。インパクトのあるプレートのようで、水島臨海鉄道から茨城交通に譲渡された車両も「禁煙」はそのままでした(^^;


吊革の支持方法がかなりセクシーな天井周りです。間隔も開けて、長さも短めの蛍光灯を中心とした構成で、配管や冷房などなかなかの賑わいっぷりです。この蛍光灯がちょっと暗い雰囲気を作っているかのようです。網棚は窓のすぐ上、取り出しやすいポジションに「網」でスタンバイ。あの分厚い冷房機を脇にぶら下げても網棚との空間がそこそこ確保できている点に網棚位置の低さが伺えます。
それにしても1988年から冷房改造を始めた…とのことですが、結構早い方だったのでは…と思います。

 
車内に設置された扇風機には懐かしい「JNR」のロゴがバッチリ決まっています。年々扇風機付きの車両が減っているような気がしますが、岡山地区では水島臨海鉄道も含めてそれなりの台数見ることができた地域で、暑がりの私にとっては助かる地区でした。


雨の日に撮ったのがよくわかる床です。遠くの方に点検蓋が見えるのが微かに伝わるかと思います。この点検蓋こそがディーゼルカーの醍醐味。灰色1色の床はキハ22形などで見られる木の床とは全く異なる表情です。ドア周り、ステップ部分の照明がまた良い雰囲気ですが…この画像では写っていません(^^;

 
塗りドアは灯り取り用の小窓が備わった懐かしいスタイル。上下の窓の間、プレスされてた形状も見事。ノスタルジーの薫りはドアから始まっているといっても過言ではありません。すぐそばまでクロスシートが迫っており、ドア周りは狭め、握り棒もあまり多くはありません。両開きドアのディーゼルカーでは鴨居部に横方向の握り棒がある形式もありますが、この形式ではそこまでは設けられていませんでした。それにしても…いいドアです。

 
握りやすいドアノブ、そしてクロスシートの背面に設置された車掌が操作するドアスイッチとブザーです。クロスシートの背面というありそうでなかなか無かった位置に備わっていました(^^; キハ20形の座席配置を活用した好例です。


窓周りです。窓下にはちょっとした物が置けるようになっており、さらにその下には灰皿がありました。注目は窓の上で、本物の網棚を廃車の時まで見ることができました。流石にC寝台は厳しそうですが(^^;; 帽子掛けがついた桟の太さもキハ20形独特です。

 
座席は車端部に4人1組、2人1組のクロスシートを左右6人分、ドア〜ドア間は2人掛けロングシートと4人1組のクロスシートが左右各5組。間には排気管も挟みます。灰色の重たい背面、そしてロングシートの袖仕切りが座席幅を越えて設置されている点が印象的です。時を越えて製造されたMRT300形も袖仕切りがどことなく似ていますが…インスパイアされたわけではなさそうです。


この角度で見ると背もたれ薄め、座面の高さが妙に気になるロングシートです。いかにも座面の下に何かが入っていますよ…と言いたげですが、何とも絶妙なプロポーション、倉敷市駅でも割と早い段階でこの席が埋まっていた記憶があります。ただ、2人で座ると狭いですし、柔らかい座面は奥行が浅く、壁にピタッとくっついた背もたれはちょっと物足りない感じもします。たまに乗ると記憶に鮮明に残りそうな、素敵な座席です。


クロスシートです。ディーゼルカーでよくある窓の足元に配管がある仕様で、窓側には肘掛けが無く、あまり背もたれの出っ張りが強調されないタイプのベストセラースタイルです。それでもなお狭く感じるのは裾絞りの無い車体だからかもしれません。このキハ20形は加えて半円状の取っ手が素晴らしく、フレームの塗装とともに年輪のような役割を果たしていました。正直、この座席に座ってキビキビ晴れの国を走る列車に揺られることができて良かったなぁ…と思います。

 
斜め撮りの2枚です。排気管を抱えたクロスシートはその分背負ったものが分厚くなっていました。クッションの厚みはそのままですが、背中越しに人がいないような気になる座席、私は結構好きでした。
そして乗務員室後ろのかぶりつき席です。ただ、かぶりつきとはいっても窓の位置はそこそこ高く、ハードルは高かったような気がします。ロングシート同様懐かしむアイテムとしてはモケットまでそろえて完璧の一言、座っていてもあまりくたびれた様子はみられませんでした。

 
さて、乗務員室の隣は貫通路を挟んで助手席が展開します。連結時にはこのように座席を前から拝むことができます。元々あった仕切りには据え付けの座席が待っていましたが、トイレ撤去の脇の座席はなぜか折り畳み式が採用されていました。そういえばトイレも助手席側にそこそこ出っ張っていましたが、そこまでの痕跡はありません。

クラウドファンディングで再びキハ20形が走るかもしれない水島臨海鉄道。再びこの車内に入れることを考えると、ちょっとワクワクしてきます。よそ者に刺激を受けることなく、普段着の姿で活躍する日が帰って来ることを願っています。

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