南阿蘇鉄道  トラ700形
 
  昭和60年に走り出した南阿蘇鉄道。そのスターがトロッコゆうすげ号で、今回取り上げるトラ700形はスタート時点から在籍するトロッコ車になります。…というもののだいぶキレイに使っているようで、平成19年に増備車が登場したのに合わせて、内外装を一新しています。
増備車にはない赤いシートを張った屋根が一番の特徴で、足回りを見ると2段リンク走り装置など二軸貨車の面影も。
鉄道趣味誌などで昔の写真を見ると小ぶりなディーゼル機関車にかなりオープンなトロッコ2両、そして後ろにレールバス、ところにより元キハ52形まで連結するという珍ドコ編成っぷりがたまりません(^^; 現在は3両の客車の前後に機関車が入り、高森〜中松をゆっくり往復します。
地震の影響で復旧工事が進む中松から立野までの区間は未乗のままですが…特に白川鉄橋からの景色を見てみたいものです。
(取材・撮影 南阿蘇鉄道高森線・高森〜中松)

 

 

 


車内は平成19年に改装したこともあり、キレイな車内に仕上がっています。昭和42年に製造された貨車が種車…とは思えないくらいで、心地良さが早くも伝わってきます。「ゆうすげ号」の編成は常に固定されているようで、2号車、3号車がこの車内になります。従ってトロッコ車にくっついたつり革を見たい方は1号車をどうぞ。
1ドア、9.5m程の長さの車内には中央に通路を設け、左右に固定クロスシートを設置しています。車窓は左右何か所かポイントがありますが、立つときには勢い余って真ん中の握り棒に頭をぶつけないでくださいネ(^^;;

 
車端部です。左の画像は3号車高森方は機関車との連結部分になります。ここはかつて妻面もガラスは入っていない状態で、窓の上も抜けていたのですが(^^;湘南顔を思い浮かべる妻面が作られました。
一方、右の画像は2号車の中松方車端部で、ここは貨車の頃の面影が造形に残っています。奥の扉はTORA20000形の扉で、いかにも客車の貫通扉…といった意匠です。基本的にどの駅も各号車のドアが開く上に座席指定になるので、走行中にここを通って号車と移るようなシチュエーションはありません。
 
従って、2号車と3号車の間の貫通路は立ち入り禁止、あぶないと記載されています。ただ、この妻面の貫通扉…というか仕切りに鉄道車両以外の方面での懐かしさを覚えるのは私だけだと思います。
そう、子どもの頃よく行った少し古くて狭いタイル張りトイレの入口がまさにそんな感じでした。西部劇の店に出てきそうな…とか言えば少しは格好良い物を、つい昔の思い出を漏らしてしまいました…トイレだけに(^^;;
右の画像は2号車の車端部で、配電盤でもあるのでしょうか?通路上にカバーが見えます。


シート張りの天井です。TORA20000形と比べると屋根の支えまでまるわかりのワイルドな姿に心がトキメキます。先ほどの握り棒は真ん中にドドンとありますが、この上には扇風機もスタンバイ。スピーカーは妻面にぶら下がっています。
TORA20000形には照明がありますが、こちらには照明がありません。やって欲しいですね、夜のトロッコ。


その扇風機ですが、網にはJNRの文字が。はてさて、一体どこから持ってきたのでしょうか。
また、不思議なことにスイッチが見当たりません。乗務員さんしか開けられない秘密の蓋の奥に潜んでいると思うのですが、JNRの文字、頼りなさげな3枚羽根を見ると無条件で「扇風機」と書かれたスイッチを探してしまうのは、私の症状が進んでいる証拠です(^^;


床です。ツルッとした床はメンテナンスのしやすさにも一役買ってそうです。TORA20000形とは異なる色になりますが、天井の色も含めてこちらの方が鮮やかに映ります。反面、夏は暑そうに見えます…(^^;;


ドアまわりです。トラ700形はステップが1段入ります。TORA20000形は車内はノンステップですが、ホームとの段差が大きく出てしまうことから、いずれにしても乗る際には1段よっこいせ!と上がることになります。平成19年に自動ドアに切り替わり、ドア扱いできるような機器もドア周りに備わっています。
ドアそのものは折り戸で、カクカクした窓がポイントです。TORA20000形とは似て異なる形状のドアで、いざという時の手動での開閉方法についても…こちらの方はマイクロバスのような手掛けがついています(^^;


トロッコということで窓はないものの、いざという時の雨除けのツマミが下の方でコンニチハ。座席番号のシールはテーブルとこの枠の上の方に記載されています。この枠と座席配置が合っていない区画は少なからずやありますが、正直これだけの解放感で、カーテンなどで揉めることもないのでそんなに気にならないかと思います。気になる方は1号車がお勧めです。
横方向の保護柵は2本備えています。

 
座席です。細部は少し異なりますが、TORA20000形と同等の座席を備えています。
故に、座面のビニールレザー張りの柔らかい素材は健在ですが、あくまでもペッタンコの座布団程度、座り心地を劇的に良くしてくれるアイテムにはなりません。トロッコですから、ワイルドな乗り心地を求めたいところです(^^;;
この座席でちょっと気になるのが座席人数の関係で、テーブルのドリンクホルダーを見ると4人分、ただ割り当てられた座席番号を見るとこの区画は6人分…一体どちらの人数で売られていたか、聞きそびれてしまいました(^^;;
真相は高森駅で乗る時に確認していただきたいところですが、少なくても私のような横幅太目の大人が3人並ぶとなかなかキツキツな展開になりそうです(^^;;;


ドア付近には片側だけの座席があります。キハ40形を彷彿とするものがありますが、テーブルはしっかり完備しています。背もたれは通路側が少し斜めに切り取られています。手すり…というよりも後ろの方とゴッツンコしないための仕切りと言った方が適切かもしれませんが、このあたりの配慮もさすがです。
そそ、TORA20000形の項目でも取り上げましたが、真夏の乗車の際には座る前に座面の状態を確認しましょう。

駅前のお店でテイクアウトのランチ、高森駅でビールを買って真昼間から長閑な風景を眺めながら往復…

コロナ禍ではなかなかできないですが、トロッコ列車は高森〜中松間であれば往復してもお子様があまり飽きない時間で戻って来れる上に、特撮のおもちゃをひたすら集める中松駅ひみつ基地「ゴン」、美味しいランチが食べられる場所にトンネルのヒンヤリ空間…アルコール抜きにしても、愉しい非日常の一日が過ごせると思います。
 
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