名古屋鉄道  MRM100形
 
  昭和の高度成長期、試作的要素やレジャー輸送を兼ねて短距離のモノレールが次々と作られました。関東だと向ヶ丘遊園のモノレールや大船ドリームランド、関西だと姫路のモノレールが有名ですが、名鉄も昭和37年に犬山遊園からモンキーパークを結ぶ路線としてモノレールを作り、平成20年まで運転していました。日立製のモノレールは後の東京モノレールへと発展していくわけですが、東京モノレールがスタイリッシュな車両を投入するのとは裏腹に、名鉄はこのMRM100形がずっと走ってきました。
2編成が投入され、晩年はどちらか1編成が運用に就いていました。道中勾配もあったり見晴らしが良かったりしましたが、大柄な体のベテラン選手にも関わらずゆっくりまったり進む姿が印象的でした。現在は1編成が動物園駅で静態保存中です。
(取材・撮影 名鉄モンキーパークモノレール線・犬山遊園他)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像は先頭車の車内、右の画像は中間車の車内を中心に撮影しました。片開き2ドア、クロスシートの車内は名鉄の鉄道線では見られないくらい広々としています。
ドア〜ドア間はクロスシートが片側4人1組、もう片側6人1組で2つずつ、車端部はタイヤボックスを優先的に配置した格好です。3両編成は全て一体に見えますが、座席がパラパラ埋まってくるとタイヤボックス周りを中心に「車両の切れ目」を感じることができました。そして、壁の仕切りが無い乗務員室周りは広々としていて遠くから見ていてもパノラマカーのような前面展望が期待できそうなワクワク感がありました。


車端部です。片側に通路を寄せてタイヤボックスが全体の4分の3の幅を占めるこの空間、座席のモケットがどんなに楽しくてもこの空間に飾り気がないのが面白いです。犬山遊園駅に猿のオブジェを置くことはできても、この空間の処理まで考えられなかったのかもしれません。
後年同じ日立製作所が作った東京モノレールでは荷物置場と座席を配置してうまく処理していました。この車両の研究の成果が見事に表れています。


タイヤボックスは乗務員室側にもありますが、車端部ほど大きくはありません。それにしても見晴らしの良い乗務員席に背を向けて座るというのはハズレ席そのものです(^^;; でも大丈夫、両脇の通路から座るロングシートも備わっていたので、ずっと横を向きながら前面展望を愉しむことは可能でした。


もうちょっと乗務員室周りに寄ってみました。曲面を多用したこの雰囲気、なんだかワクワクしてきませんか?中央に乗務員席があるのも冒険心くすぐられます。ぜひともこれでトロッコアドベンチャー的なものをやってみたいですね。
計器盤の右わきに小さな扇風機があるのはご愛嬌です。


天井です。蛍光灯の色合いがちょっと違う部分が出てしまいましたが…その蛍光灯はカバーつきで、天井の低さが影響しているのでしょう。その間にある丸いフタ、ここには通気口かラインデリアがあったのかもしれません。この車両は名鉄最後の非冷房車でもありました。乗車時間が短いとはいえ、夏はかなりの暑さの中で運転していたことが容易に想像できます。


床は灰色一色。モケットとは異なりこちらの更新はなかなか難しかったようですね…。


片開き扉でした。その扉も内側はオレンジに塗られていてなかなかオシャレな意匠です。なぜこの色を選んだかはわかりませんが、鴨居部をはじめとしたドア周りの構成が周りと馴染みすぎている点からも色を塗ったのは正解だと思います。あ、ドアステッカーは他の名鉄車両と同じようにシャチとオラウータンでしたが、オラウータンを遠目から見ると猿に見えなくもないことを報告申し上げます。モンキーパークですからね☆


特徴的な窓はドア〜ドア間は開閉可能でした。丸みのある窓ですが、他の名鉄車両ほど丸みが無いのが特徴という、なんともわかりにくい仕様です(^^;;

 
座席です。ドア〜ドア間は片側が3人掛け、もう片側が2人掛けのクロスシートで、横幅を確保できることをウリにした座席配置です。背面は化粧板に握り棒をつけて、車齢の割にはキレイな作りに仕上がっています。

 
乗車時間がわずかだったこともあり、大変切り立った作りのクロスシート、まずは3人掛けからです。右の画像は中央に配置される6人1組のものです。モケットが変更されており、一人一人の区分もついていることはついていますが、手すりの意匠と右の画像のものが特に鼻に見えて仕方が無い化粧板の飾り?が昭和ムード漂わせます。
 
2人掛けも座席下ヒーターの形状が少し異なっていますが、それ以外は3人掛けとの違いはあまりありません。画像の斜め具合が激しくてすみません(^^;
座面の奥行きからも短距離乗車向けであることが明白ですし、製造当時の技術ではこのような作りになってしまうのかもしれませんが、シートヒーターの蹴込みがもう少し引っ込むと子供が足をドタバタやった時に当たりにくくて良かったかな、なんて思いました。尤も座った時に足をドタバタさせるのは私くらいですが(^^;;;


タイヤボックスを駆使して作った座席はクロスシートの作り方とはちょっと違います。手すりや壁側にもわざわざ設けた肘掛がポイント高いですが、ここに座ると乗り降りに多少邪魔になってしまうという盲点もあります(^^;; 時代が時代なら補助椅子として折り畳みの座席が用意されていたかもしれません。


乗務員室背後のタイヤボックスの座席は3方向に展開されています。窓側を通路にして窓に向く格好で2方向にロングシート、そしてクロスシートは両側に通路があるので先ほどの座席よりも乗り降りの邪魔にはなりにくくなっています。
一段奥に段差がありますが、段差は特に考慮されない座面の高さでロングシートが設置されているので座り心地は…子供にはちょうど良かったかもしれません。


中吊り広告が無い中でこの表記は結構目立ってました。タイヤボックスの奥に設置されていましたが、戸袋部分にもあたるので多くの方が目にしたことでしょう。
非冷房はもとよりベビーカーでは駅も含めて利用しにくい、ダイヤが鉄道とかみ合っていないなど、晩年はモケット以外はパッとしない印象でしたが、それでも解体を免れて保存されている車両が多いことを考えると、黎明期のモノレールを今に伝える役割は今でも担い続けているのではないでしょうか。
 
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