名鉄  岐阜市内線モ570形
 
  信号が青になるのと同時に、低く、重い音がカラダの中にも響き渡ります・・・早田電停到着前のヒトコマです。早起きは三文の得!とは人一倍聞かされながら生きてきた人間ですが、あぁなるほどこういうことを指すんですね(^^;; このモ570形は昭和25年に登場しました。路面電車独特の丸みで「あ!」と思われたかもしれませんが、都電6000系に外観が似ているとか、似ていないとか…。この頃はこの顔が全国標準スタイルだったのでしょうか。この車輌は結果5両が生まれ、それ以降名鉄600V区間で活躍してきました。しかしながら、うち2両が廃車になり、さらに…名残惜しいですが、これが時の流れというものでしょうか。
(取材・撮影 名鉄岐阜市内線/早田〜忠節)

 

 

 


車内全景です。忠節にて、入庫前に許可を得ての撮影です。扉が前後に寄っているタイプで、その間はひたすらロングシートが続きます。美濃町線の古豪モ590形とは中央扉の有無で判別できます。
側面と座席下のヒーターなどにはクリーム色でまとめられているのですが、座席の赤紫との色合いはちょっと合わないかなぁ〜といった印象。あ、例えるならば川越で友人が食べていたサツマイモアイスクリームのような感じでしょうか(^^;;

照明に照らされていない時の、木の静まり返ったような雰囲気。また一つ、味わえなくなってしまいます・・・。


今度は一転営業中のスタイルを。画像左が車端部になります。
路面電車なので仕切りは必要最低限。中央の仕切りの奥に乗務員用の腰掛があるのですが、運転台のマスコンハンドルはその仕切りの左にちょこんと見えていますね。しかしながら前面は3枚窓なのにこの角度から眺めると1枚窓に見えますね。
照明のおかげで朝でも暖かみのあるムードに浸れます・・・。
そして右の画像がマスコンと運賃箱。運賃箱は単純に「入れるだけ」の質素なもの。入り口はお賽銭箱のような作りになっていて、上から手を突き出して賽銭泥棒ならぬ運賃泥棒ができないようになっています。おかげで見栄えもいいですね。
両替機?カードリーダー?そのような「今風」の物は備わっていません。それをノスタルジーな雰囲気と評するか、時代遅れと評するかはお任せします。


床です。木です。普通の鉄道もですが、路面電車でも木の床にめぐり合えるところは本当に少なくなってきました。歩いてみると乾いた音が車内に響き、今のツルッとした床よりもカサカサで滑りにくそうかなぁといった印象です。やはり、プリント柄の木目とは全然違って風格を感じます。いい仕事してますね〜。ぱくってみました(^^;
そしてドア付近の滑り止めは画像右の金具になります。そんなに磨り減っていないのが悲しいところですが、それでもその錆は木に負けず劣らず時代を運んできた証として、ふさわしいものです。


天井です。いやぁ〜電球色のまぁるい灯り。かつてはアフターファイブもバリバリ活躍していたそうですが、その頃はさぞかしクラシックが似合うような、ムード溢れる車内だったのかなぁと、忠節で降りた後想像してみたのですが、いかんせんそんな想像に対して「♪みん〜なみん〜な東芝〜東芝〜の〜マーク!」こと東芝日曜劇場のテーマソングが脳内で流れたのはなぜでしょうか(^^; 画像右は通風孔と思しき丸い蓋になります。色としては電球の取り付け口と同じ灰色で、車内ではちょっぴり目立つ存在になっています。


側窓です。クリーム色の窓枠をベースにした2段窓になり、カーテンも設置されています。窓の外へ手をださないように!ということで、外には保護棒が取り付けられています。ちなみに側窓の数が10個だと1次車、9個だと2次車という区別があるようですが、取材した車輌は側窓が10個のタイプでした。


そして先ほどの画像でも窓枠にちょこっと小さな突起物が見えたのですが、それがこちらの押しボタン。美濃町線のモ590形と同じ黄緑のプラスチック製で、下についているボタンを押すような仕掛けです。今時のバスとは一寸違いますね。


いつもとは順番が微妙に異なりますが、ここで扉登場。クリーム色で内装にあわせた扉ですが、思えばこの機構が一番都電6000系に近いかもしれません。路面電車特有の「片開き扉2枚仕掛け」ということで、開く時は内側、外側の扉がそれぞれ連動しながら戸袋に収まるようです。こういうのに興味の眼差しを注ぐのは多分私だけです。笑。


最後に座席の様子をどうぞ。光線状態が酷いものですみません。なが〜いロングシートは大体12人掛けかと思われますが、12人全員がぴっちり座ると窮屈な事間違いなしです。袖仕切りは木の板を使用。さりげない角のRと足の部分のデザインがポイントです。
優先席は画像右のように、背もたれのモケットを青くすることによって分けています。これは600Vに限らず、他の名鉄通勤車と同じ手法です。座り心地・・・は確かめられるほどの乗車時間ではなかったのですが、路面電車としてはまずまず、といった所でしょうか。ちょっと奥行きの浅さが気になりましたが、これは車体の制約上仕方が無いところです。

それにしても・・・廃止になるのが決定しているにも関わらずこんな事を言ってしまうのは酷かもしれませんが、朝だけ走って後は寝るというのは勿体無いです。正直。モ510の美しさに惹かれ、貸しきるファンも多いようですが、個人的にはこの車輌の重連で昼間堂々走る姿も見てみたいですし、お金があったらそのような形式で貸しきりたい・・・なぁ・・・。嗚呼スカーレッドに魅せられて。



[おまけ]

取材前の早田電停にて。左の「田」が駅名票。右の白い枠がプラットホーム。これが岐阜市内線クオリティ。早く着きすぎて列車を白枠の中でしばし待っていたら、前からトラックが私すれすれに通過・・・・・・はやまるのはあまりよくないようです。

本文の中でも度々触れましたが、モ570形は岐阜市内線で朝のみの運用です。
基本的には忠節を出庫して新岐阜駅前〜忠節を数回行ったり来たりした後、忠節に入庫します。
さすがに車種までは出ませんが、ダイヤは名鉄ホームページで確認できます。ご活用下さい。
2004年12月に現地確認した段階では、土休日の忠節〜新岐阜駅前運用は少なくても3つあるようですが、その全てにモ570形が就くとは限りませんのでご注意下さい。運次第ですね。。私も例によって運の無い人間でした(^^;

美濃町のモ590形はさりげなく徹明町〜日野橋運用などに終日入ることが多いようです。
廃止前の一番人出の多くなる時期です。取材される方はくれぐれも周りに迷惑かけないでくださいm(_ _)m。

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