アルピコ交通 3000形
 
  松本電鉄といえば大胆なロゴが目を引く高速バスがとにかく目立つところですが、本業はやはり「電鉄」だけあって電車です。上高地への足として5000系に代わって導入されたのが3000形です。
元々京王電鉄井の頭線で活躍していた3000形、信州では真っ白な車体になり、正面や側面に高速バスの如くロゴやストライプが貼られており、東京の頃にはあまり見せなかった格好良さを作り上げています。

編成は2両で、全部で4編成が導入されています。ほぼ全列車でワンマン運転が行われており、導入時にはこの改造に加えて一部側ドアの半自動ドア化も行われています。
現在もHighland railと名乗り、松本〜新島々間を結んでいます。
(取材・撮影 アルピコ交通上高地線・松本〜新島々)

 

 

 


車内全景からです。京王の頃の華やかなイメージを一新、外観とは裏腹に落ち着いた車内に仕上がっていました。3ドアロングシート、18m車の2両編成です。
ワンマン化も施されており、中間の無人駅は3ドア中中扉から整理券を受け取って乗車し、一番前の運賃箱に整理券と運賃を入れて前のドアから降りる仕組みになっています。ならば2ドアでも…と思ってしまいますが、松本・新島々駅では全てのホーム側ドアが開き、降車時間の短縮に効果を発揮しています。


車端部はワンマン運転ということもあって仕切りが一切無い、広々とした車端部が印象的です。この広々とした車端部も種車そのまま。妻窓、戸袋窓もある姿は所々広々とした信州の景色が展開する松本電鉄には良い選択だったのではないでしょうか。最近は地方私鉄も車端部に優先席を設ける例が増えていますが、松本電鉄は違う場所に設けています。


乗務員室背後の様子です。まず降車ドアの近くの座席を両側、両方向とも優先席に指定しており、吊革の色を変更しています。松本駅の配置などを考えれば誰もが納得の優先席位置です。ドアの奥には運賃箱があり、その脇には車椅子スペースも設けられています。車椅子スペースの反対側はちょっとした荷棚があり、登山客の荷物をしっかり置けそうですが…残念ながらこの区画は立ち入り禁止です。種車の関係で無人駅での降車時は運賃箱のあたりまで運転士がやってきますが、動線はキハ47形よりも短くなっています。


車椅子スペースです。握り棒も完備されており、座席で使われていたヒーターもそのまま再利用しています。冬でも頼もしい車椅子スペースですが、横幅が感覚として狭そうで(^^; 普段の車椅子スペースで感じられる広々とした雰囲気はありません。恐らくスペース内で回転はできないと思うので、出入りどちらかはバックになります(^^;;;


一方立ち入り禁止区域には運賃表や消化器などが備わっています。いざというときに取れそうで取りにくそうな消化器の存在がなんとも…(^^;; 運賃表にはLED表示器も備わっており、次駅表示をやってくれます。どう見てもバスっぽい仕様に松本電鉄の主力事業を思い起こさせます。
戸袋窓は埋められているわけではなく、シールが貼られているようです。その気になれば復元も可能かと思われます。


天井周りです。ちょっと古風なゴツゴツした天井ですが、これはしっかり冷房を完備している証拠。ファンデリアも装備し、ダクトの高さと同じ物に揃えられています。
優先席以外の吊革には地元の百貨店の広告が入っており、井の頭線の感覚を懐かしみにやって来た人でも地方私鉄の感覚がささやかな部分ではありますが楽しめます。


床です。ベージュの床は京王時代からのモノで、モケットにもしっかりマッチしています。
サイクルトレインということで自転車をそのまま載せる事ができるようですが、上毛電鉄のようなタイヤ痕は目立っていませんでした。あまり自転車同伴の人はいないのでしょうか。

 
ドア周りは京王時代には無かった短い吊革を新たに設け、入口出口などの表記も加え、より使い勝手の良いドアに進化しています。無論、ドアそのものは京王時代のままで、細長い鴨居部もそのままです。
右の画像は半自動ボタンになります。上高地方先頭車を中心に一部のドアに設けられており、冬の時期は真価を発揮します。が、設置基準が何なのでしょうか、掛け違いをおこしてもアレなので素人は口出ししないことにします(^^;;; ボタンそのものはベストセラー品を取り付けています。


夜の車内から窓周りです。二段窓を維持しており、網棚なども手が加えられていません。荷物たっぷりのハイカーが網棚をにぎわせる事が多い上高地線、ホンネはもう少し網棚の奥行きを深く、位置も下がるとラクなのかなぁ…と思うところですが、そうなると側窓との干渉も生じてしまうだけに…難しいところです。

 
座席です。ドア〜ドア間の座席を二つ載せてみました。画像でこうやってみると違いがわかりますが、乗っているとわからない違いとして、モケットの色合いが微妙に異なります。「織り方の差」だけかもしれませんが…。茶色をベースにした座席と焦げ茶色をベースにした座席の2パターンがあります。
座席下のヒーターや袖仕切りは京王時代と全く変わっていません。
優先席表記もシールによる対応となっており、特にモケットなどは変えていません。

 
車端部のロングシートです。こちらもモケットの色違いで2つあります。この色違いが左右交互に並んでいます。
座り心地も京王時代と同じで、座面の柔らかさが印象的です。あまり飛ばさないということもあり、非常に落ち着いた座り心地になっています。
車端部はギリギリまでロングシートが展開しています。




初夏に取材しましたので、車内には朝顔の姿もチラホラ、風鈴の音色も交じり、実に気持ちの良い車内でした。

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