アルピコ交通  20100形
 
  アルピコ交通と聞くとちょっと可愛いイメージを抱いてしまいそうですが、上高地線というと「あぁ、あそこか松本電鉄か!」と合点がいくと思います。2022年から走り始めた2両編成の車両は元々東武鉄道で走っていた20000系を改造、側面の帯も濃いめの青色に改めています。2023年の取材時点では2編成が運用開始していましたが、最終的には4編成が揃い、アルピコ交通はこの編成で統一されるとのこと。以前の3000形よりも足取りが軽やかな印象がありますが、側面に書かれたALPICOのロゴは3000形の斜めストライプに負けず劣らずインパクトがあります。
新島々駅で初めて対面した時は緊張のあまり気が付かなかったのですが、新島々方は種車が20000型、松本方は種車が20050型で、見た目こそほとんど変わりませんが、実際は……
(取材・撮影 アルピコ交通上高地線・松本〜新島々)

 

 

 

 
車内全景です。このコンテンツ、基本的に左の画像は新島々方、右の画像は松本方の車両の画像を載せていきます。従って左の画像が元20000型、右の画像が元20050型、つまり製造年次が新しい車両になります。両者とも中間車からの改造で、運転台を設置したり、床下機器を取り替えるなど、おおがかりな工事を施工しています。
東京で走っていた電車…と聞くとがっかりする方もおられるかもしれませんが、いやいや車内は新車を見ているような気がして、特に化粧板や床、座席モケットを一新した効果は相当あると思います。ピカピカの気持ち良い空間…そうそう、プラズマクラスターも貢献しています(^^;
悩ましいのは…2両で少しずつ仕様が異なる部分がある、というところです(^^;;

 
車端部です。どちらも片側が車椅子スペース、もう片側が優先席となりました。貫通路の上には液晶ディスプレイがありますが、車内を見渡すと車端部から乗務員室の仕切りまで6面の液晶ディスプレイがスタンバイしています。貫通路に扉が無いのは3000型譲りで、無人駅での降車など車両間の行き来を考慮してのことでしょう。
化粧板や床を張り替えていることもあり、今回整備したであろう車椅子スペースも全く違和感がありません。むしろ気になるのは優先席と同じモケットのクッション…(^^;;

 
見慣れないピクトグラムが並ぶ車椅子スペースです。他の車両ではあまり見かけない位置に非常通報装置のボタンが設置されています。確かに半自動ドアのボタンとは区別できる位置にありますし、ベビーカーのお子様からは届かない位置だと思いますが、車椅子に座っている方が押せる位置かどうかは少し気になります。
もう一つ気になったのはクッションと手すりの関係。クッションがあるのは嬉しいですし、座れなくても短距離の移動であれば…と割り切れますが、「サイクルトレイン」で自転車を持って乗る時に、例えば壁にもたれかけさせたり…とか、手すりと自転車を紐で結んで…というシチュエーションは、自転車によってはクッションにあたってしまい、クッションの汚れが気になってしまいそうで…。
故に、アルピコ交通でも乗車時は「しっかり自転車を手で支えて持って」と案内しているようですが…これ、徹底させた方が良いかと思います。

 
乗務員室との仕切りは今回増設されたものになります。ワンマン運転を考慮したような仕切りで、仕切り扉の開く向き、運賃箱の置き方、そこから仕切りに向かって伸びるチェーンなど、空間に無駄がありません。ただ、この空間には吊革や上部の手すりが一切なく、特に朝ラッシュの松本行きに乗るとつかまるところが少ない点が気になってしまいます。
もう一つ気になるのは天井の冷房吹出し口を片側だけ塞いでいるところで、何か配線上塞がなければいけない行程があったのでしょうか。客室内に大きく影響が出るとは考えにくい部分ですが…。

 
天井周りです。この部分は種車の雰囲気をだいぶ色濃く残しているように感じます。両者で共通している部分は吹出し口の色や吊革の形状くらいで、あとはラインフローファンの吹出し口から荷棚の仕様に至るまで違いが出ています。
吊革は線路と垂直方向にあたる部分は撤去されていますが、他に中扉の吊革も支持棒を残して撤去されています。あぁ、液晶ディスプレイが見やすかった理由はコレですね…(^^;
室内灯ははLEDを用いています。

 
貼り替えた床です。ドア前には滑り止めのシートを貼って注意喚起を促しています。この色合い、座席モケットの色まで含めて何か既視感があるんですよね…(^^;;; あちらも週末は登山客をいっぱい乗せているような…(^^;;; ただ、こちらの方が艶があります。

 
ドア周りです。誰ですかサイゼリヤの間違い探しを見ているようだ…とお嘆きになった方は(^^;;
化粧板を貼ったドアは種車のものをそのまま用いています。ドアの周りも全く同じで、車両間で手すりの長さや鴨居部の出っ張りに違いがみられます。心なしか、ドア窓自体も左右で大きさが異なるように見えるのは気のせいでしょうか…(^^;;
3000形では全てのドアに施工されなかった半自動ドア、この20100形ではすべてのドアに施工されています。一方、中扉に整理券発行機を設けている点は3000形と同じです。

 
種車のものを活かした鴨居部です。ドアの開閉時に光ることはなく、案内なども紙で…というベーシックな仕様ですが、乗務員室に近いドアでは運賃収受の様子がわかるミラーがついています(^^;; ここのポジションに鏡があること自体珍しいですし、広告枠を犠牲にしている点は複雑な気持ちも少しありますが、3000形のような空間の余裕が無い中で、運賃収受をしっかり確認できる仕様はナイスです。むしろ、鏡の枠をわかりやすい色で縁取っても良いくらいですネ。


半自動ドアのボタンです。左から車内の非点灯時、車内の点灯時、車外の点灯時です。
松本電鉄3000形の半自動ドアのボタン、特に車外側は手作りのご案内をボタンの周りに貼っていて、見た目ついつい気になってしまいましたが…このボタンならそんな心配も無さそうです。


側窓です。1段下降窓、ロールカーテンがついています。もう1両の方は…撮り逃しました(^^;;

 
ドア〜ドア間の座席です。10人掛けで座面のみバケット形状を採用しています。3人、4人、3人と隔てるスタンションポールがあったり、窓際の案内表示も10人掛けであることを示したりしていますが、バケット形状がそこそこはっきりしているので着席区分どおり座ってくれるでしょう。画像では…迷彩服のように全く凸凹している様子がわかりませんが(^^;;
背もたれは柔らかめのセッティングで、東武鉄道ではステンレス車を中心に採用例が多い組み合わせです。なんでしょう…硬めの座面に対して背もたれが落ち着かないと言いますか、これ、座面に合わせて背もたれの形を作ったら、この形状にはならないだろうなぁ…と思ってしまいそうな作りです。少し腰が当たる部分を硬めかつ厚めに支えて欲しいものです。

 
優先席は3人掛けです。配電盤や消火器スペースがあり、ドア脇や妻面に余裕があるつくりです。その消火器スペースの蓋の位置や縁が異なることもあり、両者の座席が異なるように見えますが…確かに袖仕切りが異なります(^^;; モケットは通常仕様のモケットとは模様を大きく変えていて、3000形では見られなかった区別になります。

で、帰ってから画像を見ながら振り返ると…松本方車両の優先席の座席の作りが2編成で異なっていることに気が付き、慌てふためいているわけです(^^;; こちらの方が背もたれが若干前にせり出しており、僅かながら座面が前に出ています。背もたれのパーツ構成もこちらは下部と2パーツに分かれているように見え、一体型の仕様とは異なるシルエットになっています。
…な、なんじゃこりゃ?!

 
この角度からではあまり差がわからない袖仕切りです。2本横方向にとっている肘掛けになり得る位置のパイプのうち、上のパイプの壁面との接続位置が若干異なります。パイプ形状のまま再デビューを果たしたのは意外でしたが、確かに個々のパーツに合わせて板を設置すると大変そうですね…(^^;; ただ、ラッシュ時の松本行きでは袖仕切りに寄りかかるお客さんもみられたので、何か策が講じられると良さそうですが…。

 
見た目以上に柔らかい素材のクッションです。寄りかかると結構沈み込みます。あまり形状の恩恵は感じさせないつくりだと思います。優先席と同じ柄のモケットを用いていますが、赤い線が入らないだけで印象はだいぶかわります。


 
最後に気になるところを幾つか取り上げます。
妻面の液晶ディスプレイです。横長のディスプレイは基本は右側で路線図、次駅案内などの表示、左側で広告などを流しています。ちょうど高速バスの松本行きが映っています(^^;;
進行方向一番前のディスプレイは運賃表示もありますが、これは横長の画面を活かしたものになっています。


乗務員室への扉には気になる案内が…立入ると鉄道営業法第33条によって罰せられるそうですが、あれ、3000形にはこんな標記はありましたっけ…?
東武鉄道へのリスペクトというか、弄りというか…でも、真実です。ダメ、ゼッタイ。

 
貫通路の中のこの標記もフォントやカドの金具の形状が異なります。こちらは東武鉄道の頃から変わらないものですが…いやはや、ここまで違いがあると…私のような浅く広く趣味を展開する人にとっては、気がついてはいけないであろう差…。


結局、プラズマクラスターの恩恵に授かりたいようなコンテンツに仕上がってしまいました。
そう、付け所が分からないほど目が回っているのです(^^;;;
 
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