京都市交通局  20系
 
  2021年にデビューした京都市交通局烏丸線向けの新型車両です。2024年1月中旬の時点で4編成が投入されており、最終的に9編成まで増備される予定です。
デビューのタイミングは京都市の財政悪化が報じられていた頃だったと記憶しています…。それでも新型車両に更新する理由があるんです!…とばかりに公式サイトでの紹介がかなり充実しており、車内のアクセントになる京都の伝統産業も1編成ずつ紹介されていたり、運用も期間限定を延長する格好で掲載し続けていたりと…頭の下がる思いです。車内、車外のポイントも細かく紹介されているが故に、下手なコンテンツは公式サイトに吹き飛ばされる…あ、うちもか(^^;;
今回は第1編成の車内の模様を中心に取材しましたが、詳しくは公式サイト「地下鉄烏丸線新型車両☆特設情報館」をご覧ください。
(取材・撮影 京都市営地下鉄烏丸線・竹田〜国際会館)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像は中間車、右の画像は先頭車の様子です。10系の雰囲気をそのまま新車にも残しているような色合いですが、さすが新型車両、キリッとした雰囲気はLED照明と色のバランスが成せる業だと思います。
4ドアロングシートの車内ですが、各車両の車端部には車椅子やベビーカーなどのお客様用のフリースペースを、先頭車の乗務員室後ろには「おもいやりエリア」を設置しています。おもいやりエリアには京都の伝統技術を紹介する展示もありますが、果たしてこの車両が引退する頃、どのようなレトロ感を醸し出しているのでしょうか… 早くも愉しみです。

 
その「おもいやりエリア」からの乗務員室との仕切りです。おもいやりということで、中央には北口選手を思い浮かべるであろう重い槍…はありません、伝統産業の紹介スペースと立掛けシートを設置しました。両端には手すりを設けていますが、ここの区画には表面にひし形の凹凸を施したクッションを巻いて、握った時の触り心地を若干柔らかくしています。ヒーターもあるので難しいところですが、せっかくのおもいやりエリア、お子様目線で愉しめる仕掛けがあっても良いのでは…と思います。
仕切りは10系で見たことがあるような構成、それでも仕切り扉の窓が拡大されているのは近鉄京都線での前面展望に期待したいところ。殺風景な広告枠に彩が灯る日は来るのでしょうか。


車端部です。意外なことに、片側は優先座席、もう片側がフリースペースのデュオの1種類だけです。床にわかりやすくピクトグラムと優先座席の案内が記されていますが、新型車両だからこそというべきでしょうか、シンプルにまとまっている点は好感が持てます。一方、吊革の長さが優先座席とフリースペースで同じで…フリースペースの立客への配慮が欲しかったところでもあります。
大きな貫通扉の両側には妻窓が設けられています。縦長とはいえ四隅に丸みがついた妻窓、良いアクセントになっています。


車椅子スペースです。ヒーター、非常通報機とともに上下2段の手すりが備わっています。「おもいやりエリア」と同じクッションを用いて握りやすくなっている他、ドア脇の縦の手すりと接続している点はなかなか珍しいのでは、と思います。ドア付近で縦にも横にも握れる選択肢があるのは特に身長の低いお子さんにとっては優しいのでは、と思います。そこの部分までクッションが無いのがやや残念ですが…(^^;;
もう一つ、窓に優先座席のステッカーが貼られている点も珍しいのでは、と思います。この座席を必要としている方〜と記載がありますが、ここのスペースに座席はありません(^^;; 反対側の優先座席を紹介する、丁寧な作り分けは今からでもできるはずです。


天井周りです。センターにラインフローファン、その両脇にLED照明が備わっています。地下鉄に乗り入れる近鉄車や10系を見るとカバーつきの蛍光灯が多勢を占める照明だけに、防犯カメラ共々武骨な印象を受けてしまう部分ですが…見た目よりも実用的な構成を採用したのでしょう。吊革が線路と垂直方向にも設置されていますが、10系では設置されていなかったのは意外です。何を隠そう、公式サイトで新設されたことを教わりましたもので…(^^;;


床です。車端部は灰色をベースに、「おもいやりエリア」は赤色をベースに、ドア周りは黄色、それ以外の区画は暗めの灰色をベースに構成しています。10系とは異なる配色、かつ全体を引き締める色のチョイスが新型車両らしさを増しますが、ここに京都らしさを加えるとどうなったんだろうなぁ…という妄想も、また愉しいものです。

 
ドア周りと鴨居部の液晶ディスプレイです。化粧板が貼られた両開きのドアは10系よりも少し乗り降りしやすくなった印象です。また、ドア窓の押さえがあまり凹凸がありません。10系同様に点字でのドア位置の案内やステッカー広告も備わっています。
液晶ディスプレイは2画面連なったものです。右の画面では列車に関する案内、左の画面では最寄りの施設などの案内を出しますが…始発駅では2画面を使った路線案内を中心に表示されているだけに、どうしても取材しているとその画像が多くなってしまいます(^^;; 画像は「ご乗車ありがとうございます」です。
全てのドアの上に備わっています。

 
側窓です。右の画像は「おもいやりエリア」のものですが、窓自体は他の区画と大差なく、ロールカーテンもすべての側窓に備わっています。若干緑がかった窓は熱線吸収型のものですが、特に地上区間ではカーテンとの相乗効果が期待できます。

 
座席は2種類です。ドア〜ドア間は6人掛け、車端部はすべて優先座席で4人掛けです。肘掛けやスタンションポールの配置により、特に優先座席では全ての座席で何らかのものにつかまれる…という利点があります。
座面、背もたれともに肘掛けが備わった端の1人掛けと、中央の4人掛け、ないし2人掛けが分かれて設置されています。特段バケット形状の採用はされていませんが、特に端の1人掛けの座面が体の重みで下がってしまう場面が多くみられ、僅かな差ですが凸凹が見られます。着座時に自分の横幅が周りに映ることに抵抗を覚える方にとっては、厳しいつくりです。
背もたれの厚みを抑えて通路幅を広げたことが20系のウリだそうです。座面は多少は沈み込みますが、背もたれとのアンバランスな関係が着座位置を前にしてしまい、さらに1人掛けの座面を下げてしまうというサイクルの結果…30年くらい経ったら肘掛けがなくなっているのではないか…と、2024年の自分が未来の自分に申しております(^^;;


袖仕切りです。ガラスを中心に京都らしい模様を設えています。座席や貫通扉にも用いているひし形、「幸菱」というそうです。仕切りに徹している様子が伺えますが、ドアと座席の間にスーツケースを置きたいという観光客に対して、ガラスがどこまで美しさを耐えられることができるか…と、余計なことまで気になってしまいます。


「おもいやりスペース」の立掛けシートです。3人ずつ立掛けできるようになっていますが、大人が足を広げて踏ん張ってしまうと2人掛けが限界です。さらに、立掛けすることにより展示を遮ってしまうことになります…。せっかく紹介しているのにホンモノは見られないし、寄りかかったらガラスが汚れる恐れもあるし…中途半端さが拭えません。一応、展示内容は両側の壁でフォローしているとはいえ…
加えて、赤いモケットは優先座席と一緒…モケットの色が意味するものとは、一体何でしょうか。

なお、このスペースには様々な伝統産業、伝統工芸品の展示や紹介があるようですが…
ワタクシとしては、仁丹のホーロー看板がいつ紹介されるかが気になって気になって…(^^;;


「おもいやりスペース」で飾られている伝統産業品、伝統工芸品とは別に、車内には伝統産業品が設置されており、その案内が貼られています。二次元バーコードを読み込むとより詳しい情報を得られるそうですが、伝統産業との触れ合い、通勤電車としてはなかなか面白い取り組みです。

 
先頭車は乗務員室との仕切り付近にチラリ。あれ、北山丸太については特に記載はなかったようですが…?!
いずれも手の届かない位置に設置されているのがポイントですが、2024年現在、車号銘板と事業者銘板は額装したものを「京都市交通局協力会」ホームページから購入することができます(!!)

 
中間車は車端部の釘かくし、そして吊革の京組ひもになります。吊革は紐や木の触り心地も愉しめるのが良いですね。区画によって本数や紐のバリエーションがあるようですが、こちらも購入することができます(!!)
…車内で購入できる旨、もっとアピールした方が良いと思いますヨ。


なお、京都に疎い私が一番京都らしさを感じた物…実はコチラです(^^;;
 
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送