熊本市交通局  8500形
 
  1982年、新型車両として数十年ぶりに8200形を導入し、冷房車、クロスシート装備ということもあって瞬く間に人気者になった熊本市交通局。次に続く車両はさすがにインバータ制御では増備が続かなかったようで、在来車の足回りを再利用し、車体を作り直す方法を採りました。8500形、1985年から2年間で合計4両製造されました。
見た目は8200形と大差無いのですが、細かいところを見ていきますと、側面の大きな方向幕がなくなり、前面の「火の国」などのヘッドマークがなくなっています。でも軽快電車ならではの装いは健在、後継車両も多い中独特の存在感を発揮しています。なお、画像は広告車両になっており、カラーリングはオリジナルと微妙に異なります。
熊本市交通局全線で活躍中です。
(撮影・取材 熊本市交通局田崎線・熊本駅前〜田崎橋)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。前中2ドアで、転換クロスシートとロングシートを交互に組み合わせた車内です。
8200形は暖色系の車内構成だったのに対し、この系列では寒色系で攻めています。ただ、周りの色がどっちにも対応できる、いわば無難な色遣いのため、派手に変わった印象は特に持ちません。
低床電車が数多く走っている熊本市電ではさすがにアコモに古さを感じてしまいそうですが、それは床下から発せられる「音」にも原因があるのかな、という気もします。


乗務員スペース周りです。最近の車両ということもあって割とあっさりした雰囲気に仕上がっています。片開きドアということも手伝って運賃箱が「横」に置けるくらいゆとりがあります。・・・と思いきや、運賃箱は使う時は横にして、使わない時は全景画像の時のように斜めにセットされています。決してゆとりではないようで、斜めの時の方がステップが広く使えるのですがそのあたりは気にしない方向なのでしょうか(^^;
仕切りは広告が3枚。均一運賃のため、かつて使っていたと思われる運賃表示器は使っていません。


天井周りです。空調はスポットで、その周りを蛍光灯がスタンバイ。吊革に近いことも手伝ってカバーに覆われており、そのカバーと天井の高さが同一面に抑えられているのが珍しくもあり、スッキリとした見た目を提供しています。明るさがどのくらい保たれているかが少々気になるところです。


床です。ちょっとこれはコトバに表しにくい、灰色に緑を混ぜたような色の床です。新しめの車両にも関わらず点検蓋の多さが目立ちます。旧型車両の物を流用した足回りの関係も影響していそうです。


中扉はより多くの人が一斉に乗れるよう、4枚折り戸を採用しています。ステップつきの車両だからこその折り戸で、超低床車両の導入とともに引き戸の延長線上にあると考えても良さそうなプラグドアへと移行しています。
窓は2枚1組で一体に見えるような角取りをしており、折り戸の組み合わせも含めて当時の車両としては画期的な処理だったのではないでしょうか。外観画像をご覧頂いたとおり黒縁の処理などがなされていないため、連続窓にはなかなか見えないところが悩みのタネでもあります…(^^;;;


乗務員室側のドアは従来通りの引き戸を採用しています。折り戸と比べるとやや新鮮味に欠けますし、握り棒の乗り降りサポートもちょっと心細さを感じます。ただ、引き戸だからこそステップが小さくて済む、まさに適材適所というコトバが最適かなぁと思う今日この頃です。


座席は2種類。まずは長いロングシートです。所々はみ出したヒーターが印象的です。この所々というのがバスっぽいですが、長さはタップリ路面電車、座面の奥行きも浅め、ただ背もたれはあまり切り立っていません。
路面電車と言えば開放的な前面展望ですが、この形式ではロングシートで可能です。その反対側も袖仕切りが独立しており、ドアエンジンなどドア周りから離れた作りになっています。

なお画像でもチラッと出ていますが、優先席はステッカーで対応しています。


転換クロスシートです。車内真ん中を挟んで左右対称に1人掛けが5人分ずつ設けられています。優先席への指定は特になく、ヘッドレストカバーが取れてしまっている席も偶然そうなってしまったのでしょう。

コンパクトな空間にまとめられていることもあり、熊本駅で出会う817系のような大きなスタイル、大きな仕切りを期待するのは大袈裟です。

 
横から撮ってみました。ヘッドレストカバーの無い座席もモケットの色で判断するとどうも日頃ついているようです。
シートピッチは狭め、転換機構も一斉転換を目指し背もたれをはみ出す大きさ、窓枠と座席が一致しない座席もありますが、実際乗ってみますと足元の狭さ以外は目をつぶれそうです。

路面電車だとバスの固定クロスシートを持ってくるところを転換クロスシートを持ってきたという時点で技ありですが、やはり背もたれの大きな座席に身を預けるというのも身近な乗り物でも悪くありません。

肘掛けの形状が狭い空間の中ということも手伝って独特です。
この形状が生まれた頃の「旬なデザイン」を感じさせそうです。

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