熊本電鉄  01形
 
  線形上大きな車両が入れない上熊本〜北熊本間に、ついに冷房車が入りました。先代の「青ガエル」は全国各地で活躍しましたが、今度の01形は地方私鉄への譲渡はこの2編成のみ、いきなりレアな車両譲渡の運びとなりました。
3ドア2両編成とショートショートになり、逆側の先頭車にはシングルアームのパンタグラフがつきました。できる限り東京メトロの面影を残しているとのことですが、熊本電鉄特有のサイドミラーとスカートをつけ、併用軌道も堂々と走れるゴツいスタイルに変身しています。
現在は熊本電鉄全線で運転されていますが、若干車体幅が小さいこともあり、ドア前にステップを設けての運転です。併用軌道で見るこの車両、えぇ、トンネルの中で見ることが多かった分、見慣れるまで少し時間がかかりそうです。
(取材・撮影 熊本電鉄菊池線・上熊本〜北熊本)

 

 

 


車内全景です。車内の雰囲気は01系4次車のものをそのまま踏襲し、ワンマン設備等を追加した程度に留まっています。言い換えれば銀座線の雰囲気をまだまだ楽しめそうな車内です。3ドアロングシートですが、ワンマン運転で開かない扉もあるなど、融通を効かせながらの運用になっています。
細かいところで恐縮ですが、整理券発行機の向きがこの車両独特で、車内中央の方を向いています。通常は妻面側や運転台側に向くことが多いので、なんだかそっぽ向かれたように感じるのは…私だけです。ハイ。


乗務員室との仕切りです。トンネルが低い銀座線の車両だったこともあり、この区画は冷房装置を載せるために低めの天井になっていますがこのまま踏襲したような格好です。それでも種車の仕切りをうまく利用して運賃箱や運賃表示器をキレイに配置しています。正直、5000系のような仕切りの不格好さは感じず、蛍光灯も端まで伸びていて、大変明るい車端部に仕上がっています。

 
車端部です。いずれも優先席になっていて、北熊本側の車両には車椅子スペースが新たに設けられています。配電盤や片側だけの妻窓もそのまま残っており、特に01形特有のFRPで作られた窓の丸みはこの車端部が一番実感できそうです。吊革の配置も東京メトロ時代と変化が無いのですが、2両編成の車内にも関わらず「6号車」のプレートを残すのはさすがに如何なものかと思ってしまいます…。

車椅子スペースです。座席が撤去され、握り棒が1本増設されました。化粧板の色の差や窓の「優先席」がそのまま残っている様子、ここだけ床の色が違う点など、後付けで改造したことが目に見えてわかるスペースになってしまいました。中間車から化粧板等をもらえばもう少しきれいに改造できたし、何より座席も2人分増えたのに…と何の事情も考えずに言ってしまいますが、せめて床の色は茶系のものを用意して欲しかったところですし、座席が無い以上優先席のステッカーははがしても良いのでは?と思います。東京の通勤電車が案内だらけになってしまっただけに、譲渡された会社もその使い方に合わせた「思いやり」が必要です。


天井です。ラインデリアが続く部分、そして車端部は低い天井がお出迎えです。中吊り広告が無い分見通しも良く、隅々まで冷房が効くようになったのは地方私鉄の「悲しい時〜」かもしれません。乗務員室との仕切りにあった3連の中吊り広告も今は運賃表示器になってしまいましたが、車端部の低い天井に合わせた天井周りのやりくりに着目すると北熊本〜上熊本間の移動もあっという間になること、間違いないです。


床周りです。ツートンに色分けされたきれいな床も東京メトロ時代からの変化はありません。ただ、ツートンカラーの今後の維持管理は難しい事も考えられます。老朽化が進む前に他の色に切り替えて更新してしまうのも一つの手です。

 
ドア周りです。左の画像は3ドア中真ん中のドアで、右の画像は車端部側のドアになります。天井の様子もご覧頂きながらのドア周りです。白い化粧板で覆われている様子は東京メトロ時代との変化はありません。東京メトロのカードの広告もそのまま貼られていますが、あれ、広告料は?熊本電鉄で新たに貼ったステッカーはドアが開くかどうかのご案内で、色分けが将来色褪せないかが心配です。開け閉めのおしとやかさは東京メトロだった車両ならでは。
画像の中間のドアにはリーフレットが吊るされている様子も伺えますが、ホームのドア配置やドア運用を見ると滅多に開かないドア故にできることであって、ゆびづめならぬリーフレットづめは心配しなくても良さそうです。


ドア上には路線図が掲出してありますが…あれ、これもどこかで見たことがあるような…?!


窓周りです。元々地下鉄で走っていた車両、ほぼトンネルだったこともあってロールカーテン等の類はありません。少しの乗車ならまだしも、多少の時間がかかる藤崎宮前〜御代志の乗り通し、日中は太陽の日差しとお友達にならないとちょっと辛いかもしれません。荷棚もそのままで、この荷棚はカジュアルな装いで私的には好きです。

 
座席はこの2種類です。7人掛けのロングシートと4人掛けの優先席のロングシートです。この柄は東京メトロ銀座線01系の後期車、すなわちバケットシート車と同一です。座席下ヒーターの独特の形状もそのままです。
熊本電鉄の他の車両が柔らかい座面のロングシートで、この車両がある意味異色の存在に映るかもしれません。
やや硬めの座り心地ながら、特に座面の硬軟厚みも混ぜた作り込みはなかなかな物だと思います。


袖仕切りです。化粧板とパイプで構成されたものです。モケット巻きの袖仕切りの譲渡は残念ながらありませんでしたが、網棚へつながる一体感は受け継がれたのではないかと思います。これもまた、通勤電車の機能美です。
 
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送