高松琴平電鉄  1070形
 
  元は京急2代目600形ですが、どう見ても600形の湘南顔とは異なるスタイルで讃岐平野を駆け巡っています。面影は側面に残っているような感じですが、それでも窓に背を向けて座っている姿が車内全体に続いている光景は600形の面影とは重ならないと思います。
昭和59年に3編成6両が譲渡された1070形。琴電時代に大きく改造を受け、現在は朝夕のラッシュを中心に琴平線で運用されています。装いも上半分をアイボリー、下半分を黄色に塗って現在の「ことでん」カラーに改めています。
それにしても琴平線は2ドア、3ドア、4ドアと様々なドア数の車両が入り乱れて運用されているんですね。…京急だと全く感心しないのに、全列車普通列車だと妙にそのやり繰りに驚いてしまいます。
(取材・撮影 高松琴平電鉄・仏生山〜滝宮)

 

 

 


車内は分散クーラーを搭載した高松築港方先頭車の様子を中心にご覧いただきます。2ドアロングシート車の車内です。
譲渡時にロングシートに改造されてから25年以上経過することもあり、クロスシート車だった頃の面影を見つけるのはなかなか容易ではありません。細かく見れば床の点検蓋の配置や窓配置は当時のままなので…でも、妄想するにはあまりにも材料が足りません。
寒色系のカラーコードは1080形と共通で整えており、優先座席のモケットは蘇芳色になっています。

 
乗務員室との仕切りは2枚載せてみました。左の画像は琴平方先頭車の様子で、天井の造作が平らになっているのがおわかりいただけるかと思います。国鉄時代の特急型電車、例えば485系や183系などに見られる分散型クーラーと集中型クーラーの違いと全く一緒で、琴平方先頭車はパンタグラフを載せている関係で集中型クーラーになり、天井が平らになっている格好です。右の画像は高松築港方先頭車両の仕切りで、どちらも仕切りと扉の間にロングシートを備えています。
1080形と大きく変わらない仕切りは乗務員さんからすれば使い勝手の面で良さそうです。ただ、左の画像は前に別の編成がつながっていますが、特に幌などで行き来できるようにはなっていないので、乗客としては終点前に改札に近い方の車両に移動することができない事態が度々発生することになります。うーん、せっかく貫通扉つけたのに、なぁ…。


優先座席が展開するのが各車両の車端部です。画像は琴平方車両の車端部です。西日が当たっている妻窓の四角形がややゆがんでいるようにも見えますが、これは妻面の壁自体元々斜めになっているからで、実際に座るとこの斜め具合が肘掛けとしてジャストフィットすることまで伺えます。
その関係もあって、貫通扉は特に設けられていません。むしろもう少し幅の広い貫通路が欲しいくらいではないでしょうか。構造上無理なんですけど…ね(^^;;; それを補うかのような大きな妻窓が魅力的です。


天井は分散冷房車の模様をご覧いただきます。分散型クーラーと扇風機が中央に、その両側に蛍光灯が設けられています。ちょっと見慣れない形状の分散型クーラーが良い味出していますが、ラインデリアなどの大袈裟にも車内全体に行き渡る吹き出し口を見るとちょっと物足りない気分になってしまいます。

他の元京急の車両にも当てはまることですが、この薄緑色の扇風機はカバーに三菱のマークとKHK、つまり京浜急行を示すマークがつけられています。知る人ぞ知る京浜急行時代の名残り…でも、これを知っている人はこの車両がどこからやって来たかくらいは知っていると思います…(^^;;;


濃い青の床です。珍しい色を選択したものです。


片開き扉は1080形と同じ幅が広いタイプのドアです。開いたり閉じたりする一連の動作も同じですが、片側2ヶ所しかないので音的な迫力は今一つです。それが楽しみで乗ってくるのは私くらいなものですが(^^;;
ドア付近には吊革はありません。ステッカーによる啓発もありますが、ドア付近にあまり立客がたまらないようにしているようにも感じます。ただ、縦長の広告枠も含めてドア付近に路線図や広告枠が固まって配置されているのも事実で、一見さんの路線図チェックが入りづらい定期客の多いラッシュ時の運用が中心になるのも頷ける気がします。


ちょっと京急時代には想像できなかったと思う蘇芳色のモケットの車端部ロングシートです。ここの区画は元々ロングシートだったので、色さえ脳内変換してしまえば京急時代に遡ることができます。3人掛けといった長さでしょうか。
先述の妻面の肘掛けに加え、ドアぎわの袖仕切りも肘掛として機能しているのが伺えます。ただ、私個人的には京急2代目600形の丸みを帯びたクロスシートの肘掛けがこの車両にとっての「肘掛け」として最も美しいスタイルだと思い込んでいる部分があるので、それと比べると武骨な印象は否めません。


乗務員室背後のロングシートです。こちらは紺色に仕上がっています。
座席自体は奥行きが深く、バネの効いた座席です。軌道の関係でちょっと跳ね方が体にくるような乗り心地の場面もありますが、ゆったり寛げる感覚はことでんでも変わりません。
この区画の座席では点検蓋の真上に足を置くことになります。すごく気になる凸凹ではありませんので気にすることは無いと思います。


そして長〜いロングシートです。元々点検蓋の周りはロングシートだったのでその名残を…と思ったのですが、モケットからヒーターまでその痕跡を探すのはなかなか困難です。
これだけ長い紺色が続くと爽快で、空いているとどこに座ればいいのかもはやわからなくなってしまいます(^^;; 一応座布団や背もたれは均等に三分割されていたので、それを目安に座ってみるのもいいかもしれません。
長い座席は長い座席なりにへたった部分が見え隠れしそうですが、座面、背もたれともにまだまだしっかりしていました。一度着座するとストンと斜めに下がっている座面奥の方に落ち着く格好ですが、その斜め具合も良い感じです。驚く人はさすがにいないと思いますが…どうでしょうか?

 
肘掛けの武骨さとは裏腹に、網棚の支えが機能美に溢れていてレトロです。昭和30年代に製造された車両、例えば長電2000形でも見られましたが、こういう機能美は「レトロトレイン」と称してレトロ調の車内を一から作る時にぜひ取り入れていただきたいものです。旧型車両が定期列車から退いた琴電で、良い物が見られました。

 
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