北大阪急行 2000形[保存車]
 
  実は現役の頃を全く知りません。
今回、小倉商事さんのtwitterフォロー&リツイートキャンペーン第2弾でご縁をいただき、丹波篠山市に佇む千里中央方先頭車の車内を堪能させていただくことができました。
2000形は昭和44年に登場し、1993年の引退まで北大阪急行の車両として活躍しました。角に丸みを帯びた前面にマルーンの帯が一本引かれた姿は大阪市交通局の30形に似ているようにも感じますが、車内を一歩入ると…という光景は、後継車にしっかり受け継いでいるように感じます。
長いこと北大阪急行の車庫で保管されていましたが、2021年に現在の丹波篠山市にお引越し。かなり保存状態が良く、かつ万国博の方向幕が懐かしいこともあり、道路から柵越しに撮られたであろう画像も検索するとちらほら。柵の中で堪能できる時間をいただけた小倉商事さんに、心から感謝です。

 

 

 


車内全景です。4ドアロングシートの車内に入って、まず状態の良さにかなり驚いたものです。そして北大阪急行独特の深緑のモケットが見事に美しく残っています。増備当初の趣味誌を以て「阪急形化」と紹介されるのもなるほど納得ですが、化粧板の模様が木目柄でなかったり、ステンレスのドアが無地の銀色そのままなあたりに、かえって新鮮さを感じます。


車端部です。北大阪急行で静態保存されていた頃から大きな変更点はないようで、50年の軌跡を振り返る展示もそのまま展示されています。元々貫通扉がなかった妻面のようで、両側とも2段窓がスタンバイ、この部分にはカーテンがありません。
非常通報スイッチが荷棚の上にいるのは今ではちょっと考えられないなぁ…と思いますが、そのジェネレーションギャップを愉しむのも保存車ならでは。消火器の受け具が妻面の端に佇んでいるのも、今後徐々に「懐かしのアイテム」になっていくことでしょう。
受け具といえば、国旗の掲揚ができる受け具が妻面に残っているのも嬉しいものです。

 
反対側、乗務員室との仕切りです。仕切り窓の上に広告が入っていますし、「禁煙」の表記が結構上の位置にいることも伺えます。運転手、車掌の札受けもそのまま残っています。
ドア窓と共に乗務員室との仕切りの窓に関しても当初から大きかったとの記述を見かけます。ただ、明確に大きさが異なりそうなのは真ん中の仕切り扉の窓くらいで、特に運転席の後ろの窓についてはこの大きさで「あ、良く見る大きさ…」だと思ってしまいます(^^;;
仕切り手前、右の側扉は鴨居部のカバーが開いています。

 
天井周りです。非冷房車ということもあり、中央にファンデリアが残っています。蛍光灯がその両脇を隙なくスタンバイしている様子は、現役当時はさぞ明るかったのだろう…と思います。
吊革がところどころ抜けているところがありますが、劣化による「抜け」は仕方がないところ。それよりも訪問した一同が驚いた点はファンデリアの羽根が風の流れを受けてクルクル回るところ。画像ではちょっと羽根が見難いですが(^^;; 滑らかな回転を見ることができて、安堵したことは言うまでもありません。

非冷房車だからでしょうか、ところどころスリットがみられるのも珍しいものです。


こちらも今後の劣化がちょっと心配な床です。ベージュの柄に滑り止めも加えて、阪急車の床の色よりもだいぶ軽めの色で整えています。地下鉄車だからこその配慮でしょうか。

 
ドア周りです。ここも登場時に大きな窓が印象的だった、との記載を見ましたが、確かによく見慣れた大きさのドア窓だと思います。右の画像は鴨居部が開いた様子です。
この車両の乗り降りは乗務員室から…となっていることもあり、ドアの隙間は養生テープでガッチリガード。その甲斐もあって、無塗装ステンレスのドアはかなり美しさを保っており、特にドアステッカーに色褪せた様子が無いのは特筆すべき事柄かと思います。
鴨居部は少し天井部分で丸みを帯びていますが、大阪市交30形保存車の画像などを見るとそれらよりも丸みが控えめで、空間のゆとりを感じます。

 
2段窓はロールカーテンを備えていますが、このロールカーテンも良好な状態をキープしています。窓自体は上下段どちらも開くようになっていますが、下段はさておき上段は「上にあげてマドの下を外に押してください」という指示。この方法で窓を開けることなんてすっかりご無沙汰の方が多いような気がしますが、大阪市交通局30系でも下段固定、上段が上記方法で開閉可…という仕様が最後まで存在していました。開口部分が大きくとれ、着席している方への影響が少ないことがもてはやされたのでしょうか。

 
座席です。独特の形状は背もたれと座面が分離しています。いわゆる趣味誌の「阪急形」が加味された格好で導入当初から「緑モケット」だったとのこと、それでも化粧板の独特の柄とのタッグは新鮮だったのでは…と思います。案の定私もこの形状とモケットの組み合わせにビックリしたものの、ドア周りの蹴込み板に化粧板を用いているあたりにやはり阪急らしさを感じずにはいられませんでした。
もう一つビックリしたのが状態の良さで、この手の座席だとモケットのプリント模様や座面のバネ、詰め物に劣化がみられるものですが、特に中身の劣化がほぼほぼみられ無かった点には驚きました。
北大阪急行、そして小倉商事さんの努力の賜物かと思います。


シンプルな袖仕切りを写しましたが、この時代ではごくごく自然に見られたアイテムです。
それよりもやはり袖仕切り越しにこの座席の断面を愛でたいもの。大阪市交通局30系とは一味違う深緑のモケットが織り成す素敵な形状。現役車両であればもう少し背もたれに厚みをつける方向で角度をつけると良いのでは…と思ったところですが、乗り入れ先のOsaka Metroでもこの手の座席そのものがすっかり少なくなってしまいました。


今回は小倉商事さんのtwitterフォロー&リツイートキャンペーンでご縁をいただいたのですが、堪能している間も色々気を遣ってくださり、愉しい時間を過ごすことができました。
小倉商事さんは解体工事、設備撤去などの分野で80年以上のキャリアがあり、特に金属リサイクルに関しては解体から金属の再生処理までワンストップで行っているとの事。このキャリアを活かした技術も別の車両で拝見しましたが、そのあたりはまた、いずれ。

居心地の良い車内は、過去も現在も記憶に残るもの。
それに全力で取り組む姿勢に拍手を送りたいですし、
大阪万博の時の話を何度もしてくれる家族のように、この居心地の良い空間を未来に、永遠に伝えていきたいものです。
 
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