紀州鉄道  KR300形
 
  たぬきから宮子姫に乗り換え…とばかりに信楽高原鐡道から紀州鉄道にやってきたKR300形です。紀州鉄道への導入当初は信楽高原鐡道時代を彷彿とさせる塗装でしたが、現在は紀州鉄道ではお馴染みの緑とアイボリーのツートンに模様替えしています。
信楽でデビューしたのは1995年のこと。その前に発生した列車事故の教訓を受けて安全性を高めた…と趣味誌で取り上げられていましたが、確かに前面には油圧シリンダ式ダンパを備えていて、並居る第3セクターの車両よりも若干ゴツい…と感じる方もおられるかもしれません(^^;
今回は2019年に取材した模様をお届けします。この年の春と秋の2回にわたり取材しましたが、春の取材は車内に桜を飾る粋な演出も。沿線には「学門」駅もありますし、御坊駅の0番線も合否を示す「○」に見えなくも…若干こじつけてしまいました(^^;
(取材・撮影 紀州鉄道線・御坊〜西御坊)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像は桜の装飾が施された全景画像、右の画像は通常仕様の画像になります。2ドアセミクロスシートは信楽の頃から変更ありません。どちらも西御坊方から撮影した画像で、右側手前には車椅子スペースが備わっている様子も伺えるかと思います。
日頃他の第3セクター事業者の車両に乗っているとそれとなく見かけた事がありそうな車内になりますが、紀州鉄道からすると、大きな空間で冷房のついた快適な車両がついに…!と、キテツ1形のことを忘れて感動してしまいそうなシチュエーションです(^^; 

 
乗務員室との仕切りです。どちらも半室構造になりますが、仕切り窓の大きさの違いは排煙管の有無になります。左の画像は御坊方、右の画像は西御坊方の乗務員室です。
助手席側にはちょっとした物を置けるスペースがありますが、桜の時期には短冊が置かれており、紀伊御坊駅で書いたものを貼りだす、といった取り組みもありました。
御坊方の画像右側、若干空いているスペースには信楽時代に「乗車駅証明書発行機」が置かれていたようで、現在もその名残りを床に見ることができます。あまり第3セクターの車両では見かけないスタンションポールもしっかり樹脂のクッションが巻かれています。


車椅子スペースです。もうちょっとシャキーンとして欲しいベルトの他、仕切りや手すりなどが備わっています。窓が無いのが寂しいものですが、戸袋部分でない部分の化粧板が腰壁のように2種類の模様で構成されているのがわかりやすく示されている、少し惹かれる部分でもあります。
ここの仕切りや手すりなども樹脂で巻かれており、握った時に手の力が入りやすくなっています。趣味誌で登場時の写真を見ると、ベルトのちょっと上くらいのところにも横方向の手すりがあったようですが、恐らく頭上の位置に移された可能性があります。寄っかかる人が多かったのでしょうか…。

 
天井周りです。平天上に冷房の吹出し口とカバーがついた蛍光灯がスタンバイ。その蛍光灯は換気扇の部分などを避けるような配置になっています。吊革はロングシート部分のみの設置です。

荷棚が場所によって設置されていたり、いなかったり…とマチマチです。乗車時間を鑑みるに荷棚をフル活用するシーンはあまり無いかと思います。が、みかんを箱で買った時など、大きい荷物をお持ちの時には要チェックかと思います。

 
床です。茶色の模様の入った床で、モケットや車内の雰囲気との相性はバッチリだと思います。
右の画像は信楽時代に整理券発行機があった頃の名残りの穴(^^;;; です。運賃が3種類かつ殆どが御坊駅を利用することもあり、整理券は不要と判断したのでしょう。かつて紀州鉄道を走った車両もそうだったように…。

 
ドア周りです。片開き扉で、化粧板が貼られた大人しい装いに戸袋への挟み込み注意の小さなシールが貼られています。ここの手すりはいわゆる「いつもの太さ」の手すりになりますが、逆に太くすることができなかった部分でもあり、あくまでも乗り降りのお手伝いとしての位置づけかと思われます。
ステップの介しての乗り降りになります。キテツ1形と比べるとステップ周りが狭めに感じてしまうだけに、特に段差が大きい印象が強い西御坊駅では慎重に乗り降りする必要があります。

 
窓周りです。左の画像は桜の装飾を施したバージョン、右の画像は一部の座席区画に荷棚が無いことが伺えるかと思います。
クロスシートには何かとつきものの帽子掛けやテーブルはありません。結構厚手の横引カーテンが備わっているのがポイントで、しっかり陽が入る時間帯もあるので、助かります。

 
ロングシートです。まずは7人掛け、5人掛けのロングシートで、後者は優先席にも指定されています。
モケットは赤系の単色で、背もたれ、座面に着席区分を示す縫い込みが備わっていますが、いわゆる適度に沈み込むタイプのロングシートです。
袖仕切りにも樹脂のカバーがセットされています。これが座席の狭さに直結することはありませんが、長いこと肘を掛けると細かい凸凹が少しの間跡になるのでは…と余計な心配をしてしまいます(^^; すぐに元に戻るので大丈夫です(^^;;

 
4人掛けです。先ほどの7人掛け、5人掛けの反対側にそれぞれ設置される格好ですが、左の画像、7人掛けの反対側の4人掛け座席は優先席に指定されています。
右の画像の4人掛け座席は信楽時代報道公開の際に「衝撃を受けても座面が外れにくい座席」として紹介された経緯があり、趣味誌にはその当時の様子が写真で残っています。普段は「置いてあるだけ」の座面ですが、この座面はちょうど蹴込み板の方に留め具があるようです。普段乗っていて全く気が付かない部分ですし、今もそうなっているか確認する術がありませんが(^^; 他車への波及が気になるところです。

 
固定クロスシートは4人1組で左右3組ずつの設置になります。短距離利用が主ですが、乗っていると意外とクロスシートの埋まりも良いもので、限られた時間でも周りの目を気にすることが少ない空間として重宝されているように感じます。
やはり背もたれや座面に縫い付けが入った座席で、背もたれの腰回りがどうしてもストンとしてしまい、座面の平面形状が…とあーだこーだ言いたくなりますが、注目は肘掛け。
画像ではなかなかわかりにくいですが、ここも握りやすさをイメージしてか、中にクッションを入れてビニールレザーを縫い合わせたものを使用しています。故に、柔らかめかつ縫い込みが見られる仕様になっています。この肘掛け周りのフレームもよく見かけますが、この部分はプラスチック、時々木を用いるケースが多く、ビニールレザーの仕様はあまり多くないと思います。

乗ってみたら、ぜひ触ってみてください(^^;


運賃箱から乗務員室、奥にはタブレットも。
この乗務員室の頭上には信楽高原鉄道から貼られている丸いシールがあります。
"SAFETY DRIVE" OHMI SHIGARAKI SHINGU -SHRINE
なぜか全てアルファベット… 咄嗟に「SHRINE」の意味がわからなくって検索したのはここだけのハナシ…
(一瞬、手裏剣が投げられる時の効果音だと思ったのは恥ずかしいので本当にここだけのハナシ…)
 
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送