近畿日本鉄道  奈良・京都線9020系
 
  近鉄の次世代通勤車「シリーズ21」。L/Cカーや京都市営地下鉄乗り入れ車など内装や外観に何かと特徴の多いシリーズですが、2両編成のロングシートバージョンというと急行の増結がメインになってしまい、結構地味な存在・・・かもしれません。
とはいえ在来車と連結するとシリーズ21ならではの大きな車体がよく目立っており、存在感は十分。やがて阪神との相互直通の運用も担うことになり、小柄な阪神の車両と並べるとどのような雰囲気になるのか、見てみたいような、見てみたくないような・・・(^^;;;
2000年から着実に増備を行っており、奈良・京都線以外にも顔を出すこともあるそうです。また、大阪線にも1編成投入されており、50番台と区分されています。
(取材・撮影 近鉄奈良線・近鉄奈良)

 

 

 


大きな車体をそのまま生かした車内、まずは全景です。
赤い座席モケットは近鉄の通勤車ではすっかりお馴染みですが、座席形状から空間を取り巻く色まで車内に関わる全てを1から吟味し直したのでしょうか、従来の近鉄の通勤車にはあまりなかった少し明るい、鮮やかなトーンを抑えた雰囲気に仕上がっています。
4ドアロングシートの車内です。


乗務員室との仕切りです。パッと見るとあまり開放感の無い、ごくごく普通の仕切りですが・・・
この車両の外観の画像をもう一度ご覧下さい。顔の真ん中には扉、それも非常時だけでなく編成どうしをつなぐと行き来ができる貫通扉があります。関西で言えば阪急や南海など多くの車両が該当するのですが、貫通扉がある時の仕切りは行き来を考慮して仕切りの真ん中に扉をつけることが多いのですが… この車両は一番右側、端についています…。
端につけることによってちょっと行き来しにくそうな雰囲気を作ったり、乗務員室の機器類を左右に分散せずにまとめて配置できたりする利点が考えられそうですが、まだまだこの構造に切り替えた理由がありそうな気がしてなりません。

 
車端部です。2両編成ですがどちらも車椅子スペースがついています。違いは優先座席かどうか、だけです(^^;;;
戸袋窓も妻窓も無い車端部は新型車両ではシリーズ21に限らずすっかりお馴染みとなってしまいました。貫通扉もついていますが、窓の大きさはうぉりゃぁ!と思いっきり下げているわけではなく、ちょっと遠慮気味な大きさです(^^;;


車椅子スペースにもズームイン。
握り棒2本だけというシンプルなスペースですが、低い方の握り棒はドア付近の縦の握り棒の補助も兼ねており、車椅子の方に限らず、小さいお子さんの乗り降りまでしっかりサポートしています。目立たないところかもしれませんが、ちょっとした工夫が活きています。

 
天井です。初期車は異なるようですが、アクリルカバーの新規設置ができなくなってから蛍光灯は直接証明に改まっています。アーバンライナーに代表されるようにライトワークなどの演出にはさりげなくこだわる近鉄ですが、通勤車は新型でも実用一本で攻めています。
そして吊革ですが、車椅子スペースやドア周り以外では高さを2種類に設定しています。より多くの方に握るチャンスを提供しています。逆に車椅子スペースの均等な高さに保たれた吊革を見て「あれ?シリーズ21なのに・・・?」と思うくらい、この吊革はシリーズ21ならではの特徴になっているのではないかと思います。


床です。グレーがかったベージュで、ちょっとした砂のような模様が描かれています。

 
ドア周りです。2枚画像を掲載しましたが、その差は「LED表示器があるかないか」です。とはいえ、ドア上の広告枠はどこも同じ大きさ。LED表示器の小ささが伺えます。その鴨居部は広告枠と一体になっていることから、薄いながらも大きめに作られており、ドア脇の握り棒共々あまり新しさを感じさせない数少ない部分になってしまっています。

ドアそのものは両開きで、グレーの化粧板が貼られています。周りの雰囲気に合うように作られています。

 
その薄くて大きい鴨居部です。千鳥配置のLED表示器の有無によって形状が変わるわけではなく、全てこの薄くて大きい、嬉しい生ハムのような状況になっています(^^;;; LED表示器には次駅案内や行き先案内などの情報が随時流れていきます。


ちょっと外に出てみました。ドア〜ドア間には1枚窓が設置されています。その1枚窓の奥、座席の上をよく見ますと、黄色い丸い表示がポツポツポツ…と6つあります。窓の外がタイルなので見難いですが(なんでこんな所の画像を…と小一時間怒られそうですが(^^;;; ) その答えはすぐに画像の中で登場します。どうぞ〜。

 
座席です。片持ち式の座席で、ドア〜ドア間は1・4・1人の6人掛けになっています。右の画像と左の画像の差は優先座席かどうか、という点だけで、モケットはそのままに黄色いパーツが背もたれの下に入っている物が優先座席となります。
背もたれと座面が分かれたスタイルで、バケット形状の着席区分もついています。そのバケット形状があまりにも中途半端なせいでしょうか、座面の平べったさには驚きです。L/Cカーに合わせた平べったさをスタンダードにしていきたいのかもしれませんが、平べったくするなら適度な沈み込みを付け加えて欲しいなぁと思う今日この頃です。

 
車端部です。4人掛けでセットされており、一番ドア側の席にはラクラクシートがセッティングされています。
これはドアに近い1席のモケットの色を変え、肘掛けを両側に設けて乗り降りしやすくなるように工夫されたもので、座席幅も広めに取られています。優先席と通常の座席の中間的位置づけになると思いますが、それに留まらず着席定員への誘導の手助けもさりげなく行っています。ただ、この車端部に関しては肘掛けを設けられる余裕を車端部にもお裾分けして欲しかったなぁなんて思います。


最後にクローズアップ袖仕切り。肘掛けを座席間に設けた関係で、こちらも肘掛けを意識した物になっています。立ち客は握り棒でカバーし、網棚とは一体的になっていない分車内ではさほど目立たない存在になっています。
最初この袖仕切りを見た時にはあまりに奇抜なデザイン、そして肘掛けの存在に気づかなかった故にあまりに使い勝手が悪そうに見えて愕然としましたが、実は座る人の快適さと立つ人の使いやすさを考え直したデザインだったんですね。実物を見て納得しました。


このようにちょっとした車内の過ごしやすさのヒントは詰まっているけど、座面が、ああ座面だけが・・・


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