近畿日本鉄道  8400系(8409F)
 
  コロナ禍、各社で行われた減便はこの趣味を愉しむ上でも大いに迷惑になったので、恨み節の一つや二つ出てくるものですが…爆破まではさすがにやりすぎです。良かった、気持ちが抑えられて(^^;;
そんな爆破事件の被災車両を中間車に従えた3両編成が田原本線を中心に活躍する8400系「8409F」です。運転台を撤去し、電装化、方向転換…と改造を施された中間車は今見ても編成の凸凹が若干目立ちます。それでも田原本線の復刻塗装で濃い緑色一色になった時は多くの方からカメラを向けられていたのも良い思い出、復刻塗装から元の塗装に戻り、運用に復帰した時には胸をなでおろしたものでした。この調子で京都線や奈良線の優等列車への充当も期待したいものですが…?!
新王寺側から8409、8459、8309のトリオです。今回はこの車番を用いながら車内の話をしていきます。
(取材・撮影 近鉄田原本線・西田原本 他)

 

 

 

 
西田原本方先頭車、つまり8309と中間車、8459の車内全景です。
4ドアロングシートで都市型ワンマン運転を行っています。座席モケットは2003年までに現在のものになっています。化粧板はアイボリーを基本とした柄物です。
両先頭車と中間車で特に天井周りの設備が異なる様子が早くも全景から見えるかと思います。中間車の車体断面の大きさはドア上の鴨居部から確認することができますが…乗っていて、正直あまり気になりませんでした(^^;;
 
先に両先頭車の乗務員室との仕切りです。左の画像は8409、右の画像は8309です。
田原本線は3両編成の運用なので仕切り扉が開きっぱなしで運用されることはないのですが、6両編成で編成中央に入った時は中央の仕切り扉を開きっぱなしになります。右の壁も動きそうな予感がしますが…(^^;;
このタイプの仕切りは他の系列でも見かけますが、心なしか運転席後ろの窓がいわゆる「おぼろげに覚えている近鉄通勤車の仕切り窓」よりも縦長になっているように感じます。このあたりのバリエーションもいつか追いかけてみたいものですが、どうも形式を追いかけるだけで息切れを起こしてしまいます…。

 
優先座席は基本的に新王寺方の車端部に設置されている8400系、まず左の画像は8309、右の画像は8459の西田原本方の車端部になります。隣り合わせの車端部を比較している格好ですが…なんということでしょう、同じ両開き扉の端、8459には切り欠きがついているではありませんか(^^;; 50系客車とは異なり小さな主張といったところですが、8309はドアの開閉には固定された取っ手があるのに対し、8459はハンドルタイプの取っ手を用いている点も要注目です。つまり…自動では閉まりません(^^;;;
開ける時にはロックを解除するように握った手を左右に動かす格好になりますが、これは片引き扉でも体験できます。

 
8459の新王寺方、そして8409の車端部ですが、さて、どこからツッコミをいれれば良いのやら…(^^;;
8459の車端部は元々乗務員室があったところで、その乗務員室に合わせて天井が若干低くなり、窓も1つずつ独立したものを用いています。そして幅の狭い貫通扉は省かれ、貫通路の先にあるのはなんと両開き扉…!車両どうしがつながる時は大体2両の通路幅は同じになるものだと思っていたのですが…清張さん、これって何かのトリックに使えませんか〜?!
 
少し低くなった天井が左に、貫通路が同じ幅で行き来できるように施した幌の画像(^^;;を右に載せてみました。なるほど、扉が来る前に貫通路が同じ幅で設置できるよう幌受けのようなパーツを作ったようで、先ほどの車端部の画像で両開き扉の窓から奥を見ると…あれ、なんかいるなぁの正体がこの部分です(^^;;
そして、現存する乗務員室も天井が低いので勘弁して…とホンネが聞こえてきそうな部分ですが、この部分の吊革の処理はぜひ、8411Fの中間車と見比べて欲しいものです。なんてったって…中間車改造車は2両だけしかいないのに、こんなところまでバリエーションを作ってしまったんですから…(^^;;;

 
天井です。8309と8459を見比べていますが、わかりやすく言うと「ラインフローファンか扇風機か」という違いです(^^;; どちらも吹出し口から流れる冷気をかくはんさせるためのアイテムになりますが…エアコンに扇風機が居座る組み合わせを見て真っ先に「京成電車だ!」と思ったのは私だけです。きっと(^^;;
他にも吊革のベルト部分が異なる様子が画像から伺えますが、異なるのは8459の新王寺方、つまり天井が少し低くなっている区画のみに見られるもので、側ドアを1つ挟んだ先にはしっかりプラスチックのパーツ…いわゆる「サヤ」が見えたり、ドア周りの短い吊革にはそれがなかったりと…なんだか落ち着きません。

 
扇風機です。乗務員室から操作するスタイルで、乗客が思い思いに動かせるものではありません。概ね左の画像のようなカバーを用いていますが、1か所だけカバーの中央が青く、社章が大きく書かれたものがついています。で、そちらの方がきれいに見えるので製造年を見てみたら…1990年製、平成ヒトケタ世代でした。ヨ!先輩!!…40センチオート扇、明るいナショナルの作品です。

 
床です。8309と8459のデュオですが、こちらは点検蓋の有無があるくらいであまり違いがありません。赤茶色の単色といったところでしょうか。

 
側扉です。鴨居部の丸みの違いにキュンキュンしつつ、両脇に黄色のテープを貼るなど、きちっと手を加えている様子が伺えます。ドア自体は化粧板を貼った窓の大きいドアで、ドア窓の「ゆびにごちゅうい」共々近鉄らしいなぁ…と思わせてくれるものです。で、8459のドアはよくよく見るとドア窓の上に横一本桟のようなものが見えます…これも両先頭車にはみられない違いですが、ここまでくると間違い探しとしか言いようがありません…。


8459の側窓です。ドア〜ドア間の荷棚は先頭車、中間車ともに同じ形状ですが、長さが微妙に異なる仕様です(^^;; どおりゃぁっと窓下のフックにめがけて下ろすカーテンは相変わらずですが、その途中、ところどころに抗菌加工、抗ウイルス加工を施している旨の表示が貼られています。これもまた、時代を映す…窓です。

 
ここからは怒涛のりーべる座席東館。まずはドア〜ドア間の座席からです。
左の画像の両先頭車と右の画像の中間車と比べると、中間車の方が僅かながら着座位置低めで背もたれ高め、蹴込み板が手前に出っ張っています。ただ、申し訳ないですけど乗り比べても気が付くかどうか…レヴェルです。それよりも蹴込み板があるにも関わらず足元広めに感じる両先頭車の座席、奥行浅めでスプリングの効いた座り心地は田原本線のゆったり感にジャストフィットしていると思います。
別の編成で京都線の急行に乗りましたが…両隣にお客さんが座るとつられて沈み込む様子が懐かしくもあり、新鮮にも感じたのはそれだけバケットシートに囲まれて生活している証拠、かもしれません。

 
先頭車、乗務員室のすぐ後ろの座席です。8309は優先座席に指定された区画で、両側とも紫色のモケットになっています。
どちらも3人掛けですが、運転席側はデッドスペースが、助手席側は肘掛けにもなり得る袖仕切りがついています。どっちの方が居心地がいいかはそれぞれあろうかと思いますが、この袖仕切りを見ると隣の壁も動くのかなぁ…と期待してしまいます。
 
車端部側の座席です。こちらは8409が優先座席に指定されています。それにしても、床に貼られた優先座席を示すシートの初々しいこと… JR北海道では最近撤去が始まっているようですが、近鉄は果たして定着するか、否か…。
先頭車はどちらも両開きの貫通扉です。そして、妻面には特段の余裕はなく、端まで座席が展開されています。田原本線であれば妻面の居心地云々よりも、終着駅の改札に向けて車内を抜ける方の足元に、ちょこっと注意です。

 
8459の車端部の座席です。2種類の長さがあり、左の画像は新王寺方、右の画像は優先座席で西田原本方の仕様になります。1枚上の優先座席の画像と比べて、ドア〜ドア間の座席同様細かい違いが散りばめられていますが…基本は同じです。
そして中間車改造を施された区画の長めのロングシートです。座席よりも周りの雰囲気に気をとられてしまいそうですが(^^;; 8459の他の座席と同じ仕様で、妻面は妻窓なので若干窓枠手前に余裕があります。この妻面に面した座席は若干照明が暗め、貫通路の幌をゆっくり眺める愉しみもあり、この編成で一番濃い体験ができるのではないかと思います。


夏が来ると涼しげな青い羽根を思い出す…そんな出会いになりました。
そしてまた、次の夏も出会えることを12分のショートストーリーの中で密かに願うのです。
 
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