近畿日本鉄道  7020系
 
  2004年に登場した近鉄けいはんな線延伸時の増備車です。7000系に瓜二つの表情、オレンジと青の帯はいつみても鮮やかで、この丸みを帯びた表情はいつ見ても可愛いものです。増備当初はLED表示が見分け方の一つだったと記憶していますが、いつしか7000系もLED表示機を搭載するようになりました…。
取材は2022年の模様で、優先座席の設定を含むモケットの変更が済んだ状態の車内に入ります。近鉄の他形式でもモケットの変更が徐々に進んでいるようですが、7000系、7020系は2022年の時点でモケットの変更が完了しているようで、他よりも一歩早い対応は乗り入れ先への配慮もあるのでしょうか。
万博輸送も控え、さらに注目を浴びそうですが…2022年の時点で近鉄の最新通勤車です。どうだ!と胸張って各国の方を迎えていただきたいものです。
(取材・撮影 近鉄けいはんな線・生駒〜学研奈良登美ヶ丘)

 

 

 


車内はモケットの変更によってモノトーンタッチになりました。4ドアロングシートの車内です。
既にシリーズ21がデビューした状態で投入されていますが、18m車であることや車体断面の違いからも、シリーズ21の味付けとはまた異なる、ざっくり言えば独特な味わいが愉しめそうな雰囲気に仕上がっています。一方、見た目は7000系を意識しているように見受けられますが、特に袖仕切りから荷棚にかけてはこの形式独特の意匠で、普段使いのお客さんも乗った時から「あ、違う!」と気が付くこともあったのでは…と思います。


乗務員室との仕切りです。右に寄った仕切り扉、運転席後ろの小さな仕切り窓はまさに地下鉄を意識したかのような仕様です。けいはんな線も、中央線も前面展望が愉しそうな予感はしますが…多くは求めません。一方、非常通報機が手の届きやすい位置に設置されているのは良心的です。
取材した日はたまたま中吊り広告がなかったので、天井の段差もじっくり見ることができますが…中吊り広告の吊り具をあえて段差に隣接した部分に設置する技はこの形式でも見ることができます。

 
車端部です。全ての貫通路に扉がついています。中間車のうち片一方は車椅子スペースの設置がありません。車端部は基本的に優先座席の設定となっており、バリエーションはこの2種類が基本で…細かいことを言うなら、コスモスクエア方先頭車の車端部とそれ以外の車両の車端部で車椅子スペースの設置が左右逆…くらいの差があるくらいです。
優先座席の設置により床への図示と吊革の交換が行われ、モノトーンな車内の中で賑やかなスペースになりました。化粧板の交換はされていません。


ベビーカーマークの後付けが目立つ車椅子スペースです。非常通報機と手すり、ヒーターが備わっています。ヒーターの形状がなかなか独特で、手すりとヒーターの間に何か入っているのでは…とついつい探ってみたくなりますが、登場時の趣味誌にもそこまでの言及はありません。
窓上の化粧板の継ぎ目にあたるところ…いわば長押と呼びたくなる場所に設置されたアルミのパーツにどことなくシリーズ21のような雰囲気を感じさせます。車椅子スペースでよく見ることができますが、あくまでも側面だけ、部分的な装飾です。

 
天井です。右の画像は車端部の若干低い部分を下から撮ってみました(^^;; 全般的にフラットな天井で、端から端までラインフローファンがスタンバっています。
蛍光灯はカバーが廃された仕様のものがついています。この時にカバーの有無に関する論争が生まれたかどうかはわからないですし、そのことに関する是非への言及はしませんが、蛍光灯の上、照度を高めるような緩やかなカーブの傘が垣間見えるところはグッジョブだと思います。


床です。灰色やベージュを基本としたサンド柄です。この柄は登場時から変化はありません。

 
ドア周りです。鴨居部分のLED表示機は千鳥配置での設置です。
ドアそのものは化粧板が貼られたもので、両脇に注意喚起の黄色いテープを貼っています。窓にある注意喚起の表示が広告以上に目立つ仕様だとより良いのですが…
袖仕切りが棒一本で寄りかかりにくい仕様となっており、確かに座席幅を広げたこともあり…ドア脇に立つスペースがあまり確保されていません。これがラッシュ時の遅延につながっていなければ良いのですが…。

 
さりげなく設置されたLED表示機です。LED表示機の無い鴨居部には運行情報が貼られていますが、最近のことになります。弱冷房車にはこの鴨居部に「弱冷車」とシールが貼られていますが、LED表示機がないとこんなに手持無沙汰になるんだ…ということを端的に示しています(^^; あと、右側の蓋は一体なんなのでしょう…(^^;;
LED表示機は次駅、行先などの案内を結構マメに表示しています。文字も豆サイズなので、できればもう少し大きい表示を期待したいものです。


内折れ窓の側窓は着色ガラスを採用しています。ロールカーテンを備えていますが、ロールカーテンと窓開けを同時には行えません。車端部はシンプルに固定窓となっています。
あまりケースはないと思いますが、窓を開けた状態で荷棚に小さかったり、細長い物を載せると荷棚の棒の隙間から外へヒョロッと出てしまうことがありそうです…くれぐれもご注意を。


座席です。7000系由来の設計のせいか、シリーズ21で採用されている座席とはちょっと仕様が異なるような気がします。座り心地も座面の底つき感はやや感じるものの背もたれの食いつきはバッチリで、背もたれと座面の間の凸凹が実に良い仕事をしています。また、座面の先端の程良い柔らかさはついつい足を引っ込めて堪能したくなります。結構、良い座席ではないでしょうか。

 
優先座席は先頭車に存在する6人掛けと全ての車両の車端部で展開する3人掛けの2パターンです。
バケット形状を採用している座席ですが、縫い付けがある程度でバケットを無視して座ってもあまり凸凹は感じません。登場時からモケットの模様も定員着席を促すような雰囲気を感じないのはOsaka Metroとの大きな違いかもしれません。
袖仕切りのうち化粧板を貼りつけた方は肘掛けを意識した高さですが、車端部には特段そこまでのフォローはありません。

それにしても…優先座席のこのピクトグラム、そのうち奈良テレビの深夜の名物番組「算数教室」で数えさせられそうな気がするのは私だけでしょうか…。CMの後は「通ったのは何人?!」みたいなフリとともに…(泣


袖仕切りです。大型袖仕切りが得意としていそうな役割をあえて肘掛けと棒で挑んだ結果がこちらです。7000系でみられた荷棚から伸びた棒は廃止されました。あれに落ち着く過程が趣味誌で追えただけに、7020系のこの袖仕切りに至った経緯も見てみたいものですが…。
ともあれ、2022年時点での近鉄の袖仕切りに対するアンサーがこちらなので、次の新車が出るころにはどのような袖仕切りを見せてくれるのでしょうか…楽しみです。
 
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