近畿日本鉄道  奈良・京都・大阪線5800系
 
  長距離運用における快適性と混雑にも耐えうる収容力の両立を模索していた近鉄。1990年代半ばにロングシートモードと回転クロスシートモードを備えた車両「L/Cカー」を登場させます。当初は従来車の改造で様子見モードだったのですが、好評だったため新車にもその装置を搭載するようになります。その第1弾が今回取り上げる5800系です。
外観はパッとすれ違うくらいでは従来の近鉄車とほとんど変わらないものの、先頭車の前面や側面にL/Cのロゴが入っており、駅構内に停車中の状況であればなんとか見分けられそうです。
現在はシリーズ21の5820系に移行しており、奈良・京都線に5編成、大阪・名古屋線に数編成のみという陣容になっています。
(取材・撮影 近鉄奈良線・近鉄奈良 他)

 

 

 


クロスシートモードの車内全景ですが、いやはやこれが近鉄の一般車の車内ですよ奥さん。近鉄の一般車と言えば赤いモケットが基本中のキホンという感覚だったはずなのですが、見事にそれを覆す、モノトーンな車内に仕上がっています。
4ドアで、車端部は終日ロングシート、ドア〜ドア間は奈良線の急行などではクロスシートモードに、京都線や天理線の急行などではロングシートモードになっています。


車端部です。優先座席の区画とそうでない区画があり、画像はそうでない区画になります。大型の袖仕切りが優先座席かどうかの判断を邪魔しているような感覚になっています。
この車端部、窓配置に一癖あるようで、真ん中の貫通扉のベロンと伸びた窓は取っ手の関係でやや中央より右に寄っています。そして妻窓は車端部の座席に座っている乗客からはちょっと背伸びしないと見づらいような位置に設けてあります。なぜここまで高い位置に妻窓を用意したかが気になるところです。クロスシートで固定したい!という思惑があったのでしょうか?

 
奈良線よりも長距離を走る機会が多い大阪線5800系。その伊勢中川方から3両目にトイレがついた車端部があります。右の画像はそのトイレを囲った部分になります。控えめながらトイレ使用お知らせ灯もついています。やはりトイレ脇ということで配慮がなされているのでしょう、他の車端部が軒並みロングシートを備える中、このトイレ脇の座席のみクロスシート配置になっています。
それにしても4ドア車にもトイレがついていても大して驚かなくなってしまう時代が来るとは・・・。

 
乗務員室の仕切りです。少々アップ気味に写っているのが奈良方先頭車の仕切り。近鉄奈良の頭端式ホームの様子も窓越しに伺えます。そしてちょっと引き気味の右の画像は難波方先頭車の仕切りになります。側ドアから仕切りまで若干余裕があり、立席スペースとして機能しています。仕切り窓の高さは先ほどの車端部と大差無いようですが、こちらは仕切りの先に機械がいっぱいつまっているだろうなぁなどなど、様々な推測から納得が行くような気がします。

では、ここでクエスチョン。2つの車端部、決定的に違う部分がおおまかに一つあります。それは何?!


答えはこちら、難波方先頭車には車椅子スペースが設けられています。ちらっとローレル賞受賞プレートも見えますが、この車椅子スペースは後付けで、違いは握り棒と滑り止めの床材が使われているだけとなります。元々座席がなかったスペースが適材適所だったという考えから「とりあえず1箇所分でも・・・」と設置に至ったと思われますが、なぜ同じスペースを持つ奈良方先頭車には設けられなかったのでしょうか?

 
思わず広告に釘付けになりそうな天井と、ついでに窓枠もご覧頂きます。
クロスシートモードだと窓枠の存在が鬱陶しいことこの上ない様子が画像からも伺えますが、乗り降りの時に邪魔になる吊革は通り道になるであろう部分だけ従来の高さよりも短い物を使用しています。ここで国鉄のハナシをするのも場違い甚だしいですが、クロスシートの上に吊革を設けないことが鉄則のような勢いがあった時代にはまず考えられなかったであろう「発想の転換」ではないでしょうか。これでロングシートモードの時もつかまる部分がかなり確保されたことになります。
中央にはラインデリアが鎮座し、蛍光灯はカバーつきのものが使用されています。


床です。明るめのグレーの模様を使用しています。

 
側ドアです。グレーの化粧板で周りを固め、ギリギリまで大きく確保された窓に抜かりはありません。左の画像がLED表示器の無いドア、右があるドアになります。このLED表示器も後付けになり、千鳥配置となっています。
 
鴨居部のドアップです。LED表示器は後付けの強みといいましょうか、あまり違和感の無い姿で設けられています。艶をあまり出していない銀色を基調としたデザインにシリーズ21の雰囲気を感じさせる面もあります。

文字はやや小ぶり、LED表示器です。この文字の小さな表示器は関西では近鉄以外にもお目にかかる機会が多いので、普段乗り慣れている方にはその小ささはさほど気にならないかもしれません。

 
座席です。クロスシートモード、ドア〜ドア間の座席です。
クロスシートモードの時は座席下のペダルを踏むと回転ができるようになっています。座面・背もたれ共に薄く、底つき感が隠せないのが残念ですが、広々とした足元、必要十分な座席幅は魅力的です。

モケットはパープルを基本にした柄。ヘッドレストが灰色になっているからでしょうか、モケットの色具合が「パープルが色落ちした灰色」と捉えられかねない事態になっています。


車端部の座席は先にトイレ脇のクロスシートをご覧頂きます。わざわざ仕切りが作られており、仕切り直後の座席は回転機能もしっかり備わっています。ただ、この向き合う姿が標準のようで、他の座席が自動回転する中この座席はその流れから取り残されてしまっていました。

車端部につけられたこの座席のみ、回転機能の無いクロスシートになります。確かにこの状態で回転してしまうとそれはそれで大変そうです(^^;;
回転機構は省かれてしまっていますが、それ以外は他の座席と同じです。窓の大きさや貫通扉の幅を一切考慮していないのはそのあたりが要因です。はみ出し分もあまり多くないですし、ロングシートもそれなりにはみ出していますので(^^;;気になりません。ただ、妻窓を埋めておけば良かった…なんて担当者の声が聞こえてきそうです。

 
車端部のロングシートです。回転機構は必要ないため、ここはしっかり座席下のヒーターが備わっています。クロスシートモードの通路側の座席は足元の寒気を遮る物が何もないため、冬はこちらの方がやや暖かいかもしれません。
ドア〜ドア間の座席に合わせるかのようにヘッドレストがついた、やや珍しいスタイルの出で立ち。そして袖仕切りはドア〜ドア間と共通の物が使われていますが、こちらもドア〜ドア間の座席、クロスシートモードを意識し目隠しも兼ねつつ、ロングシートモードの際に邪魔にならない程度の大きさになりました。クロスシートモードの時に袖仕切りがにょきっと横に伸びる・・・仕切りだったら面白かったのですが、そんなにお金かけられないですよね(^^;;;


あ、言い忘れてました、右の画像が優先座席のロングシートです。なんだか色の差があまり無いような気がします…。


そのロングシートモードを窓の外から見ています。ヘッドレストがきれいに並ぶ様子は、今までの通勤電車の感覚とはちょっと違うな、と窓の外からもひしひしと感じさせます。

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