近畿日本鉄道  3200系
 
  個人的にマルーンとシルキーホワイトのツートンはこの車両が一番似合っていると思います。新造車両初めてのツートンだったからかもしれませんが、丸みを帯びた豊かな表情に6両固定編成が成せる編成美にうっとり、そしてVVVFインバータを忙しく、しかし美しく響かせる加速… 今まで乗りたい時になかなか現れず、すぐに降りなければならない時や混雑時にばかり現れ…ようやく橿原線の急行、そして京都市営地下鉄線内でたっぷり満喫できた次第。私も豊かな表情でテイスティングすることができました。
登場時からあまり変化が無いように見えますが、登場時のプレス取材では4両編成だったというのを後で知り、6両固定編成に見慣れていた身としては驚いたものです。そして、この車両のポテンシャルの高さを示していたVVVFインバータ制御のマークはすぐにでも復活して欲しいものです。
今日もMy Shiny Townが聞こえてくる街を駆け抜けます。
(取材・撮影 近鉄京都線・竹田 他)

 

 

 


車内全景です。4ドアロングシート、化粧板や座席モケットが貼り替えられた後、2022年時点の表情です。登場時はもっとモケットの色が暗めの赤、化粧板が明るめの白…とコントラストがよりはっきりした車内でした。見慣れていることもあり、今の色和えの方が落ち着いて乗ることができそうですが…一瞬、フレッシュグレーの化粧板を冷蔵庫に例えたくなったのはナイショです(^^;;
ドアチャイムやLED表示機、優先座席の吊革…と全景だけで細かい変化があったことが伺えますが、車椅子スペース以外は割と控えめな改造に留まっている印象です。この形式に関しては、控えめな変化に留めているところが何よりも素晴らしいと思います。

 
左の画像は中間車の竹田方に展開する両側とも優先座席の車端部です。右の画像は竹田方先頭車と中間車の国際会館方に展開する車椅子スペースつきの車端部で、後年改造され車椅子スペースもあまり違和感がありません。
なお、国際会館方先頭車の車端部は優先席と車椅子スペースの組み合わせでこの編成唯一の構成になりますが、諸般の事情により掲載不可とさせていただきました…撮り次第掲載します。
貫通扉の窓の大きさ、妻窓に近鉄一般車らしい佇まいを感じますが、貫通扉の手すりは登場時からのものではありません。そして、この形式では車端部の隣の側窓がどの車端部も1枚窓になっていますが…これがどれだけの衝撃だったかはそろそろ後世に語り継いでいただきたいものです。


車椅子スペースは国際会館方先頭車で見ていきたいと思います。床の「優先座席」のプリントがポイントです。
非常通報機は車椅子スペース設置を機に押しやすそうな場所に移動しました。そして手すりは上下2か所、引き続きヒーターが使えるようになっています。消火器入れは中間車の車椅子スペースでは割愛されているところもあります。
乗り入れ先で活躍する京都市交通局10系も車椅子スペースは後付け組みですが、10系ではそのまま残された荷棚はこの系列にはなく、化粧板からもかつて座席がったことを伺わせそうな穴は見当たりません。勿論、頭上は広々としている方が好きです。

 
乗務員室との仕切りです。右の画像は竹田方先頭車で、優先座席、ドア、仕切りの順で展開します。
とにもかくにも中央には仕切り扉があるスタイルが近鉄ではお馴染みでしたが、この形式では非常口を前面に設けたこともあり、若干仕切り扉を中央から右にずらして配置しています。故に仕切り窓の配置も大変独特なスタイルです。
それよりも驚いたのがドアと仕切りの間のスペースがあまりにも無いことです。この車両が落成するちょっと前までは座席があったり、ちょっと後の近鉄線内向け一般車では車椅子スペースに充てたりしていた「空間」がありません…。


天井です。ラインフローファンを中央に、両脇を吊革やカバーつきの蛍光灯を配置し、あまり灯具を直接見せない近鉄のこだわりが感じられます。…そう、他の車両でもお馴染みのシチュエーションですし、私に至ってはこのカバーを見て「近鉄だなぁ…」としみじみ思うほどです。
吊革は線路と平行方向にのみ設置されています。これも懐かしい丸の手掛けです。


あまり変化が見られない天井とは異なり、床はきれいにリニューアルされてますが、ここのリニューアルは案外視覚的に大きいのではと思います。ドア周りには滑り止めを兼ねた床材が用いられていますが、取材した2つの編成に関してはあくまでもドア周りだけの仕様、車椅子スペースには伸びていません。このあたりも車両によって伸びている、いないの違いがあるようで…。

 
ドア周りです。LED表示機が千鳥配置で設置されていることもあり、鴨居部の僅かな違いで2種類載せています。ただ、LED表示機の設置も仰々しくなく、始めからついていたのでは?!と思えるほどです。
ドア自体は近鉄一般車ならではの大きなドア窓に点字シールと戸袋への巻き込みを注意する黄色いラインが目新しいところです。特に点字シールは固定編成ならではの装備になります。
ここも元々白い化粧板を貼っていましたが、周りに合わせて化粧板の色を変更しています。

 
鴨居部を撮りましたが、馴染んでいるLED表示機、思いの外文字が小さい件…。広告枠の存在感に圧倒されていますが、これでもちゃんと座っても読める位置にLED表示機と広告枠を設置するにはこのサイズどうしが良い塩梅なのでしょうか…。
表示は次駅案内、行先案内などが中心です。表示枠が小さいので一度に表示される文字数は多く、画像のとおり「Unebigoryomae」もスッポリ収まっています…(^^;;;


これも近鉄一般車ではお馴染みの一段下降窓です。ロールカーテンは若干軽くなりました。さすがに窓の下端の留め具に引っ掛けて留めるタイプではありませんが(^^;; 窓の桟に貼られた「座席はゆずりあってお座りください」はこの形式でもみられます。抗ウイルス加工、抗菌加工を施した案内も窓に貼られているのは…時代、ですね。

 
ここからは怒涛の♪座席健康ランド。…若干無理がありますね(^^;
長さは2種類、ドア〜ドア間の7人掛けと車端部の5人掛けです。座ってビックリ、かなり柔らかい座面です。確かに鉄道趣味誌でも「種々検討した結果、ばねを柔らかくし、断面や詰め物を改良し身体にフィットするように改良」したとのコメントが出ています。ここまで赤裸々に語っていただけるなんて素晴らしい会社だと思いますし、確かに思っていた以上にお尻が沈み込む印象を受けました。
経年のことなども考えると、しっかりメンテナンスが行き届いていると思います。
ただ、背もたれが切り立ち気味で「しっかり支えてくれている」ような感じには及ばず、橿原線〜京都線の急行のように1時間程度乗り通すとちょっとお尻が疲れてしまいます…。

 
優先座席はグレーの柄のモケットで、こちらもドア〜ドア間の7人掛けと車端部の5人掛けの2種類です。
今回何度か乗ったのですが、結構定員どおり着席しているところを見かけることは残念ながらあまりありませんでした。今後も大事に使うのであれば、京都市交20系デビューに合わせられるこのタイミングで、スタンションポールを入れても良いかもしれません。


袖仕切りです。鉄道趣味誌ではやたら袖仕切り推しだったのが印象に残っています。立ち客は上のバーを、着座している方には真ん中の太いバーをひじ掛け代わりにどうぞ、というデザインの主旨です。
ただ、肘掛けで使おうとすると肩回りが窮屈に感じ、カドにぶつかりそうになることもしばしば…。よく練られていますし、実際近鉄一般車には続々と導入されていったわけですが…強度が気になるものの、仮に壁面まで2本のバーが伸びきっていたならば、少しは窮屈さが和らいでいたかもしれません。

…な、なぜか3220系の袖仕切りが急に頭の中をよぎったので…鹿に乗って撤収しようと思います(^^;
 3200系、1980年代後半の近鉄一般車にかける熱量は今も十分感じられると思います。京都から奈良への足にも、ぜひ。
 
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